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唐宋時代荘園制と隷属農民についての小察。―《周藤吉之「中國土地制度史研究」》を読む。その一…。

 東京学派の中国史家で、周藤吉之氏という、著名な経済史家がいました…。周藤吉之 - Wikipedia という方がそれです…。この記事であつかう、「中國土地制度史研究」は、周藤博士が、日本学士院賞を受賞した、ひじょうに重要な作品であります…。《中國土地制度史研究, 1954 / 9 / 30 初版, 東京大学出版会》…。当時の定価 ¥ 4,800 圓…。まあ、一書生には、高嶺の花でしょう…。

 私はこの作品を、まだ、きちんと読みこなせていないのですが、パラパラとは読んでおります…。ようするに、唐末五代から北宋、南宋にかけての、荘園制と、そこで小作農的な労働をする、隷属農民についての、一連の研究をまとめたものです…。1956 年に、博士はこの研究で、日本学士院賞を受賞なさいました…。

わたしの好きな歴史学者には、日本学士院賞を受賞しておられる方がけっこういられまして、まあ、wikipedia にものっている、日本学士院賞でありますな…。【日本学士院賞 - Wikipedia 】

ともあれ、周藤氏がこの作品を執筆するにあたって、それまでの日本における中国社会経済史研究をふまえ、それに一歩踏み込んだ研究をしなければならなかったはずです…。
以下、パラパラめくったのちにおける、わたしの感想を記述します…。


趙孟頫『浴馬図』wikipedia より。肖像家ご容赦ください。

気分転換に、趙孟頫 - Wikipedia の絵画を、wikipedia からひっぱってきました…。この絵画は、農村地帯の風景でしょうかね…。違っていたら、ご容赦ください…。この画家は、南宋から元にかけての人です…。

はなしを主題に戻しましょう。

荘園制は、ヨーロッパ、中国、日本などにおいて、それぞれ独自に発達した、大土地所有制ならびに、そこにおける労働形態として、位置づけられることにまちがいはなさそうですね。
周藤氏は、この荘園制にかんして、上記作品で詳述なさっていますが、この記事では、その全体像などと言ったものは把握せずに、この作品における、「二、唐末五代の荘園制」と「六、宋代荘園制の発達」の、ふたつの部の、結語のところを、すこし考えてみたいかとおもいます。

唐では、荘園制は、唐初より随分発達していたようですが、中頃、均田制の崩壊にともなって、貴族すなわち王公百官の荘園が、すこぶる発達したそうです…。安史の乱以後は、武人のちからがつよくなって、彼らの荘園が発達したそうです…。とりあえず、カクニンで、3つ、wikipedia の URL をツケておきます。荘園 - Wikipedia 唐 - Wikipedia 宋 (王朝) - Wikipedia 。

このうちとくに内容がこの記事と被るのは荘園 - Wikipedia ですかね。理論的な荘園制の解説が載っています。まあ、一般的に概観を掴むのであれば、このスクリプトの中国における荘園を、あたまのなかに入れておけばよさそうなものです…。

わたしのいまの読書量だと、周藤氏のこの作品について、あるていど学術的に概括された情報を把握するのはむずかしいので、まあ、初等教育から、大学生レベルの荘園制の勉強として、この記事で書くことは、あまり問題ないとおもいます…。

確認しますが、唐では、初めより荘園制は随分発達していたようで、安史の乱後は、武人の力が強くなって、彼らの荘園が発達しました。
周藤氏は、荘園制は、漢代以後生じたけれども、唐の均田制の崩壊以後、とくに発達したものだとしています…。

当時、荘園という言葉における、「荘」(庄)は、野・園・別業・山居などとも呼ばれ、元来、貴族の別荘をさし、それは、城内と城外にあったけれども、城外にあるものには広大な田園が付属していたようで、そこで貴族の田園をも「荘」といったようです。

これらの荘園はむろん貴族ばかりでなく、寺院や官僚にも所有されていたとされています。一般には荘園内には主人のいる「荘院」とこれを耕作している「荘客」または「客戸」の「客坊」があり、これを管理する「荘吏」・「監荘」もおかれていたようです…。

五代になると、節度使体制の政治形態に、中国の社会が変わりますよね。五代においても、武人がおおく荘園をもっていました。

唐の滅亡とともに、貴族の荘園はほとんどなくなりました…。

五代では、官僚のおおくは地方の豪民(地主)から出たようです…。

といった、周藤博士の分析です。五代十国は西暦 907 ~ 960 頃ですよね。中華分裂期のひとつですよね。
このあたりから、有料エリアで、お願いいたします…。

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