見出し画像

我が家のEvaluation体験記 #3 by あつこ 『DOEの分類』と『医師の診断』の違いについて

前回、私、あつこがブログを書いてから、だいぶ時間が空きました。役割分担して、一緒にブログを書いてくれる仲間のおかげで、少しのお休みをいただくことができました。本当にありがたいことです。ありがたやありがたや。

画像1

さて、今回はテクニカルな説明が多いのですが、『知っていると混乱しないで済む情報』です。頭の体操だと思って、お付き合いいただけたら嬉しいです。

前回のブログでは『我が家の息子君は、DOEのPsychologistにAutismだと言われた。でもその後、全く異なる2つの病院で、専門医2人にAutism(ASD、Autism Spectrum Disorder、 自閉症)ではないという診断を受けた』と書きました。

つまりは、Evaluationについてほとんど無知な夫と私が、『専門家』に相談をしたところ、1人には「お宅の坊やは自閉症ですよ」と言われ、また別の『専門家』2人に相談したら、「お宅の坊やは自閉症ではありませんよ」という正反対のことを言われた、という事なんです。お医者様2人は、どちらもニューヨーク市内の、異なるメジャーな病院に所属している専門医です。そのうち1人は「100%自閉症ではない」とまで言い切りました。(あれはあれで、結構驚きました。100%なんて言って良いんでしょうか?)

こんな時、誰を信用したら良いのでしょう?

画像2

3人のうち2人が「自閉症ではない」と言っているから、多数決で自閉症ではないと決めましょうか?それとも、専門家のうち最も信頼できそうな人の意見を採用しましょうか・・・。

と言うのは冗談ですが、この段階では私、本当に頭が混乱していました。息子君の行動を改善したい、と、その一点だけを考えて相談したら、いきなり息子君は自閉症だの、自閉症ではないだの言われている。(いったい全体これは、どういう事なの?)と。

なぜ『専門家』の間で、そのような重大な意見の食い違いが出てくるのでしょうか〜?

画像3

これには、自閉症(以下ASDとの表記で統一)に関する色々な問題が絡んでいると思うのですが、今回は…DOEのEvaluationを経て『分類』されることと、『医学的な診断』を受けることは全くの別物と言う点に焦点を当てて、解説したいと思います。つまり、英語で言うところの、いわゆるEducational ClassificationMedical Diagnosisの間には大きな違いがある。と言うことなのです。

(なんじゃそりゃ〜!?)と思いませんか?いや、思うでしょう。私は思いました。今でも思っています。そして、「その違いを、Evaluationを行う前にちゃんと説明してくれて然るべきなんじゃないか?」とも思っています。しかし、いかんせん相手はDOEです。アメリカのお役所が、しかも何度も予算を減らされているお役所が、そんな親切な対応をしてくれるはずがありません。

じゃあ、どうしたら良いのか?

画像4

信頼できるリソースから詳しい情報を収集し、理論武装するのが良いのでしょう。Evaluationを受ける際には、Special Edについての知識があるに越した事はありませんから。でもSpecial Edに関する具体的な情報を集めるのは、なかなかハードルが高いので、壁にぶつかったら是非、ニューヨークこどもサポート(kodomo.nyc@gmail.com)にご相談ください。

ニューヨークこどもサポートには今まさにこのややこしいプロセスと戦っている親御さんが何人もいらっしゃるし、ごく最近乗り越えて、最新の情報を持っている方だっておられますからね。同じ境遇にいる保護者のコミュニティと繋がることは、とても心強いものです。

もちろん私のブログを、読んでいただくのもとってもお勧めです。うふ😍

画像5

さて、それでは本題に戻ります。DOEの『分類』と『医者の診断』にはどのような違いがあるのでしょうか?

私たちが普段の生活の中で耳にする『自閉症・ASD』という言葉は、本来は医学用語です。つまり、誰かを『自閉症である』と診断することができるのは専門医だけです。アメリカではASDやADHDは、専門医が、アメリカ精神医学会が定めたガイドライン(DSM-5)に従って、医学的診断を行います。(この診断をできる専門医にも幾つの種類がありますが、今回は混乱を避けるため、便宜的に『専門医』とのみ表記します)。

画像6

それではDOEが行う『分類』とは、なんなんでしょう?この問いに答えるためには、DOEのEvaluationの目的を確認する必要があります。DOEがEvaluationを行う目的は、ある特定の子供にサービスを受ける資格があるかどうかを決めることです。

DOEのEvaluationは、もちろん専門的な訓練を受けたPsychologist(心理学博士)やライセンスを持ったセラピスト達が行うのですが、DOE Evaluationを受けた結果出される『分類』は医学的診断とは異なります。

専門医がアメリカ精神医学会が定めたガイドラインに従うのに対して、DOEはIDEAという(無料での特別支援教育を定めた)法律に従わなければなりません。

画像7

また、IDEAは教育機会を広く保障するために設けられた法律なので、特定の子供にサポートを受ける資格があるかどうかを判断する際に、『サポートを受けないと適切な教育を受けるのに支障が出るかどうか』という点が重視されます。

画像8

そして、IDEAでは14項目からなる『Eligibility Categories』が示されており、お子さんがこのEligibility Categoriesのどれかに当てはまればサービスを受ける資格が有る、と認められることになります。

AutismはこのEligibility Categoriesの1項目です

このEligibility Categoriesを元に子供のサービスを受ける資格の有無を判断することが、俗に言うEducational Classificationであり、DOEが行う『分類』なのです。

画像9

DOEの『分類』が、医師の診断とは違うことが少し分かっていただけたでしょうか?

我が家では息子君がEvaluationを受け始めてから、頭の中が大混乱・紆余曲折を経て、同じAutisumと言う言葉には『分類』と『診断』と言う使い方の違いがあることを知りました

そして、我が家の息子君が、DOEのPsychologistにAutismだと言われ、その後、異なる2つの病院で、専門医2人にASDではないという診断を受けた経緯は以下のようなものではなかったか、と考えるようになりました。:

1) DOEのPsychologistの所見では、問題行動が目にあまり、適切な教育を受けるのに支障があると考えられるので、サービスを与えようと判断した。当てはまるEligibility Categoryは他に当てはまらないのでAutismとする。

2)ただし、専門医が医学的なガイドラインに従って診断すれば、息子君はASDではない。

以上は私の推察なので、必ずしも100%正しい訳ではないでしょう。特に、DOEのPsychologistの対応には、今でも疑問・謎に思う点がありますし…。

でも、Evaluationを受けるのであれば、ひとまずDOEの『分類』と医者の『診断』には大きな違いがあると言うことだけでも、覚えておくと良いんじゃないかな、と思います。お子さんの学校選びやサービスなどを判断するときに困る機会が減らせる、と思うので。

今回はブログを書きながらずっと、こんなニッチな情報に、需要があるのかなぁ…と頭の隅っこで考えていました。

正直言って、きっとあまりないでしょう・・・。それでも、私が突き当たった壁や、当時知りたかった情報はひとまずブログの記事にして残しておきたいと思います。

あまり広く読んでいただける話題ではないかもしれないけれど、いつか一回でも、この情報を本当に必要としているお母さん・お父さんの目に留まることがあれば、私はそれで十分幸せです。

画像10

ここまで読んでくださった方、あなたは忍耐力がある方ですね!ありがとうございます。次回はもう少し読んで楽しい話題を書く予定です。それでは、次回まで、See you next time!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?