製品の拘りとブランドロゴに込めた想い。
ども!BRUSHの長谷川です。
先日デザイナーさんにお願いしてブランドのロゴマークを作って頂きました。
ブランドを立ち上げて3年になりますが今までロゴがなかったので作りました。
ロゴが決まるとなんだかいつも以上に身が引き締まる思いです。
という事で、今回の記事は改めまして当工房の革製品がどんなところに拘っているのか、また、ブランドのコンセプトやロゴへ込めた想いを少しだけ語りたいと思います。
【仕立てのこだわり】
もともと私は革製品のリペア業の出身でして、お客様の鞄やお財布などを解体し、修理し、組み立て直すという仕事をしておりました。
そこで学んだ知識や技術、具体的には傷みにくい素材や製法などを製品作りに反映させております。
ここでは、私が製品の仕立ての際にこだわっているポイント3つをご紹介致します。
1.合成皮革や布を使用しない。
当工房の革小物は極力革のみを使用して仕立てております。
合成皮革や布を使う事は決して悪い事ではありません。
むしろ財布など収納力が大切な革小物は裏地に布を使い薄く仕立てるのがセオリーです。
これはあくまで「耐久性という面に限って見れば」の話ですが…やはり革は1番丈夫な素材です。数々の使い込まれた製品を見てきた上での私の考え方です。
それに「革のみで仕立てたお財布」と思うと、なんだか特別感があると思います。
経年変化や風合いなど、革には素材として唯一無二の魅力があります。
2.製品の印象を格上げするネン引き。
画像は「捻(ネン)引き」と呼ばれる技法です。
革の切れ目、端のことを「コバ」と呼びますが、ぶつかったり擦れたりと真っ先に傷む場所です。
捻引きは熱したコテをコバに当て、革の繊維を引き締めて丈夫にする技法です。
コバの処理方法には様々ございます。
1番傷みやすい場所ですから、当工房ではその革にあった1番丈夫な製法で仕上げております。
捻引きは耐久性の向上だけでなく、額縁のように製品全体の印象を引き締めて洗練された印象を与えます。
3.繊細で美しいステッチワーク
ステッチワークへのこだわりも製品作りに大切なポイントです。
写真はミシン縫いですが、ミシン縫いと聞くと、足でペダルを踏んで一気に縫い進めるイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
当工房ではモーターの速度を落とし、1針1針を確認しながらとても慎重に縫い進めております。
特に目立つ部分のステッチなどは写真のように予め手作業で縫い穴を空け、そこをミシンで落としていくといった地道な作業をしております。
ステッチはデザインの一部と考えておりますので、一手間を加える事により繊細なステッチワークを実現しております。
【素材のこだわり】
当工房で扱う革は皮革産業の先進国であるヨーロッパのインポートレザーがメインです。
その特徴を一言で表すと「風合い豊かなナチュラルレザー」です。
革は大まかに分けると2種類ございます。
・1つはオイルで仕上げたナチュラルな革
・1つは塗料を塗って仕上げたムラのない革
簡単に言えば薄化粧と厚化粧です。
どちらも一長一短で、薄化粧の革は風合いが豊かで、経年変化が楽しめます。
厚化粧の革は傷やムラがなく、均一な表情です。
百貨店などで見る私たちの身近な革製品は塗料を塗って仕上げた革が多いです。
ヨーロッパなどでは革本来の風合いを楽しむ文化があるようですが、日本ではまだあまり浸透しておりません。
日本人の気質というのも関係あるのか、ムラ感などは「不良品」と見なされてしまいお客様になかなか受け入れて貰いにくいのだそうです。
特に大手のメーカーは廃棄が増えるため、それなら塗料で塗り固めた革を取り扱うのが無難ですよね。
当工房では敢えてナチュラルなヨーロッパのレザーを使用しております。
革本来の風合い、味わい深い経年変化、使えば使い込むほど愛着が増して「育てていく楽しさ」というのを広めたい、お客様に伝えたいという想いがあります。
目立つような傷などは見えない裏地に使うなど、制作に手間はかかりますが最大限の配慮をしつつ製品化しております。
経年変化をしやすい分、デメリットとして塗料で固めた革に比べたら傷や汚れというのもつきやすいですが、それらは経年変化で革の色が濃くなり、内部に浸透したオイルで慣らされる事によって目立たなくなっていきます。
例えるならばオイル仕上げの天然木の家具のような、自然な風合いをお楽しみ頂ければと考えております。
【ブランドロゴに込めた想い。】
ブランドロゴは「長く使用できる質実剛健な革製品」というコンセプトに合うように「万年」「堅牢」というイメージの亀をモチーフにしました。
亀の甲羅の形は縁起が良いとされておりますし、持ち手の方へ長く寄り添い、幸せを運んで来てくれるといいなという想いも込められております。
デザイナーの方には「可愛らしいイメージの亀をなんとかかっこよくして下さい」というなかなか難しいお題をお願いしてしまい…。
色々と案をお出し頂いて、ようやく納得したデザインとなりました。
私自身も亀のように地道にコツコツが得意な性分なので、物作りのスタイルと似ているところも気に入っております。
ご購読ありがとうございました(^^)