「違い」と「嫌い」を混同してはいけません。〜息子の担任の鮮やかな対応(イギリス)〜
息子がイギリスの公立小学校1年生に入ってしばらくたった頃のことです。
学校から戻ると、息子がさびしそうな顔で、
「ママ、明日からお弁当はサンドイッチにして。」
と頼んできました。
その頃わたしは、娘(小学校6年生)と息子のお弁当には日本で作っていたようなお弁当と、たまにサンドイッチやパスタのお弁当を作っていました。
その日はしょうゆ味のおかずの入った日本らしいお弁当でした。
息子に理由を訊ねてみると、お昼にお弁当を食べていたら、近くにいたイギリス人の女の子に「くさい」と言われたから、ということでした。
イギリスで生まれ育った5〜6歳の子どもたちにとって、外国の食べ物は馴染みがないのも当たり前だな、そういう感想を言う子もいるのか、と思いながら息子の説明を聞き、「たいへんだったね。その子は日本の食べ物を知らなかったんだね。」となぐさめました。
その翌日はサンドイッチを作ってあげて、朝の登校時(イギリスでは小4までは登下校に保護者の付き添いが必要)に、クラス担任の先生に前日のことを伝えました。
わたしとしては先生に何をどうこうしてもらいたいという具体的なリクエストは考えておらず、ただ事実だけ伝えておこうと考え、淡々と穏やかに話しました。先生はじっとこちらを見つめ、何度も深く頷きながら聞いてらっしゃいました。
そしてわたしは息子に「バイバイ(^-^)」して家路へ。
下校のお迎え時に何か先生から言われるかしら?ひょっとして「トラブルの元になるので醤油の匂いのするランチは持たせないようにしてください。」って言われちゃうかな、などと気を揉んだりもしました。
そして下校のお迎えのとき、先生に、「報告があります」と呼び止められました。
「その生徒と話しました(息子に後からきいたところによれば担任教師がクラスを持っていない時間帯に女の子ひとりだけ授業から連れ出され、30分くらい戻ってこなかったそうです)。世界中にはいろんな文化があって、あなたがまだ知らない食べ物があります。日本という国の食べ物にはイギリスの食べ物とは違う匂いがあります。あなたはまだ知らなかった。それは“違い”であって、“嫌い”と考えてはいけません。と女の子に話しました。」と。
その女の子は息子に謝ってくれ、息子はいつもの元気を取り戻しました。
この、「違い」と「嫌い」を混同してはいけない、と教えた先生の対応は、本当に見事だと思いました。
息子に、「また日本のお弁当作ってもいい?」と訊いたら、「うん、いいよ!」(ニコニコ)という返事が返って来ました。
違う文化の国を、違う文化を持つひとを、じぶんと違うから「嫌いだ」と思うのは、幼い未熟な考え方ということですね。
大人なのにまだやってしまっているひとが時々いて、中には特定の国に対してヘイトスピーチを大々的に行ってしまうひとまでいて、大人でそれでは野蛮と言われても仕方がないな、と思うわけですね。
子どもの頃からこうやって「違い」と「嫌い」は混同するものではない、ということを知って成長できるって素敵なことだなと思いました。
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