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生きづらい人間のワーキングホリデー経験とサバイブ術【生きづらい貧乏サバイバー向け】


●生きづらいこそ海外という選択肢を持つ

私はいろいろな生きづらい要因でもうたまらなくなり、追い詰められたように海外へ行った経験のある人間です。海外に行く日本人は明るいキラキラした元気な人が99%ですが、私のような生きづらさを感じていて資金の乏しいひねくれ者でも行ってなんとかなったという一応の成功経験と、具体的なサバイブ法をお伝えしたいと思います。情報古いですが。

●ワーキングホリデービザ

30歳以下が取得できる海外1年労働ビザです。1年放り出してもらえて、現地で働けます。私はこれを利用して2018年、オーストラリアへ行きました。英語圏の移民国家ということでアジア人でも肩身が狭くないです。それと英語が日本人にとって聞き取りやすいのがかなり良いです。当時は保険加入義務も残高証明も要らなかったんで、申請メール送って3分くらいでビザ発給されてびっくりしました。

●資金の決め方

2018年に20代限界貧乏サバイバーだった私は、飛行機別にしてオーストラリアに手持ち8万で行きました。滑らない話です。
後々ネットで「ワーホリ持参金は最低でも150万円」っていう情報見て爆笑したのを覚えています。貧乏サバイバーがその金額準備するのにどれだけ労力かかるんでしょう?ああいう情報サイトは、エージェントを名乗る謎の機関や高額海外保険、爆裂高額語学学校のリンクが貼られており、要するにバックのある富裕層狙いなので、貧乏サバイバーには関係ないです。
8万でよしとした理由は当時の「世界都市部の1ヶ月で必須の生活費」を結構詳しく調べたからです。その中で「東京は1ヶ月平均10万円」は世界的にもかなり上位の方であることが分かりました。当時私は東京で生活していてこの感覚が肌でわかったので「じゃあシドニーは10万前後で1ヶ月生きられる」と考えました。
行きたいけどお金がないという場合、「今現在都市部でリアルに1〜2ヶ月かかる金額」を調査し、その分の資金を基準に考えるのをお勧めします。
その間に必ず仕事を見つける、というモチベーションも上がります。死活問題なので。

●情報収集の仕方

情報収集にあたっては、長期滞在を考える場合は、「日本語で日本人向けに書かれた情報」をあてにしないことです。
SNSだったりブログだったりの海外生活の発信、とにかく「日本語で日本人向けに書いてあるもの」は多かれ少なかれ「海外憧れ搾取」の要素を含むので、とにかくノイズが多い。
生きづらい限界貧乏サバイバーが、公費留学エリートの海外生活情報を見たり、優雅な駐在妻の生活情報を見たり、「友達最高!出会いに感謝!」と言っているお金持ちの語学留学生のキラキラ生活情報を見たところで無益です。むしろせっかくの決意が揺らぎます。基本的に日本語で日本人向けに発信されている海外の情報というのは「『海外に憧れている大多数の日本人』を読者対象にしている」ことを前提にして、取捨選択をしましょう。旅行の情報収集や、特に行く気の無い国の情報を見るだけなら構わないのですが、本気で一人長期滞在を考える場合、よりリアルなものが必要です。現地の生活情報収集は、現地の言葉で現地人から!です。
・現地人のFacebookをフォローしまくろう
現地の大学生をたくさんフォローしました。大体の大学に語学交換コミュニティがあります。ハローハロー言って入りまくりました。そして狙いを決めた都市部に知り合いを作っておいたので助かりました。
・Hellotalkで質問攻めをしよう
ハロートークは一対一で会話できます。そこそこ個人情報を登録する必要があるのと、学習意欲のある人間が多めなので身元が確かであり、Facebookより使い勝手が良いです。私はフォロワーを質問攻めにして大体の準備をしました。

