ジャズ雑記 〜MOODSVILLEや、それ系のアルバム〜
俗に3大ジャズレーベルと呼ばれるものがある。
ブルーノート、プレスティッジ、リバーサイド。
モダンジャズの黄金時代を見事に捉えたレーベル達だが、当時は全てマイナー、インディーレーベルにすぎなかったのだからおもしろい。
インディーだったからこそ、商業に流されすぎず、ピュアで良質なレコードを作れたのだと思うが。
さて、そんな3大レーベルの1つ、プレスティッジの傍系レーベルにMOODSVILLEというものがある。
その名の通り、バラードやスタンダードを中心に「ムード」を演出するようなレコードばかりだ。
ジャズに刺激を求めていたときは、ぬるいなぁと思っていたけど、ここ1年でお気に入りのアルバムが3枚もできた。
左のレコードはクラーク・テリー(トランペット、フリューゲルホルン)の「エヴリシングス・メロウ」。
元々金管楽器はビバップより前のスタイル、奏者が好き。
クラーク・テリーはそんなフィールが存分にあり、音色も良いので大好きなミュージシャン。
右のレコードはタフト・ジョーダン(トランペット)の「ムード・インディゴ」。
エリントン曲集だ。
彼も古風なスタイル。チック・ウェブ楽団やデューク・エリントン楽団に所属していた名手。
本当に楽器が上手く、味わいも深いので、もっと早く知っておきたかったアルバム。
CDはケニー・バレル(ギター)の「ブルージー・バレル」。
コールマン・ホーキンス(テナーサックス)の名盤、「ジェリコの戦い(邦題)」のメンバーにコンガを足し、そこにケニー・バレルが参加した形のアルバム。
独特の雰囲気がある演奏。
しかしケニー・バレルの音色はズルいですねぇ。色気がムンムン。
わざわざ傍系レーベルを作るくらいだから、こういう、良い意味で聞き流せる、日本人が一般的に持っているジャズのイメージ(夜にグラスを傾けながら聴くみたいな(?))のアルバムは、当時も一定数需要があったのだろうか。
他のレーベルでもたまにそういう類のアルバムがある。
有名なところではブルーノートのスタンリー・タレンタイン(テナーサックス)、「ブルー・アワー」。
いつも最高にご機嫌なピアノ・トリオ、スリー・サウンズをバックにしたタレンタインの、大好きなアルバム。
ちょっとしたオケをバックにしたウィズ・ストリングス物も、その類かもしれない。
チャーリー・パーカー(アルトサックス)やクリフォード・ブラウン(トランペット)のアルバムが有名。
ジャズを聴きたいなぁという時より、その奏者を堪能したい時に割とよく聴く。
そういう意味で、ウィズ・ストリングスはどこか突き抜けている、限られたミュージシャンのためのものだと感じる。
たぶん意図的に、キーやテンポが同じ曲を続けたりしているので、あれ?今どの曲だっけなぁ?とかなったり、ともするとかったるいアルバム達にも思えるけれど、ただただリラックスして聴くのも良し。
表には隠されたキラリと光る技を堪能するのも良し。
激しく、熱い演奏だけが良いジャズではない。
MOODSVILLEや、それ系のアルバム、お気に入りを探してみては?