【NYY】Benintendi獲得についての所感
本日7月28日11時44分,Yes NetworkのJack Curryによるとカンザスシティ・ロイヤルズとの間でトレードが成立。
今季ここまでキャリアハイの成績を記録しており,トレード市場の目玉とされていたAndrew Benintendiがヤンキースに加入。
対価となったのは投手プロスペクト3名。Top10級の選手はいないとはいえ,ロイヤルズにとっては傘下の投手デプスを潤すには十分にも感じました。
今回のnoteではこのトレードの所感を完結にまとめたいと思います。
①ヤンキースの外野手状況をおさらい
現在のアクティブロスターにはJudge,Hicks,Gallo,Locastroが控えており,怪我があければStantonも加わる予定。
平均以上の成績を記録しているのは現状JudgeとStantonのみ。Locastroはそもそも守備走塁要員の毛が強いです。
ただ,巷を賑わせているCarpenterも最近は右翼を守ることもあるので,一見すると過剰戦力にも見えますが,チームの頭を悩ませていたのが「Galloの不振」だったでしょう。
同じく開幕から調子の上がらなかったHicksが復調を遂げている一方,Galloはキャリアワーストクラスの成績となっており,最近では2試合に1度,下位打線で起用されることがほとんど。
説明不要ではありますが,Galloといえばレンジャーズでデビューし,三振をものともしない豪快なスイングで長打を連発していたリーグ屈指の強打者。左の強打者不足に喘いでいた昨年夏に大きな対価を支払って補強しただけあって,不振期であっても辛抱強い起用も見られましたが,このTDLがある種のタイムリミットでしたかね。
ヤンキースの外野手事情における悩みをもう一つ挙げるのであれば「正中堅手の不在」でしょうか。Hicksがセンター守備失格となったために,身長2mのJudgeがフルタイムで中堅守備についています。
ただこれは,DonaldsonとStantonがDHを分け合っていることで,Stantonが右翼に就く機会が増加→Judgeが中堅に就くといった要素もあるので,ある程度は仕方ないのかなと思ったり。
こういった現状を踏まえ,TDLにおいては「レギュラー格の外野手(できれば中堅手)」がヤンキースの獲得ターゲットであったことでしょう。
②Benintendi獲得。フィットは完璧か。
そんな最中にトレードにて獲得したのがカンザスシティ・ロイヤルズのAndrew Benintendi(28)。今季キャリアハイとなるBA.320を記録しており,今オフにFAとなるためにTDLにおける目玉選手となっていました。
★打撃
Benintendiが打線にもたらすのは高打率・高出塁によるチャンスメイクといったところでしょうか。上位打線がLeMahieu-Judge-Rizzoで固定されているために,5-6番に置いてランナーを確実に返す役割をメインで担うかもしれません。
個人的にはRizzoの後ろである4番打者として起用するのも面白いかな~なんて思っています。まずないでしょうがね。
現在のスターティングメンバーを見渡しても,三振の少ない打者はLeMahieuとIKFのみ。そのIKFも三振が少ないだけであっても貢献度が高いとはいえず,繋がりに欠いた一発頼みの打線と言われても否定はできないでしょう。
そこに,高い.BAと.OBPを誇るBenintendiが加わるのは願ってもない僥倖,得点パターンが豊富になったとも取れます。
意外だったのは今季3HRに留まっているということ。左打者ということで,「ヤンスタならHRが増えるのでは」と感じる方もいるかもしれませんが,どうでしょうかね。確かにKauffman Stadiumよりは期待値は高まるでしょうが,Benintendi打球アプローチそのものがオーバーフェンスと関係ないものが多く,影響は少ないと考えています。
★守備・走塁
ポジションは左翼以外の経験が少なく,中堅起用は恐らくないでしょうが,昨季ゴールドグラブ賞を獲得し,今季もDRS・UZRでプラスをたたき出している守備力は,レフトの広いヤンスタにピンズドで間違いなくチームの力となってくれるはず。(Galloさんだって昨年GG賞受賞してるけどね😳)
スプリントが平均レベルであり,近年は盗塁企画を減らしているBenintendiですが,例年とは打って変わって盗塁数を増やしているヤンキースにあっては,戦略的に盗塁企画が増える可能性も。なんせスプリントの低いRizzoが6盗塁してるからね。
★加入後のラインナップ(予想)