●ワーホリ語学学校不賛成

語学学校は生きづらい人にはお勧めできません。
語学学校は、野心にあふれて元気満点な人々、もしくは移住を人生の目標にしているガチ勢が世界中から集まっているからです。そうした場の独特の圧が、生きづらい人にはきついかと思います。そして、また苦手な「集団」に属さなくてはいけなくなります。嫌ですね。
また、資金の問題で安価な変な学校に行ってしまうと、若者をカモろうとする謎のマルチビジネス団体や、ワンチャン狙いで執拗にパーティーやクラブに誘ってくる柄の悪い現地学生団体に絡まれる確率が上がります。これはオーストラリアの変な語学学校卒の子から得た間接的情報ですが、私もマルチの勧誘はあいました。要注意。
もし行くのなら有名大学附属で、そこの大学の正規留学生が通うために作られた語学センターなどが良いと思いますが、爆裂高額なので現実的ではないでしょう。

そして語学学校へ行くのはワーホリではなく、それなりに歳をとってから高級なマンツーマン学校に腰を据えて通うのでもいいのではと思います。
オーストラリアで留学に来ているという日本人老夫婦に会いました。彼らはNHKラジオで英語学習をずっと趣味でやっていて、定年後に念願の留学に来たとのことでした。彼らはそれはそれは楽しそうに、まさに味わいながら、感謝しながら勉強しており、そんな彼らを見て「語学留学は年齢関係ないな」と思ったのを覚えてます。

●仕事の探し方

生活資金が1ヶ月分しかないので、恥とプライドをかなぐり捨て(貧乏人最大の強み)、その辺の飲食店や小売店に飛び込んで履歴書を渡しました。「私は現在仕事を探しています、困っています」と誰にでも言いました。
キリスト教ベースの西洋圏は、日本とは「公共」「親切」「社会」の概念が日本と全然違うので、困っている人間であることを説明して正直に相談したり訴えたりすると、結構具体的に助けてくれます。
そうした親切に感謝して生き延びましょう。私は海外での孤独サバイブ経験によって、ヒトが持つ人間性というのをようやく知れました。それ以降私は、深刻な人間不信は「異邦人交流で多少良くなる説」を唱えています。

●具体的サバイブ術


・教会へ行こう
毎週日曜日は各地の教会でチャリティをやってます。掃除とか食事の配膳とかすれば、地域の奥さんたちのご飯を食べられました。とにかく教会へ…。
教会では自分の信じる宗教を聞かれることがあります。異教徒でも怒られたりしません。「仏教」というと突っ込まれることがありますが、「神道」と答えると曖昧に会話を打ち切れます。「無宗教」はうっすらとひんしゅくをかいますのでお勧めしません。
教会には感謝しています。黒歴史すぎて恐縮ですが、泥酔したところを教会の牧師さんに救っていただいたことがあります。礼拝堂に寝かせてくれて、起きたら目の前一面、朝日で輝くステンドグラスでした。あの目覚めが人生の中で一番神々しい目覚めです。

・陽キャパーティーに混ざろう
海外の陽っぷりと体力は凄まじいです。海外の陽の若者は連日、なにかしらのパーティー、飲み会、バーベキュー、映画観賞会などの会合を開いています。誰でもウェルカムで、数十人規模のものです。私は全然知らない人の誕生日パーティーに入れてもらったことが何回かあります。ありがとうございました。そういうパーティーでピザやビールだけいただいてしれっと帰る、ということをよくしていました。実際に知り合いも作れます。
ただ、さすがにパーティーの概要くらいは確認しましょう。私は適当に参加したオフ会がバチバチの自然保護の会で、日本人だということで捕鯨について喧嘩売られたことあります。友達はビーガン団体パーティーにハンバーガー持ち込んで小一時間説教されたそうです。アホですね…。 

・中国系の店でバイトしよう
移住中国人の店でバイトするのはサバイブしやすいのでおすすめです。
中国の人たちは一度身内認定すると、ちょっと怖くなるくらいに親切にしてくれます。また、一体化を強要してくる日本の身内関係とは違って、筋の通った文句や異論にはそれなりに聞く耳を持ってくれます。
私は中国人一家の経営する鉄板焼き屋でアルバイトしていましたが、いつも美味しいご飯を作ってもらって、たくさん親切にしてもらいました。感謝しています。中国語勉強しようと思ったきっかけの一つです。
しかしながら中国人たちは「幇」の反動なのか、身内認定以外の他人には信じられないくらい関心が薄いのがカルチャーショックでした。そりゃ他人ありきで自分を作る日本とは世界観が真っ向から合わないなと実感しました。

