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パクリタキセルの痺れ対策

以前周術期のタキサンはパクリタキセルの方が楽ですとお伝えしました。

術前 術後周術期タキサンはできたらパクリタキセルを選びましょう


2024年11月5日

乳がん術後化学療法 あるいは乳がん術前化学療法を施行する方も多いと思います。AC EC等のアンスラサイクリン系抗がん剤とタキサン系抗がん剤を施行することが標準です。
タキサン系抗がん剤はドセタキセルかパクリタキセルを施行します。ドセタキセルは3週に一度 パクリタキセルは毎週12回です。病院に来る頻度はパクリタキセルが4倍と多いです。仕事している人にはつらいですね。

しかし、副作用を考えるとパクリタキセルの方が楽だと思います。ドセタキセルは浮腫が酷いですし 脱毛もドセタキセルが顕著です。見た目が違います。
痺れはパクリタキセルの方がきついかもしれません。

しかし、たくさんの人を診ているとパクリタキセルの方が楽そうです。来院時間が取れる人はパクリタキセルを選びましょう。

私は基本パクリタキセルしか勧めません。(アルコール問題もありますが)
病院の都合で(患者が多いので化学療法室が廻らない)ドセタキセルを勧める施設も多いです。
私はこれは本末転倒と思っています。
出来たらパクリタキセルを選んで楽に乗り越えましょう。
自分の身は自分で守ってください。

2024/11/5

しかし 、パクリタキセルの方がしびれは確実にひどいので痺れに参っている人も多いです。
化学治療、特にタキサン系と呼ばれるパクリタキセルを投与された患者さんは、治療終了後も長く残る副作用としての末梢神経障害、指先がしびれる、足の裏にずっと違和感がある、絨毯の上を歩いているような感じ、に苦しめられています。
化学治療は終了していて、髪の毛も生えそろい、爪は元に戻った。食欲もある。でもそれだけが治らない。末梢神経障害は年単位で残るため、気にされているかたも非常に多い合併症です。
この後遺症は年齢に依存性があり、若い方ではもともと出現しないことも多く、ある程度あっても化学療法を終了したら速やかに改善していきます。逆に50歳以上の方では症状も強く出て、さらに出た限りはほぼ生涯継続されていることが多いこともわかっています。
しかし若い人も苦しむ人も多いです。
神経障害に対するさまざまなお薬、漢方薬、有効と言われる様々なお薬を投与してもいままで有効だ、と感じたことはありません。パクリタキセル副作用対策で漢方 プレガバリンのような薬を出す先生がいますが要らないと言ってください。
総合ビタミン剤のみ服用は続けましょう。

ただ運動をよくされる方では出てこないし、治る印象はありました。

今年の論文でバーゼル大学(スイス)のFiona StreckmannらによってJAMA Internal Medicineという雑誌に、化学療法を受ける患者の多くが発症する化学療法誘発性末梢神経障害の回避には運動が有効である可能性が発表されました。
Preventive Effect of Neuromuscular Training on Chemotherapy-Induced Neuropathy: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med 2024.

この研究では、運動をしなかった患者で末梢神経障害を発症した者は、運動をした患者の約2倍に上ることが示されたそうです。末梢神経障害の治療、ではなく、発症そのものを”抑制する”ということが分かった、ということになります。

また、抗がん剤投与時の手指冷却は効果が示唆されています。以前も書いたように自分で氷 キャンプ用冷却材を持って行って握っておくのが簡単です。冷却グローブをしてくれる施設もあります。

パクリタキセル投与時は投与時の冷却と 投与後元気になったら運動に気を付けてみてください。
(しんどくて運動なんかできるかと御叱りを受けそうですが!!!)

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