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ジャズ雑記 〜私的ジャズヴォーカル名盤5選〈その⑤〉〜

前回↓の続き。

4枚目までは本当にしょっちゅう聴く愛聴盤だったのですぐ決まったが、5枚目はどれにしようか迷った。
別に4選にしてもよかったのだけれど、5選の方がキリが良いものね。

そんなこんなで、今回のアルバム。
実を言うと以前手放してしまって、最近聴き直し感動して買い直すという、音楽好きあるあるなことをしてしまったもの。愚かだ。
今やサブスクの時代で、そういうことをする人自体、いなくなってきたのかもしれないが。

エラ・フィッツジェラルドの「アット・ジ・オペラ・ハウス」。

このアルバム、前半と後半でほとんど同じ曲が同じ順で並んでいるが、これはLPレコードでステレオ盤とモノラル盤が発売されたことによる。

モノラル盤の方はオペラ・ハウスではなく、別日にロスのシュライン・オーディトリアムというところで録音されたもの。

何ともややこしいが、CDやサブスクではどちらも収録されているので、ありがたく両方聴ける。

1〜9曲目がステレオ、オペラ・ハウスでの録音。
10〜18曲目がモノラル、シュラインでの録音。

オペラ・ハウスの方はやや録音状態が気になるが、ライブ特有の熱量が高め。その分やや雑に聞こえるところもあるが。
シュラインの方はオペラ・ハウスと比べると、良く言えば丁寧、悪く言えばイヤらしい感じが少しあるだろうか。
個人的には、最近はシュラインの方がお気に入り。

まあ、ちょっとした違いで、好みの問題で片付けられそうな気もする。
ジャズの録音事情に慣れていない方は、多少録音の良いシュラインの方、10曲目から聴くのも良いかもしれない。
(経験した人なら頷いてくれると思うけど、ジャズを聴き続けていると、40年代以前の録音も普通に聴けるようになる。むしろ生々しいなぁとか感じたり。何なんだろうね、あの現象。)

ジャムセッション的なトラックを除けば、メンバーはオスカー・ピーターソン(ピアノ)、ハーブ・エリス(ギター)、レイ・ブラウン(ベース)、ジョー・ジョーンズ(ドラム)。

申し分ない。

軽快なアップテンポの曲も愉しいし、個人的には(それぞれの)3、4曲目のバラードがたまらない。

小編成の完璧な布陣で、調子の良い、全盛期のジャズヴォーカルのレジェンドを堪能できるアルバム。
こういうのって、ありそうで、なかなか希少なのよね。

ちなみにエラのライブ盤というと、「エラ・イン・ベルリン」が有名で、確かに良いんだけど、個人的には断然こっちを推したい。

録音は1957年。当時のジャズの人気も伝わってきそうなアルバムだ。
是非、ホールに聴きに来たつもりで、その熱狂の渦に巻き込まれてみてほしい。

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