ジャズ雑記 〜2024年振り返り〜
気がつけば年末なので少し振り返りを。
今年は自分でもびっくりするほどジャズの好みが変わった。
ビバップ以降のスタイルのジャズをほとんど聴かなくなった。
近年はアーリージャズと一括りで言われることが多いビバップより前のジャズや、その人たちが50年代に遺した録音が主になった。
ビバップ以降のジャズ(ここでは簡単にモダンと呼ぼう)は、今の自分には激しすぎる。
もちろんアーリー系も激しいものは激しいけれど、何かちょっとベクトルが違う気がするのだよね。
そもそも、今3大レーベルと呼ばれ、ジャズの名盤と言ったらという盤が沢山のブルーノート、プレスティッジ、リバーサイドなどは当時、一マイナーレーベルだった。
それは知識としては知っていたけど、同時期の大手コロムビアの作品などと比較して聴くことを意識したら、何だかいろいろ発見があったというのも今年の発見というか、気づきというか。
誰に・どんな層・どんな数に向けての作品か。
マイナーレーベルで盛んなモダンの録音は、今は聴き馴染みのある王道ハードバップでも、かなり前衛なのだよね(それを言えばルイ・アームストロングのホット5、ホット7もニューオリンズ・スタイルと簡単に括ってはいけない前衛なのだけど)。
マイナーレーベルゆえに、尖ったものが生々しくそのまま残せたという功績も大いにあるけど。
しかし、ビバップが本当に革命すぎるのよね。良くも悪くもジャズのいろいろを変えてしまった。
当時のジャズファンは、ビバップなんかジャズじゃねえ!と論争が起こっていたそうだけど、アーリージャズをいっぱい聴いて、その気持ちが良くわかるようになった。
良い面も沢山あったけど、最近は悪い面がよく目につく。
なんと言っても、ビバップ以降は音色とタイムを犠牲にし過ぎた。そこが個人的には一番痛い。
そして、よりアートに、より自己表現に重きが置かれるようになったのもあるのかな。
そういうことで、もっとピュアで、もっと大衆に向けられた、もっとナチュラルで美しいことが多い、どこか寛ぎ感もあるアーリージャズに趣味嗜好が移行したのだと思う。
何故そうなったかは、やっぱり自分の環境の変化が大きいのだろうと思う。
いろいろあったけど、いろいろ落ち着いた。
全然落ち着いている場合じゃないこともあるのだけど(主に仕事面)。
まあしかし、生きているということ、それだけで本当に幸せで、かけがえのないものなんだと骨身に沁みた一年だった。
ありがたいことに、良き伴侶と穏やかな環境の家に住むことができ、近くに食材が本当に美味しい市場もある。
神戸というのは海も山も街も近く、もう何だか全てがあって、とても満たされている。
だから、刺激物は前より必要なくなった。
ただそれだけの話だろう。
前までは満たされない何かを埋めるために、音楽を聴いていたのだろう。
服はユニクロの地味なやつで十分だし、食器とか家の実用品も雑貨屋のおしゃれなやつでなく、ホームセンターの本当にベーシックで使えるやつでいいし、たんぱく質は基本お豆腐とか魚のすり身とかでいいし、あんなに好きで飲んでいたコーヒーもたまに飲むだけ、普段はお茶屋さんの美味しいほうじ茶が最高だし。
きっとそういう変化が、聴くものにも出たまでのこと。
選ぶものというのは、その人そのものを表わす。
そして、そんな自分に今関わってくれている周りの人は皆穏やかで素敵な人ばかり。
これは私の一番の自慢。
だからきっと、人生は良い方向に進んでいるのだと思う。
いろいろあった一年だけど、きっとこのまま穏やかに、良い人生を過ごせる気がしている。
実際にそうなることを祈って。