S「重版出来」
「ずっと漫画のことだけ考えていた。
子供の頃から365日、24時間ーー。
幸せだった。現実なんて要らなかった。
ただ、漫画の中だけで生きていたかった。」
「漫画家を目指している間は特別でいられた。
特別な人間でいたかったんです。」
共感はできないが、良い台詞だと思う。耳に残る。
7話は所謂天才とそうでない者の話で、
天才を天才として描くのではなく、そうでない者をそうでない者として描いているので
より天才というものへ憧憬が強く映し出されていた。
6話の嘗て志を持ち仕事に人生を捧げてた者とまだ夢見る新入社員の話も良かった。
全体としてキャラクターが立っていて、その中でも全員に心の機微があった。
役者さんは豪華で、黒木華さんは言わずもがなだが、オダギリジョーがずるい。
このドラマを最後まで観てみて、凄く気が楽になった。
自分自身と向き合わなければとは強く思わされたが、人間たるものこうでなければならない、
社会人としてこうあるべき、という脅迫観念のようなものから少し解放された気がした。
理想を追い求めることも良いが、上手く折り合いをつけて生きていくのも悪くない。
そんな当たり前のことを物事に前のめりになっている間はついつい忘れてしまう人間なので、
思考が凝り固まってしまった時は再度見てみようと思う。
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