見出し画像

シチューと俺たち

「シチューってご飯のおかずにならないよな?」


ミキオが突然こんなことを言い始めた。


「え?一体何を言ってるの?」


タクローがいぶかしげにミキオを見る。


「タクロー、ミキオは疲れてるんだよ。そっとしておこう」


カズがタクローの肩に手をやる。


「おい、そんなんじゃねえよ!聞けよ!」


ミキオが憤慨する。




「でさ、こないだ晩御飯がシチューでさ、それで俺が『シチューってご飯に合わないよな』って言ったら、母ちゃんにすごく反対されてさ」


ミキオが理由を語る。


「そうなのか」


「確かに合わないかもな」


カズが頷く。


「な、合わないだろ?」


ミキオが前のめりになる。


「うん、俺、シチューの時はパンを食べることにしてるから」


「…パン?」


カズの突然の告白に、ミキオは固まる。


「パンの方がご飯に合うし、最後までシチューをすくえるんだよ」


カズが力説する。

自然と前のめりになる。


「いや、ご飯の方が合うよ」


「パンの方が合うって!」


ミキオとカズが主張していると、


「俺はパスタの方が合うと思うけどな」


とタクローが言った。


「…パスタ…?」


ミキオとカズが声を合わせた。


「ないない!」


と2人で笑った。


「絶対合うよ!」


今度は、タクローが前のめりになった。

いいなと思ったら応援しよう!

ブラウンシュガー
こんにちは。 ブラウンシュガーです。 更新も不定期で話題もバラバラですが、よければフォローや記事の評価をよろしくお願いします。