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あのたび -浜辺からサメ-
引き続きマレーシア東海岸沖のプルフンティアン島に滞在している。
旅の中、または終わりでどの国が良かった? と聞かれることがよくある。全てにおいて一番という所はなく、食べ物はベトナム、遺跡はカンボジア、自然はインドネシア、住むならタイ、そして海(や島)はマレーシアだと答えている。それほどまでにこの島が気に入っていた。
特にやらなければいけないことはなく、暑い時間はベッドで昼寝しながら本を読み、気が向いたら宿の目の前のビーチで泳ぎ、疲れたらシャワーを浴びる。裏の森を越えて歩くとリス(ビーバー?)のつがいがちょこちょこと動いているのが見えた。こちらを見るのでにらめっこした。
西の浜にいくと、泳いですぐ触れそうなくらいの位置にサメが泳いでいた。小さいサメで人を喰うとかいうことはないようだが、海面から垂直に立ったヒレがスイーっと移動しているのを見ると少し怖い。
トンボ、サンゴ、カニ、何かの小鳥、トカゲ、魚群のジャンプ、熱帯魚のようなシマシマ模様の魚たち、種類が豊富な動植物がいっぱいで毎日のんびり浜辺で眺めているだけでも飽きない。
白人のトップレス女性も居た。こんな島では開放的になるよね
食事は宿の付属レストランで食べるしかなく好きなものを選ぶというわけにはいかないが、パイナップルチャーハンを頼んでみたら意外と美味い。Tea-Talikはミルクティだった。
ボクの来る前から滞在していた女の子が、空いたらツリーハウスで泊まってみるといいよという。現在ボクが寝ているのは20人くらい入れる大部屋ドミトリーだ。10RM(≒300円)で安くてここも悪くないのだが、昔のアニメで見たような、木の上に部屋を作っちゃいました的な男の子が喜ぶ秘密基地のような隠れ家のような部屋があるのだ。このD.Lagoonという施設にはいろんなタイプの部屋が用意されている。
しかしそこの住人はよほど気に入ったらしく、長期滞在していて空くことはなかった。1泊だけでも寝てみたかった。
そうこうしていると突如マレー人の団体客40人くらいが一気にやってきて騒がしくなった。そんな人数が泊まれるほどベッドあるか?と思うのだが大部屋や他の個室に分散して泊まるようだ。子供から老人まで大家族で遊びに来たという様子。
よいこともあり、夜に太鼓と唄の演奏を奏でている。ただでマレー音楽を聞くことができたがあまり印象に残らず覚えていない。団体客は2泊で島を去っていき、また静かになった。
今度はインドやネパールを周ってきたという女子がやってくる。あっちで何をしてたんですか? と聞くとメディテーションという。全く耳慣れぬ単語なのでへーと返すしかなく会話が続かなかった。ポケット辞書で調べるとメディテーションは「瞑想」とのことだ。
海外で瞑想?? そういう旅もあるのか…。言われてみると彼女は煩悩や欲がなく自然体でまとう服も薄い布切れのように地味だ。ストレスない生活、精神というのを境地を求めているかのように。
ボクにとってはこの島がそれだ。飽きるまでいつまでも動きたくなかった。
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(つづく)