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NAVって何だ?

 ソフトバンクグループ株式会社(SBG)は、経営指標としてNAV(ナブ、Net Asset Value:純資産価値)を重視しています。  ところが一般的にNAVという指標はあまり知られていません。

 NAVは、保有する資産の総価値から負債を差し引いたもので、同社の財務的資本の成長を測る重要な指標とされています。投資活動を通じてNAVの中長期的な成長を目指しており、これにより財務的資本の拡大を図っています。

 事業会社が重視する経営指標(ROEとかEBITDAとか)と違ってNAVは投資会社の投資効率を測る指標なんで馴染みがないのも仕方ないですね。

 SBGも以前は、EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利息・税金・減価償却前利益)*を重要視していました。  これは、設備投資やM&Aなどの先行投資を積極的に行い、成長戦略を推進するための指標として活用されていました。しかし、近年では投資会社としての性格が強まり、NAVが主要な経営指標となっていきました。

 では、SBGのNAVは、今どれくらいなんでしょうか。NAV倍率は、以下のように計算されます。

NAV倍率 = 株価 ÷ 1株当たりNAV

 2024年12月31日時点のデータによると、SBGの1株当たりNAVは20,355円、株価は9,185円です。  これを用いて計算すると、NAV倍率は約0.45倍となります。

 この数値は、市場がSBGの純資産価値に対して約45%の評価をしていることを示しています。一般的に、NAV倍率が1倍を下回る場合、市場は企業の純資産価値を下回る評価をしていると解釈されます。SBGの場合、投資先企業の評価や市場環境、財務リスクなどが影響し、NAV倍率が1倍を下回っていると考えられます。

 この45%という数字は他の投資会社に比べて高いのか低いのか分かりませんよね。

 日本の企業の中で、NAV(Net Asset Value:純資産価値)を重視しているのは、主にJ-REIT(日本の不動産投資信託)です。
以下に、NAV倍率(市場価格がNAVの何倍かを示す指標)が高いJ-REITの一部を紹介します。

 一般的に、NAV倍率が1倍を上回る場合、市場はその企業の資産価値を高く評価しているとされます。一方、1倍を下回る場合は、市場評価が純資産価値を下回っていることを示します。

 他社の比較からSBGのNAV倍率が約0.45倍ということは、市場が同社の純資産価値を大幅にディスカウントして評価していることを意味します。一般的に、投資会社のNAV倍率は1倍を下回ることは珍しくないですが、0.5倍以下というのはかなり割安な水準と考えられます。

 では、なぜSBGの株価はNAVから見てそんなに低いのでしょうか?


 今回は、ここまでとします。次回はNAVから見えてくるSBGの今後の見通し、展望について迫ってみたいと思います。

p.s.
 中小企業診断士試験で、NAVについて問われたことは無いと思いますが、事例IVでは出なくても、1次の財務•会計に出てもおかしく無いかと思います。

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