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あべけん太 ~ダウン症のイケメン~(後編)

Q:障がいがないことが必ずしも幸せとも言い切れないですよね。そもそも人間同士を比較すること自体が誤りですものね。けん太さんが言っていたように「みんな違って、みんな良い。」のですから。
 比較することによって違いが生じますが、その違いを比較してしまうと優劣をつけてしまうのかもしれませんね。違いがあることを尊重し合うためには、どのようにしたら良いでしょうか?

A-    兄:社会的認知度を高めていけば、違いがあることを分かってもらうことはできるかもしれませんね。それでも、認知されるのと理解を得ることは異なるかと思いますので、尊重し合うまでに至るのは中々難しいことだと思います。

Q:たしかに、認知されたとしても一定数の差別主義者のような人たちは存在するでしょうね。それは、もうどうにもならないのかもしれませんね?

兄:みなが関心をもてとは言いませんが、差別や否定をしなくても良いのではないかと思います。けれど、どうしても偏った考えをする人も存在するとは思いますので、否定的に捉える考え方もあることを理解しておかなくてはならないのかもしれませんね。

Q:けん太さんが生きてきた中で、忘れられないエピソードはありますか?

A-けん太:24歳のときに、60歳だった母が事故で突然死んでしまったんです。とても優しいお母さんだったので、本当に悲しかったです。でも、大好きなお母さんを悲しませないためにも頑張っていこうと思いました。
 実は、今でも一緒にいると感じることがあるんです。仕事や練習などの頑張らなくてはならない時に肩のあたりを優しく押してくれています。

大好きな両親と一緒に

A-    兄:亡くなる前日まで元気だったのに、急に亡くなってしまったんです。
 僕らもまだまだ若かったので、そんな僕らを残していく母も無念だったかと思います。
 けん太は、母を心配させまいと翌日から会社に出勤していました。「忌引だから来なくて良い」と言われて帰らされていましたけど、その姿には自分も励まされましたね。
 不思議なことなのですが、母が亡くなってから順風が吹き始めたんです。テレビ出演やメディアの取材がくるようになったのも母の死後のことでした。
 きっと天国から母が応援してくれているのだと思います。
A-    けん太:僕には、会いたい人ややりたいことがあります。
高嶋ちさ子さんや壇蜜さんとお話してみたいですし、仕事やマラソンも頑張っていきます!!
ダウン症のイケメン・あべけん太は、これからも走り続けていきます!!

結 び(舘野)
 今日も一日、楽しかった??
 さて、改めて今日を振り返ってみて、いかがでしょうか?
仕事や勉学に励んだことで、充実した一日を過ごすことができましたか?
やらなくてはならないことばかりに追われる日々の中で見失っているものはありませんでしたか?
 私自身は、気が付けば仕事の生産効率や数字のことばかりを追って、何とも息苦しい一日を過ごしていました。そんな風に経済や物質的な豊かさを求めた先にどんな景色が見えるというのでしょう・・・なんて自問したりしています。
 けん太さんと話していて、今身の周りにあることへ目を向けずに彷徨った先で幸せを掴もうというのならそれは単なる幻にすぎないということを教えてもらいました。
 さあ、一日の終わりをどんな言葉でどう締めくくりましょうか?


国際交流会でチームのみんなと一緒に

今日も一日、楽しかった!!
 心ない人からの言葉に傷付き、人との違いに苦悩した日もあったでしょう・・・
 大切な人との急な別れにより、耐え難い悲しみの淵に立たされたこともありましたね・・・
 それでも、失ったものでなく与えられていることに感謝し、ひたむきに歩んできたからこそ自分でしか見つけられないたしかな幸せを掴んだのですね。
 朝希望とともに目覚め、与えられた仕事に励み、夜は美味しいビールを飲んで、「今日一日、楽しかった」と言えること以上の幸せなどあるのでしょうか?

ホノルルマラソンの際にご協賛頂いたカ・ライ・ワイキキビーチ、LXRホテルズ&リゾーツにて

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