僕はジョニー・デップではない
ビールやハイボールを、基本的に、飲まなくなった。
乾杯の1杯目から、深夜4時の極限大衆居酒屋での最後の1杯まで、緑茶ハイやジャスミン杯を飲み続ける。家でお酒を飲むときも、焼酎かウイスキーを水で割るだけである。
健康に気を遣ってるの?という質問をいただくことが多いけど、健康に気を遣える人間が、次の朝8時から会社の会議があるのに深夜3時からウイスキーを飲み始めるだろうか。いや、飲まない。健康に気を遣うのは、願望だけで充分だと思う。
最近、この年齢になって気がついたことがある。うまくゲップができない、らしい。
なんか喉がゴロゴロして「ゴロゴロゴロ…」という音がして、あー溜まってんなーってなるんだけど、自分の意志で「うぷっ」というのができない。だから、炭酸飲料とかを飲むと、すぐに喉が苦しくなる。ご飯と一緒に炭酸を飲むときは、なおさらである。だからビールやハイボールを避けるようになった。
大学時代は割と体育会で昭和気質の部活に入っていたので、飲み会はビールしか飲めなかった。先輩がケースで瓶ビール単位で注文をして、甘いカクテルなんか口にしようもんなら、その数倍のビールを飲むことになるから、ビール以外を飲むなんて選択肢は存在していなかった。
そのときの自分からみると、乾杯でジャスミンハイを飲む自分は、なんと滑稽に見えることだろう。
夏に帰省したときに、母にその悩みを伝えてみた。炭酸を飲むと喉がゴロゴロしてゲップをうまくだせない、苦しくなってしまうことがある、ちょっとした病気かもしれない、と。
母親は「ゲップなんてすぐだせるけどねぇ」といって、盛大にゲップしてみせた。ちなみにうちの母は、割といいとこ育ちでおしとやかなタイプであるんだが、還暦過ぎた自分の母親の盛大ゲップには思わず笑ってしまった。
なので、ゲップをする人をみたときの、一般的な感情が「下品だなぁ」とか「仕方ないよなぁ」とかとしたとき、僕は「ゲップができて羨ましいなぁ」になる。
ゲップをできるみなさんは、ぜひ僕の前では恥ずかしからずにケップをして、僕に羨ましがられてほしい。ゲップが尊敬される世界って、なんか平和な気がする。
たくさんゲップしようね。
もしサポートしてくださるなら、ほんとうに嬉しいです。