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ゴールド投資 #06 ゴールドコイン

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話題になったのでブリオンコイン(金貨・銀貨・プラチナ貨:地金型コイン)について書きます。基本的に地金と同じと考えたほうがよいです。つまり額面があっても額面とは関係無く実際の金属の価値で取引されます。そのため額面のないものが多いです。  

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ブリオンコインはカナダのメープルリーフやオーストラリアのカンガルー、オーストリアのウイーン、南アのクルーガーランド、米国のイーグル、イギリスのブリタニア、中国のパンダなどがあります。地金商で地金と一緒にその日の金価格で取引されています。

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コインには地金型のものともう一つコレクター型コインと呼ばれるものがあります。これは実際に含まれる貴金属価値にほぼ関係無くその「希少性」でコレクターの間で取引されるものです。アンティークコインや極端に製造量を絞ったコインがこれにあたります。

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ブリオン型コインには意図的に額面をつけないか、極端に安い単なる名目的な額面をつけるものがあります。たとえば1オンス米イーグル金貨の額面は$50。でも現在価値は$131000です。これを額面で使う人は当然いません。今のゴールド価値で取引されます。

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ゴールドコインに含まれるゴールドの価値に近い、もしくはそれを上回る額面を付けると大きな問題が発生します。その失敗を犯したのが日本でした。天皇御在位60周年記念10万円金貨がそれです。この金貨のゴールド価値は発行当時4万円に過ぎませんでした。

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ゴールドはそもそも柔らかく加工がしやすいものです。天皇金貨の型をとり、それに純金を流し込めば10万円の金貨が偽造できます。4万円の材料費で。犯罪集団がスイスでそれを行い、日本に大量に偽天皇金貨(でも純金)を持ち込み4万円を10万円に換えたのです。

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4万円のものを10万円で売って儲けるという当時の大蔵省の安易な目論見は完全にバックファイアーし、大損することになりました。海外では貴金属貨にその価値以上の法定価値を付けることはやってはいけないことでしたが、おそらく知らなかったのでしょうね。

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記念硬貨としてのプレミアムを期待して買った個人も多かったのですが、発行枚数が大量だったために希少価値プレミアムは全くつかず、結局は10万円を超えることはながらくありませんでした。それがこのゴールド高騰で今はゴールドとして取引されてます。

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天皇金貨の重量は20グラム。その現在価値は24万円くらいです。当然10万円の額面とは関係なくゴールド価値24万円で取引されます。そもそも4万円だったゴールド価値が上昇してきたとき、このコインは一部で注目を集めました。

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天皇金貨が全くプレミアムが付かなかったことでオークションサイトには失望した投資家から10万円やそれを下回るようなオファーがありました。ところがゴールド高騰により、そのゴールド価値が額面10万円に近づくと目端の利く投資家がそれを買い始めました。

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10万円のゴールド価値の法定通貨、政府がその価値10万円を額面で保証したゴールドコインを買うということはただで10万円でゴールドを売るput optionを買うことです。値下がりリスク無しにゴールドの値上がり益は無限大というという取引ができたのです。

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 今回の万博記念金貨の額面1万円は全く意味の無い物です。15グラムのゴールドの価値は現在18万円ほど。それを268000円で売り出しということは9万円くらいのプレミアムです。地金型とコレクター型の中間的存在でしょう。僕ならプレミアムのない地金を買います。


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