シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 冬月とマリの話とか
2021年3月、小学生の時から見ていたコンテンツがひとつ完結を迎えた。
リスタートと延期を繰り返す中でとりまく社会状況も個人のライフステージも変わり、感情移入するキャラも新陳代謝しながら、考察や妄想を繰り返した僕にとっても大満足の卒業式でした。
ありがとう、そしてさようなら、すべてのエヴァンゲリオン。
何か残しておきたいので、感想とそのほか覚書。
■冬月とマリ
シン・エヴァンゲリオン劇場版で一気に好きになったのがこの二人
マリは言わずもがな。漫画版のフォローありきだけど、
同窓のゲンドウとユイ、そして彼らの子供であるシンジへの無償の愛を貫いたマリは計画に反逆するイスカリオテのユダであり、神の子の帰りを待つマグダラのマリアである。
ミサトにもアスカにもカヲルにもレイにも、そして両親とすべてのエヴァンゲリオンにサヨナラを告げたシンジをたった一人旧作とは違う全然知らない価値観から迎えに来た、つまりめちゃくちゃいい女。最高。真希波マリイラストリアスの存在に6億点。
冬月先生は終始楽しそうだった。
自らの教え子であるゲンドウとユイの計画に協力し、ヴィレ総力を結集した最終決戦に臨む覚悟ガンギマリな鬼神ミサトを迎え撃つ。
(計画の提唱者でもある反目していた父に命を救われ、自己を犠牲として世界を救った恋人ともう会えない息子をずっと背負っている。ぶっちゃけ一番主人公補正もらってるのはミサトでは?)
軽快なマーチに乗ってヴンダー級を三隻操り、単純火力に幾重も策を重ねて前代未聞の艦船同士の格闘の裏の裏をかき、鬼神ミサトを終始圧倒する。
ここまでは計画を進める傍観者として、というよりゲンドウの夢がかなう瞬間を目撃するために傍らに立ち続けた冬月が、ほんとは滅茶苦茶にヤバい存在だったんだというのが最高に気持ちよくていい。
あと多分EVA型兵器シリーズの趣味の悪さも冬月(形而上生物学の教授)のセンス。ほんとヤバいジジイ。人類の行く末を案じるやさしいマッドサイエンティスト。
最後に10号機以降を残したのも、きっともう一人の教え子のマリ=「イスカリオテのマリア」のため。冬月の想いを文字通り喰らって、マリはシンジを救いに最後の地へ赴く。
なんだかんだ、世界を滅ぼすほどの情熱を抱えた教え子(ともしかしたらその息子)が願いをかなえる姿を眺めるのが一番楽しかったんだろうな。
ゲンドウがあんなんなんで、作中一番父性(爺性?)を感じる存在になったのは意外だった。
二人とも、知識欲に忠実で、好奇心が強くて、同窓の友人とその息子たちにも愛情を注いでいる。家族や血縁からちょっと離れたところにある愛とか、ひいては人類愛に近い考えをもった存在っぽいのが好きな理由なのかもしれない。
そう言えばゲンドウはいい加減冬月に席を用意してやれや、と思ってたけど、あれは「あなたはこんなところまでついてこなくていい」というゲンドウなりの親離れに似た拒絶だったのかな、わからんけど。
■箱舟としてのAAAヴンダー、
最終決戦「ヤマト作戦」エントリー直前に播種(ビジュアルもタンポポの綿毛)
そもそもエヴァは第一始祖民族の播種から始まった話(黒き月、アダム)、
もしかしたらそういう意味でのダカーポ(くりかえし)の話だったのかもしれない。
■4体のADAMSとfourhorsemen
黙示録の四騎士「fourhorsemen」であり、反逆の神殺しであるAAAヴンダーとそれから生まれた新たな槍「ガイウス」
ロンギヌスとカシウスもあの四隻のアダムス由来だとしたら、もしかしたらまだどこかに1本残っているのかも。
■加地さんとカヲル君は似たもの同士
個としても総体としてもヒトを愛していて、
すべき時にすべき事をする、呪いをかけてでも完遂しまう存在。彼らこそがエヴァの呪縛。好き。
■新2号機
JAアーマー着てミサイルポッドにガトリング満載してダイビングエントリー、からの合体武器乱舞、アーマーパージ!8号機との合体ATフィールド光の腕ミキサー! 第13号機へ到達からのやったか…!?からのアスカ=第九使徒の力も使ってシン化、エヴァであり使徒として最後の仕事に食らいつく様は、もう惚れ惚れするほどに完璧な2号機しぐさ。
毎度ボロボロになる2号機が可哀そうになりながら、最高の見せ場として機能している。フィギュア買うわ。
■8号機
『最後のエヴァンゲリオン お疲れ様。』
パイロット混みで一番好きな機体になったかもしれない。
オーバードブースターと見せかけて姫が存分に戦うための補給資材、フェイスオープン捕食&背光のギャップが好き。冬月の想いを受け取ったEVA8+9+10+11+12号機はもう、好きにせーややったれ!!感が大好き。
フィギュア買うわ。
■好きなやりとり
アスカ:どうしてあの時殴りたかったからかわかった?
シンジ:自分が責任を負うのが怖くて決断できなかった
シンジ:なんでみんな僕にやさしくするんだよ!?
カヲル:みんな君がすきだからだよ
マヤ:いつもぶっつけでしたらから!
マリ:人類はここまできたよ…ユイさん!!
行動してそして選択の責任をとるということ。
根底に流れる人類愛と優しさの奉仕、
現場のクソ力とそれを認める組織力、
シン・ゴジラからつながる技術力と人の叡智への賛歌が背中を押してくれる。
■誘導弾(ブースター直付け駆逐艦)とか馬鹿すぎて最高。
■シンジとゲンドウ
ここでは多くは語らないけど、
父か贈られたS‐DATの意味(知識と音楽なら孤独に耐えられるという、父親からの純粋な愛情)がわかるシーケンスがとても文学的。
■初号機+13号機
ラスト ユイとゲンドウそのものになる構図が大好き。
父に、ありがとう
母に。さようなら
そして、すべての子供たちに おめでとう。
■そして人類という種は続く。
『さようなら、すべてのエヴァンゲリオン』
『さよならはまた会うためのおまじない』
またどこかで会いましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?