あのたび -ムアンシンのアカ族-
ラオスのさらに北部を目指す。ルアンパバーン発ノンキャウ行バスが15000Kip(≒200円)。これまで南側から北上してきたルートは酷暑といってよい暑さであったが、北部は風が冷たく寒いくらいだった。町は3つの大山に囲まれ景色は良いが天気が悪かった。この町で歩いているときに橋から見た渓谷に魅せられ、ナムナー川をボート上りすることにした。60000Kip(≒800円)
ムアンクアという港町に着く。あまり外国人が来ないからかちょうど祭り時期だったからか、オヤジどもに安いがアルコール度の高い白い酒をガンガン飲まされた。さらに翌日ウドムサイへ向けて移動。景供ゲストハウス泊(20000Kip)。
小さい町は見るものも特に無く1泊しては移動の繰り返し。ここまでくると中国が近い。漢字表記の中華系レストランで餃子と焼き飯10000Kip
続いてルアンナムターを経由してムアンシンへと移動。宿に着くとチェックインするなりおばちゃんがまずこれを読めと怒ったような形相でノートを開く。過去にここに来た日本人旅行者の日本語情報ノートであった(2003年時点ではネットやスマホがほぼない状態)。
このムアンシンはただ中国の国境に近いというだけで何もない町だが、大麻が吸えるというので旅行者に密かに人気があるのだ。大麻目的で旅行者が訪れることを知っているので、宿周辺を歩いていると、男に「買わないか」と声を掛けられる。で夜になり宿泊している部屋で吸っていると警察が来るという寸法だ。この国で大麻は違法なので現行犯逮捕される。
つまり男と警察はぐるで、留置場に連れて行かれたくなければ大金を払えと要求される。そうやって被害にあった日本人があまりにも多いので、おばちゃんはまずこのノートの注意書きを読んで絶対に部屋では吸うな。と言いたいようだった。優しい。
儲けたければおばちゃんも、男や警察とつるんで宿泊者をひっかけるということもできるだろうに。まあそんなことをしたら噂がたって誰も泊まりには来なくなるか。
翌朝、雨であるが自転車を借りて北の中国国境まで行く。越えるつもりはなく見るだけ。これでラオスを南端の国境から北まで縦断したことになる。踏破という行為は肯定感がある。国境は見るだけで引き返す途中、アカ族の村があるというので寄る。アジアの田舎はいくつもの少数民族が存在しそれを見物したり交流できたりすると思い出になるかと思った。
が、刺繍が施されたカラフルな衣装を着たアカ族らしきおばちゃんは、ボクを見ると吸うか?とジェスチャーをした。いやいやこんなとこでも商売かよ。そんな交流は求めてない。
本を読むとアカ族は大麻(マリファナ)の販売で収入を得ており、他の民族よりも暮らしぶりがいいらしい。どうりで手首や指にブレスレットや指輪をジャラジャラと着けているわけだ。あまり見たくないものを見たなという感情で、とぼとぼとムアンシンの町へ戻った。
もうラオスはいいかなと感じていた。
(つづく)