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【オーブンの炎石】 #01 火刑台の燃えかす
姉の家のオーブンが壊れた。
ぼくが遅く起きたその朝、姉は珍しく朝から起きていて、外の古いパン窯の扉を開け小難しい顔をしていた。
彼女は腕組みをし、喉の奥で軽く唸っている。起きてきたぼくには気づかないようで、自分の朝食の用意すらしていない。
正確に言うと、ふたり分の朝食の用意をしようとして、それを焼く直前で終わっているようなのだ。
どうやらオーブンで一気にやろうとしたらしいが、いつも使
姉の家のオーブンが壊れた。
ぼくが遅く起きたその朝、姉は珍しく朝から起きていて、外の古いパン窯の扉を開け小難しい顔をしていた。
彼女は腕組みをし、喉の奥で軽く唸っている。起きてきたぼくには気づかないようで、自分の朝食の用意すらしていない。
正確に言うと、ふたり分の朝食の用意をしようとして、それを焼く直前で終わっているようなのだ。
どうやらオーブンで一気にやろうとしたらしいが、いつも使