アカデミー賞俳優、脚本家のデンゼル・ワシントンが語る「人生は予測不可能」なエピソード
https://www.youtube.com/watch?v=JEFbfwg9dek
アクション、スリラー、コメディとあらゆる役柄を演じ、アフリカン・アメリカンとして2人目のアカデミー賞主演男優賞を受賞したデンゼル・ワシントン。彼が2011年にペンシルベニア大学の卒業式講演で語ったポイントは以下の通りです。
デンゼル・ワシントンのスピーチのポイント
オーディションや演技における初期の失敗の数々を語りました。彼の人生の必然的な部分そして成長の条件は「失敗を受け入れる」ことでした。
では彼の考える「失敗」とは何だったのか?
第一に、避けられないもの
第二に、個人的、職業的な成長のために必要なもの
第三に、しばしば人を導く力となり、真の天職へと向かわせるもの
ワシントンは「失敗」を恐れるのでなく、「失敗」を「自分の可能性を発揮するための不可欠な要素」としてとらえることの重要性を語りました。そしてネルソン・マンデラの言葉を紹介し「自分の能力以下の人生に甘んじてはいけない」と語り、失敗を将来の成功への弾みとするという考えを説明しました。
ワシントンは、美容院で、思いがけず自分の将来のキャリアについて予言され、それが後に不気味なほど的中したという逸話を話しました。
人生の道は「予測不可能」とし、卒業生に新しい経験や機会を常に受け入れるよう勧めました。彼が主演した映画『フィラデルフィア』のテーマである偏見、勇気、そして贖罪が、それぞれの人生で遭遇する可能性のある「挑戦」と「勝利」といかに重なるかを強調しました。
最後に、自分たちの教育、才能、情熱を使って世界に良い影響を与えるようと呼びかけました。逆境に直面したときの寛大さ、共感力、回復力の重要性を強調。物質的な富や財産は一時的なものとし、自分の行動や貢献を通して意味のある遺産を残すことに集中するよう促しました。
Bruce’s Comments
デンゼル・ワシントンは、医学の道を目指していた時、サマーキャンプで舞台公演に参加したら、たちまち演技熱に取りつかれ、俳優という職業を選んだそうです。ワシントンが語っていた、人生は「予測不可能」という点に興味をもちました。
僕自身を振り返っても、人生は本当に予測不可能です。大学卒業後、商社に入ってODAプラント部隊でこのまま商社で営業と思ったら、大病して長期欠勤して、その後予想外の法務部へ異動。それが縁で、米国ロースクールで知的財産・ライセンシングを学ぶ機会を得て、卒業後、想定外だったマイクロソフトへ就職し、そこから2020年までテック畑で仕事に従事となりました。
そして4年前会社を引退し、今は大学教員。その時その時、しっかりと将来を考えて進んできたという確信があります。それなのに、今、なぜ予想していなかったキャリアに辿り着いたのか?
日本の商社から、米英テック、大学教員と2度キャリアチェンジ(同じ業界内や同じスキルベースでの転職ではなく、キャリアそのものを変えた経験)についてシンガポール人と話しました。彼曰く「キャリアのライフサイクルのスピードは今以上に早くなる。君の2度のキャリアチェンジはすぐにみんなの常識(Norm)になるよ」とのことでした。
それぞれの変化のステージに遭遇した時、僕がいつも感じることは、それまでの人生においては自分が見えていた範囲は狭く、知らないことが多く、意識すらしていなかったということです。その一方で、これまでの人生で少しずつでも成長することができたのは、Microsoft勤務時代に身に着けた、「人は無制限(Unlimited)の可能性を持っている」という信念です。
先月、シンガポールでの短期研修を経験した学生は「自分がどれだけ無知かを実感しました。研修を通じて世界の広さが少しわかりました」と話してくれました。学生にはできるだけ早く、経験したことのない世界にアクセスし、自分が広い世界のなかでどんな存在か実感してもらえればと思い、そうした機会を出来る限り提供できればと思っています。