『集中力はいらない』(森博嗣 著)を読んだ【新書1/50冊目】

集中することが必ずしも良いことであるとは限らない。
そのような主張が書かれている本、『集中力はいらない』(著 森博嗣、SB新書)を読みました。

本書の内容を交えながら僕が考えたことを書こうと思います。
本の内容と、自身の考えが混じって分かりにくいところがあるかもしれません。ご了承ください。


子供は幼いころから、一つの事に集中することを親や学校の教師から求められます。勉強がその典型的な例だと思います。勉強中、意識があちこちに分散してじっとしていられない子供は叱られ、机に座っていなければいけないことを教え込まれます。
私たち大人も、一般に意識が分散してよそ事をしながら、または他のことを考えながら仕事をすることは良くないとされます。
つまり、世の中では集中することは良いことであり、集中できないのは悪いことであるという考えが一般的です。

しかし、著者はその”集中力信仰”に疑問を呈しています。
集中にはそれだけ力を使います。他の情報を遮断して、今目の前にあるタスクに力を一極させるからです。
著者は、集中におけるデメリットを提示しながら持論を展開していきます。

そして、本書の半分は集中しない力つまり”分散力”ともいえる力にフォーカスして話が進められます。
ひとつは、集中しないことで客観的視点が養われます。タスク(あるいは考えるべき課題)を並行して進めることで客観的で多角的な視点が養われるといいます。

しかしここで勘違いしてはいけないのは、所謂”マルチタスク”がよいと主張しているのではなく、一つのことに疲れてきたタイミングで他のタスクに移るということです。つまり、短期の集中は否定しません。
イメージとしては、学校の授業で時間割ごとに全く違う教科を受けることに近いと思います。

そして著者は、発想は集中している時よりもリラックスしている時に生まれやすいということにも触れています。
歴史上の偉人が散歩や入浴中に画期的なアイデアを思い付いたエピソードもたくさんあります。
三上(馬上、枕上、厠上)という言葉が中国にあることも知られています。
これらは、思考の分散とひらめきは相性が良いことを示しています。


このように、著者は集中力が善であることへの疑問と分散した思考の在り方について説いています。
主張が明確で読みやすい本であると感じました。

以上、読書記録でした。
皆さんの参考になればと思います。


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