肉じゃがと俺たち
「肉じゃがってご飯のおかずにならないよね?」
タクローがいきなり話し出した。
「え?タクロー、お前いきなし何言ってんの?」
ミキオはタクローの顔を覗きこむ。
「いや、肉じゃがってさおかずとしては甘すぎるじゃない?」
「いや、そりゃそうだけど…」
「なんかおふくろの味の代表格みたいに扱われてるけど、出してもそんなにテンション上がらないよね」
「ああ、なんかわかる。おかずにしては甘すぎるんだよな」
「でしょ?茶碗蒸しなんかもちょっと物足りないっていうか」
「あ~。でも俺あんまり茶碗蒸し食べないからいいわ」
「え?」
タクローとミキオが盛り上がっていると、
「俺は肉じゃがでも茶碗蒸しでもご飯が食べられるけどな」
カズが話に入ってきた。
「え?カズは肉じゃがでご飯食べられるの?」
タクローがカズに聞いた。
「俺は出されたものはアレルギーだったり、腹が痛くない限りは残さずに食べるよ。それが作ってくれた人への最低限の礼儀だと思うし」
「うわ、いい所もってこうとしてる」
ミキオが嫌な顔をした。
「なんでそんなこと言うんだよ!食べ物に文句つけることが許せないっていってんだよ!」
カズは叫んだ。
「カズさ、最近キャラが変だよ?」
タクローが苦笑しながら言った。
「作ってくれる人がいるから俺たちはご飯が食べられているんだろう!それをおかずにならないと言って食べないなんてもってのほかだ!そもそも…」
「あ、カズはこうなるとダメだ。行こう」
「うん。話にならないね」
ミキオとタクローはその場を離れた。
カズはまだ怒り続けていた。
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