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【ディズニー】またな、スペースマウンテン!

少し前のことだが、人生で初めてバケーションパッケージを利用した。
しかもホテルはミラコスタ、部屋はポルトパラディーゾサイド。

最高のひと時だったことは言うまでもない。あー、また行きたい。
だが、この話はまたいつか。今日はマウンテンの話。


ハッピーエントリーの使い方

普段から夜行バスや日帰りが多くディズニーホテルを利用することがないので、10年以上ぶり?くらいのアーリーエントリー。正直、たかが15分早く入園できて何が変わるのだろうと思っていた。

一緒に行った友人は、私のディズニーの師匠。
「アーリーに間に合うようにランドに朝イチで行って、ミラコスタの朝食までに戻ってこよう」。そう提案されて、内心は「えー、面倒臭い」と思っていた。せっかくのミラコスタの朝をゆっくり楽しみたかったのに、と。

だが、師匠がそう言うのだから、きっとそれがバケパの楽しみ方なのだろう、普段の自分ならやらない方を選ぶのもいいかも、と自分を言い聞かせた。レシートのようなチケットを握り締め、少しだけ優越感を感じながらエントランスへ。

入園すると、朝日に輝くシンデレラ城。そして、ミッキーフレンズ!
何も遮るもののないところ、手の届きそうなところにミッキー、ミニーが!!そりゃみんなキャーキャー言うわ。ミニーちゃんと写真が撮れたし、ミッキーミニーの2ショットが撮れたし言うことなし。思えば、あの二人が一緒に並んで写真が撮れるところってあまりない。

なんて贅沢なひと時なのか、これがアーリーの意味かと幸せを噛み締めていると、師匠が、「どこか行きたいアトラクションないの?スペースマウンテン行くなら今やで」と一言。私はクローズする前にもう一度乗りたいと思っていたが、師匠はこのアトラクションが苦手でバケパで選ぶアトラクションから外れていた。

つまり、もう乗ることはないと思っていた。残念だけど仕方ない。こういうことはディズニーではよくあること。そんな思いを知っていた師匠から神のような提案。

だが、つまりそれはこの貴重な朝に師匠を置いていくということ。さすがにそこまではできない。そんな私に、「私はいいから。行ってきいや、今しかないで!」と師匠。通常エントリー時間を回り、人が増えてくるギリギリのタイミング。

ハリウッド映画のクライマックスで主人公が見せる友情のようなアツい一言を受けて、大きくうなずき早足でスペースマウンテンへ向かった。

人生初のシングルライド

ほとんど人のいないアトラクションエントランス。キャストさんがステッカーをくれた。後ろで見送ってくれていた師匠の存在に気づき2枚。キャストさん、ありがとう。

他のアトラクションにはない、あの独特なエスカレーターを一人で登る。実は、コースター系のアトラクションに一人で乗るのは初めて。パークに来る回数は多くても、なんとなく抵抗があってシングルでは乗ったことがなかったのだ。

高揚感と懐かしさ。いろんな思いで前へ進む。後ろに人がいないことを確認しながら、ところどころで撮影しながら建物の中へ。

スペースマウンテンは、ランドにある3つのマウンテンの中では3番目に好きなアトラクション。つまりそこまで好きではなかった。なんとなく、ストーリー性のあるスプラッシュマウンテン、景色が良く爽快感のあるビッグサンダーマウンテンの方が好きだったのだ。

いよいよ搭乗口に近づき、神秘的に光る宇宙船が見えてきた。

蘇る小学生時代の初ライド

初めて乗ったのは小学生の頃だった。3つのマウンテンの中で一番怖いと言われていたスペースマウンテンは怪しげな光で薄暗く、搭乗口が近づくにつれ、両親から「ほんまに大丈夫?」と何度も確認された。それを示すように、途中退出経路が他のアトラクションより多い気がする。

やっと身長が伸び搭乗基準をクリアしたばかりの子供にとって、スペースマウンテンに(泣いたりせずに)乗れることは一人前の証。スペースマウンテンは、そんなちょっぴり背伸びなアトラクションだったと思う。

乗り物が発着する慌ただしい様子と人々の歓声。子供の頃に感じた恐怖によるものではなく、今回は一人で乗るドキドキ。キャストさんに「何名様ですか?」と聞かれ、恐る恐る「ひとり」と人差し指を挙げる。

アトラクションに乗り込み、安全バーを締める。宇宙空間へ飛び出すために上がっていく長い登り坂。ふと、初めて乗った時は隣に母がいたことを思い出した。緊張を悟られぬよう隣の母にしきりに声をかけていた気がする。

坂を上がっていくアトラクションの中で、なんか私も人生遠いところまで来たなあと思った。両親ともに健在で仲もよく何もいうことはない。だが、無邪気に母の隣ではしゃいでいた子供の頃とは何もかも違う。

隣の席は空席。いま私は一人でラストライドを体験している。懐かしくて寂しくて涙が出た。そしてなぜか両親に申し訳なくて涙がとまらくなった。

宇宙空間を高速で走り出してからも私は泣いていた。明るかったらただのめちゃくちゃ変なアラフォー。だが幸いにも宇宙空間は真っ暗だ。周りの叫び声に乗じて悲鳴とも泣き声ともわからない声でうわーんと声に出しながら暗闇を疾走した。

後半、冷静を取り戻し暗闇に慣れた目で見えるようになったレールに「長年お疲れ様」とこれまでの走行を労い、私のラストライドは終了した。

涼しい顔を装いアトラクションを後にして、足早に通り過ぎる人を尻目にレストランのテラスでドリンクを飲んでいた師匠と合流。さすが師匠は過ごし方が優雅だ。

「どうやった?」と聞かれてまた先ほどのことを思い出してしまった。これ以上話たらまた泣いてしまいそうだったので、なんとか「子供の頃を思い出した。めっちゃ良かった」とだけ答えた。

師匠は全て悟ったかのように「せやろ。だから言ったやん。さ、ホテル戻ろか」とだけ言い、私に背中をむけエントランスに向かい歩き出した。師匠の粋な計らいに心より感謝だ。

スペースマウンテンは、ノスタルジックなアトラクションだった

先の述べたようにスペースマウンテンはそんなに好きだと思っていなかったが、実は大切な思い出の詰まったアトラクションの一つだった。

初めて乗った時、「全然怖くなかったよ」と誇らしげに両親に話した。
祖母と乗った時、心臓に負担がかからないか心配したが本人はケロッとしていた。
恋人と乗った時、「ずっと両手を上げていよう」と誓い叫び声をあげまくった。

大人になって忘れていただけ。好きな人たちと一緒に何度もライドを楽しんできた。思い出させてくれてありがとう、スペースマウンテン。

新しいスペースマウンテンがオープンするのは、3年後。
いったい私はどうなっているだろう。隣に座ってくれる人は誰かいるだろうか。だが、新しいアトラクションは2列じゃなくなっているかもしれないし、誰かと一緒でなくても楽しむ方法はあるだろう。

何よりも新しいスペースマウンテンがどんな近未来を見せてくれるのか、それが楽しみで仕方ない。きっとまた新しい思い出をたくさんくれるに違いない。

その日まで。またな、スペースマウンテン!




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