クラス委員と俺たち
「タクロー、今日休みなの?」
ミキオがカズに質問する。
「うん。今日は風邪だって」
カズが答える。
「そっか、なんか寂しいな」
ミキオが手を後ろに組むと、
「ちょっと、台東くん」
とミキオを呼ぶ声がした。
しかし、ミキオはそんな声などしなかったと言わんばかりに無視を決めこんでいる。
「ちょっと、台東くん!」
声は次第に大きくなっていく。
「なんだよ、クラス委員」
ミキオは声の主に向かって気だるそうに返事をする。
そこには1人の女子生徒が立っていた。
彼女の名前は、橘立花(たちばなりっか)。
ミキオ達のクラスメイトであり、クラス委員である。
クラス委員になるにはあまりもピッタリすぎる真面目な性格である。
「これ、大沢くんに届けてくれる?」
と立花はミキオにプリントを渡してきた。
「大沢…、あぁ、タクローに渡せばいいのか」
「そう、大沢くんに」
ミキオは一旦間を置いてから、
「橘が渡せばいいんじゃない?」
と言った。
「え、なんでよ!?」
立花は驚いた様子を見せる。
「だって橘ってクラス委員だろ。こういうのはクラス委員が届けるべきなんじゃないのか?」
こうは言ってはいるが、ミキオは単に面倒くさがっているだけである。
「いや、あなた達大沢くんと仲がいいんでしょ?だったらあなた達でもいいでしょ?」
まさか断られるとは考えていなかったような顔をして、立花が声を張り上げる。
「いや、ここはクラス委員が言った方がいい。な、カズ?」
「そうだな。クラス委員が言った方がいい」
カズはミキオに乗っかることにした。
その方が面白いからである。
「…もういいわよ!私が届ければいいんでしょ!」
立花はミキオからプリントを取ると、怒った様子で教室を後にした。
「…さ、お見舞いに行こうぜ」
ミキオがカズに声をかける。
「あぁ」
二人はゆっくり教室を出た。
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