Benintendi加入直後はこんな陣容になるでしょうか。明日7/29からKCとの連戦なので早速ピンストライプを纏ったベニちゃんを見られそう。
Stanton復帰後はこんな感じですかね。
強い弱いは抜きにして,2017年くらいのMLBファンに「LeMahieu,Rizzo,Stanton,Carpenterがみんなア・リーグに行ってDonaldson,Judge,Benintendi,Galloとチームメイトになってるよ!」なんて言っても鼻で笑われそうですよね。
それが「6年後のヤンキースでの出来事だよ!」と言われると悪い意味で「あっ、ふ~ん」となる不思議。
③投手プロスペクト3名を放出
今回のトレードにてヤンキース側が放出したプロスペクトは計3名。全員が近年ドラフトされた大卒投手であり,KC側にはある程度フロアのある投手有望株を整備したい思惑があったでしょうか。
今回のパッケージで一番のValueを誇るのはBeck Wayでしょうか。縮小された2020年ドラフトにおいて4巡目指名を受けるとプロ入り後に球速が増加。Max100mphのシンカーと,平均2,600RPMを計測するプラスピッチのスライダーを武器にヤンキース傘下でも中々期待されたプロスペクトへと成長していた印象です。
フロアの高さでいえばT.J. Sikkemaが筆頭でしょうか。2019年の戦力均衡ラウンドで全体38位指名を受けると,その総合力の高さから2021年ごろにはMLBビューしているのではと評する人もいた気がします。
怪我&マイナーリーグのシャットダウンによって実戦登板から長期離脱していたものの,今季ここまで球速伸長などによって奪三振能力が向上し好成績を披露。コマンドも以前同様に優れており,中継ぎの可能性を含めてもMLB昇格の可能性が一番高い投手かと思います。
Champlainも決してこの2人に劣っている訳ではなく,90マイル後半の速球に加えてそれぞれ平均以上のカッターやカーブ,スライダーを操りLow-Aでも及第点の成績を残しています。
ヤンキース側としては,投手プロスペクトが比較的潤沢であり,今オフにルール5の対象となる有望株も多かったのが実情。本来であれば2A-3AレベルにいたはずのSikkemaはプロテクトするにも計算しにくかったのが本音でしょうか。Beck Wayもポテンシャルはピカイチですが,不安定なコマンドが一定のリスクとなっていたのも事実。もう少しハイバリューで今オフにプロテクトが必要な投手有望株(Randy Vasquezなど)を対価にすれば2対1の取引でも成立したかもしれませんが,枚数を増やすことで両者ともにリスクを軽減したようなパッケージに見えました。
④総括とこれからの動き
本当であれば,「これは勝ちトレード😳」なんて総括をしたいのですが,僕にとって単体での評価は難しく,今後Galloをどうトレード処理するかによって大きく変わってくるのかなと思っています。
冒頭でお話ししたように,現在NYYのデプスにおいては外野手が飽和しており,特に不振のGalloは戦力構想外の様相。ここはGalloに有望株を付けて先発・中継ぎ投手を獲得する動きが望まれるでしょうか。実はBenintendi放出に用いた有望株3名は全員40人ロスター外の選手であり,いずれにせよロスター整理をせざるを得ません。
ただ,Galloも今オフFAとなる予定であり,Valueは地に落ちたものと考えています。
いくらヤンキースファンとはいえ,昨年のトレードは完全に失敗といえます。対価として放出したDuran,Smith,OttoはすでにMLBデビューを果たしており,Hauverもマイナーで好調。特にDuranとSmithを放出した結果,IKFが正遊撃手に就いているのは悪い夢です。
GalloのDealに関わるかは分かりませんが,他にもRule5対象の投手プロスペクトを多く抱えているため,それこそ昨年のGalloを獲得したようなパッケージを組んで,放出しても良いのかなと考えます。筆頭はRandy VasquezやHayden Wesneskiらでしょうが,その前にGarciaらをDFAしろよという話でもあります。
野手もここ2ヶ月で完全に復調したVolpeとDominguezさえ守れれば誰でも出すのかもしれません。(特にOswald Perazaは3Aに完全適応。開幕前のValueを取り戻しつつあります)
Benintendi獲得後にもMontasやCastillo獲得に動いているとの一報が流れており,今後の動きにも注目したいですよね。
⑤最後に
遂にあの男がトレード市場に参戦!?これは夜も眠れませんね!!!
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