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ジャズ雑記 〜ジャズメンへのインタビュー本〜

先日、図書館で「ジャズメン、ジャズを聴く」という本を見つけたので読んでみた。

スイングジャーナル連載の企画だったらしい。

ジャズファンならお馴染み(?)の「ブラインドフォールド・テスト」という、レコードをかけて誰の演奏か当てるものを、名だたるジャズメンにしてもらうという企画だ。

ただし、当ててもらうのが目的ではなく、かけたレコードやその演奏、ミュージシャンなどについて語ってもらうというのが主旨だ。

これが中々おもしろく、一気に読んでしまった。

どこぞのよくわからない評論家の文章より、ジャズを作ってきた当の本人たちの生の声だから、そりゃあ得るもの多し、という感じ。

(最近の評論家に好きな人はいないが、文献を読む限り、昔は良い評論家が結構いた。
個人的には、演奏家、評論家、聴衆は三権分立であるべきだと思っている。皆それぞれのスタンスで、好き・嫌いをはっきり表明したらいいと思っている。大いに議論してぶつかればいい。その方が文化的に良いと思うんだけどな。)

ちと選盤に時代や、個人的な嗜好を感じるところはあったが、興味深い話が沢山載っていた。

全体を通じて印象的だったのは、皆、オリジナリティ、個性をすごく重視しているということ。

若手の没個性な演奏には痛烈に批判したり、日本人の演奏でも「らしさ」を感じるものは忖度なしに賞賛していたりと。

ホレス・シルヴァーは、「あの時代のピアニストは今のようにテクニックにこだわらず、どうしたらテイスティな演奏ができるかをいつも考えていた」、という旨の発言をしている。

今のミュージシャン全員に聞かせたい発言だ。


インタビュー本のおもしろさに開眼してしまったので、もう一冊、こちらはつい購入してしまった。

「カンバセーション・イン・ジャズ」

すごい面子。

表紙に記されているジャズジャイアント達の、なんと1960年前後、正に「その時代」に行われたインタビュー集だ。

訳が少し拙いように感じたが(あと解説は全くイラナイ)、貴重な資料。
当時、彼らが何を感じ、何に悩んでいたかまで記されている。

桁違いの天才達と思ってしまいがちだが、彼らも同じ人間なんだなぁと、感じることができる。

これまたミュージシャンにこそ読んでほしい本。

ソニー・ロリンズが、ピアノは非常に支配的な楽器で、良い伴奏ができる人が少ないと言っていたり、フィリー・ジョー・ジョーンズが、ベイビー・ドッズやシド・カトレットなどの時代のドラマーの重要性を説き、ドラムはバスドラム、スネア、シンバル1枚あればいい、シンバルがなかったらスネアだけでいい、と言っている。

弾きすぎ、叩きすぎの傾向は何も今だけでなく、昔からだったんだなぁと。


最近、ジャズというものが何なのか、自分の中で何となく固まってきたように思う。

それは、私がこうだと言っても、他の人にもそうだとは限らないものだと思うので、文字にはできない。

自分で見つけるしかないものだと思う。

ルイ・アームストロングの言葉で締め括るとしよう。

「ジャズとは自分が何者であるか、でしかない」
-ルイ・アームストロング-

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