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たわむれ
バッハのシャコンヌを聴きながら、公園に散歩に行ったら銀杏がたくさん落ちていた。
踏まないように歩く。
くさいのになぜか美味しい食べ物、銀杏。
アイスカフェラテ片手に椅子に座って、噴水を見ると水しぶきの合間から虹が出ていた。
普段目に見えなくても、こうやって赤外線だの紫外線だの電波だのがあちらこちらにあるのだから、もう目に見えるものだけ信じたり追いかけたりするのをやめようと誓う。
これ、結構何度も誓っているのに忘れてしまう。
私の勤務先の介護施設にいるおばあさんを思い出した。
突然激怒したり、そうかと言ったらケタケタと上機嫌に笑い出したりする人がいて、いくら認知症を患っていると言っても対応しずらくて、スタッフの中には「苦手だ」と感じている人は少なくない。
このおばあさん、先日突然
「ねぇ、銀杏を食べる昆虫がいるんですって」
テレビを指差しながら私に話しかけて来て、私は突然死ぬほど笑いが込み上げて来て爆笑した。
ギンナンを食べる昆虫がいる、というチンチクリンなパワーワードを聞いたらもう笑いが止まらなかった。
おばあさんは一緒に笑っていたが、おばあさん、わたし、ヘンですよね。
ねえ、おばあさん、わたしもヘンな人なの。
昔っからみんなが笑わないところで爆笑してしまうヘンな人で、よく嫌われたものだ。
わたし、きっとおばあさんみたいに、ヘンなタイミングでヘンなことを言うおばあさんになると思う。
そして人に嫌われるのだろうけど、別にいいや。
噴水の中に2匹のカモが泳ぎ、時折美しい虹が出ていた。
それらを見て、美しいと思えるのだから人に嫌われたり理解されなくても別にいいやと思えた昼下がり。