●「自発性」について

西洋社会では正直に相談したり訴えたりすると、結構具体的に助けてくれると言いましたが、それは裏を返せば「自発性がないとやりづらい」になります。自発性の重要性の違いを痛感したのは、ホテルの掃除のアルバイトをしていた時のことです。
掃除スタッフは3人グループで、ホテルの各階を回って行っていました。
ある時、私のグループが、掃除する階の順序を間違えて仕事に遅れが生じました。結果的に間に合いましたが、チェックインギリギリまでかかってしまいました。
その時私はグループの班長の指示に従っただけでした。指示を受けた時少し疑問を持ったものの「言われた通りにしなきゃ怒られるか」と指示通りにしたのでした。
仕事が終わってから、マネージャーから一人ずつ呼び出されて大変叱られました。
「お前はなんでこの順番でやった?」
「班長の指示でやりました」
「いや違う。なぜ「お前は」この順番でやったのかと聞いている」
「だから班長の指示通りに…」
「いやだから…」
と何回か巡ったところで、マネージャーが
「お前はリーダーの指示でなんでもやるのか?!じゃあ俺が「今すぐ階段ダッシュで屋上まで行け」って言ったらお前はやるんだな?!そういうことだな?!」
と烈火のごとくキレ出しました。
「仕事がギリギリになったこと」より、「言われたことを鵜呑みにし、自分の考えを持たずにやったこと」の方を、より強く叱られたのです。

日本との大きな違いを感じました。日本では、「〜さん(上の立場)がそう言ったので」という釈明は正当性を持ちます。いや、むしろそうしないと怒られます。私は今までそのことに疑問を持ったことはありませんでした。それをごく普通に免罪符にしてきたことも、全く気づきませんでした。
しかしこちらでは、いくら上からの指示でも、自分の考え、自分の責任を全く抜きにして仕事することは許されないのです。この時大変なカルチャーショックを受けまして、そして嬉しくなりました。そのあとは班長に文句を言いまくるようにしてました笑
生きづらい人が怒られがちなマイルールゴリ押し性質、すぐ疑問もつ性質は、海外で活きるといえます。

●ADHD気質に英語は向いている説

よく言われてると思いますが、英語の文法はSVOで、日本語のSOVとは違います。
日本語は結論が最後に来る作りであるため冗漫になりがちですが、英語は結論を述べてから説明をくっつけるというスタイリッシュなつくりです。喋る時も結論から考えるようになります。
単刀直入に結論を言って怒られがちだったり、曖昧な長い説明や婉曲表現が苦手で「結局何が言いたいの?!」になりがち、そういうADHD気質の人間に英語は向いてると思います。英語を話すと伝達の風通りの良さ、明快さに気持ちよさを覚えるはずです。

●カルチャーショックでメタ認知が広がる

私にとってのワーホリは、自分の生きづらさの何か突破口にしたいな、という感じでした。異邦人になって異国人と交流する経験は、無理矢理メタ認知を広げられたので、行ってよかったと思います。
「ワーホリで最高の出会いがありました!最高の仕事ができました!最高の経験しました!」系の内輪マウント発信は全部無視して、自己探求のために、ひとりきりの外国語カルチャーショックの冒険をお勧めしたいです。
有意義なカルチャーショックの冒険に重要なのは、「ひとりきりになること」です。不安から日本人集団に属さないことです。せっかくの異邦人なのですから楽しみましょう。元々うまいこと日本人集団に属せていない生きづらい人なら余裕だと思いますが。

●最悪大使館に駆け込めばいい


行ってしまえば結構なんとかなります。そしてなんとかする義務も別にないです。最悪、大使館に泣きついて、飛行機代借りて帰ってくればいいんです。ワーホリは期間中なら何回行き来してもいいのが強みですね。
この記事で誰かの心のハードルが下がったらいいなと思います。
グッドラック


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