オーストラリアワインのご紹介
たまたまnoteでワイン造りのことについて書いた記事を見つけた。
その記事はすでに閲覧できなくなってしまったが、急にワインが飲みたくなったので、以前住んでいたオーストラリアのワインを紹介します。
1.オーストラリアワイン、地元でどんな感じ?
現地で30ドル(2000円ぐらい)以上のボトルなら、間違いなくオイシイと思う。誰にでもおススメできるのが、マーガレットリバー(西豪州)のシャルドネと、バロッサバレー(南豪州)のシラーズ。この二つはおいしいオーストラリアワインの鉄板だ。後者はペンフォールズ社のグランジが有名だが、グランジは一本千ドル(日本円換算で6万8千円)以上するので、まあ、普通ので十分だろう。金に糸目をつけないならグランジよりもヘンシュケのヒルオブグレースの方がずっとうまい。
いつもは地元ビクトリア州のワインを飲んでいた。ビクトリア州には特徴を持ったブティックワイナリーがいたるところにあり、お気に入りワイナリーにはよく車で買いに出かけた。世界的に有名でなくても地元で全て消費されてしまう高品質のワインばかり。赤はピノノワール、白はシャルドネが定番。
あとオーストラリアワインの大部分はスクリューキャップが使用されている。コルク栓でないからとオーストラリアワインを馬鹿にしないようにしてください。当初は安っぽく感じたが、実はコルク栓と比べて性能はそん色ない。もともとは、コルクを自給できない豪州では欧州からコルク栓を輸入していると高くつくのでスクリューキャップ化を進めたらしいのだが、どんどん改良されて今はこちらのほうが保存性能が高いらしい。少なくともビンテージモノ以外は関係ないだろう。
2.オーストラリアワインの歴史
ヨーロッパのワインと比べると歴史が浅い。葡萄の樹が持ち込まれたのは1788年だが、本格的に葡萄栽培とワイン製造が開始されるのはドイツ系移民やイタリア移民がオーストラリアに入植し始めた1840年代になってから。ただし当時の品質は決して高くなく、ポートワイン(シェリー酒)の代替品として酒精強化ワインが主に作られて本国であるイギリスにも輸出されていたようだ。
オーストラリアワインに革命を起こしたのは南豪州バロッサバレーを本拠とするペンフォールズだ。1951年にペンフォールズのシューバートが「グランジ」の製造を始め、オーストラリアの最高級赤ワインとして今や世界的に名声を博している。今ではニューサウスウェールズ州のハンターバレー、ビクトリア州のヤラバレー、西豪州のマーガレットリバーなど各地にワインの名産地があり、それ以外にも数多くのブティックワイナリーが高品質のワインを生産している。
3.主要なワイン産地
オーストラリアの中でワイン造りが盛んな州は5つある。というより、ワイン造りで?がつくのは暑すぎる砂漠地帯のノーザンテリトリー(北部準州)ぐらいで、どこの州でもワインがつくられている。
(1)南豪州
オーストラリアワインの生産量の過半を占め、輸出も盛んである。オーストラリアで赤ワインといえばシラーズ種、シラーズ種といえば南豪州が定番だ。灘の日本酒みたいなものだ。南豪州の有名な産地は州都であるアデレート周辺に位置するバロッサバレー、イーデンバレー、クレアバレー、アデレートヒルズ、マクラーレンヴェール、ランクホーンクリークの六大産地だ。中でもバロッサバレーはシラーズ種の主要産地であり、大規模生産者が多く、良質のワインが生産されている。
(2)ビクトリア州
ヤラバレー、モーニントン半島、ヒースコートの三大産地を含め21のワイン産地があり、850を超えるワイナリーと650ものセラードア(直売所)があり、どちらかといえば中小規模のワイナリーが中心だ。メルボルンというオーストラリアで一番のグルメ都市があるため、生産量のほとんどは地元消費にまわり、州外・国外であまり見かけることが無い。冷涼な気候のモーニントン半島とヤラバレーではシャルドネ種やピノノワール種の上質なワインが造られている。ヤラバレーにあるシャンドン社のオーストラリア生産拠点ではシラーズ種を使った珍しい赤のスパークリングワインを生産している。一方、内陸で高温かつ乾燥したヒースコートは最近オーストラリアでも赤ワインの名産地としての評判を高めている。シラーズ種やネッビオーロ種が栽培されており評価は高い。
(3)西豪州
ワインの生産量は少ないものの、スワンバレーやマーガレットリバーには、世界的に注目される生産者が所在する。赤も白も生産している。ただ、私的には「白の西豪州」の位置づけだ。
個人的に間違いのないと思われるブランドは以下。ほかにもいろいろあると思うのだが、接待などで白を選ぶときはヤッタルナ以外ではマーガレットリバーのこれらを必ず選ぶことにしていた。失敗したくないので。
Devil’s Lair Chardonnay
Leeuwin Estate Art Series Chardonnay
PIERRO CHARDONNAY
(4)タスマニア州
個人的にはビクトリアが一押しだが、その次に押したいのがタスマニアだ。生産量は少ないものの冷涼な地域を生かした高品質のワインが造られている。シャルドネ種やピノノワール種を造るのにビクトリア州と並び理想的な土地と言われ、プレミアムワインや瓶内二次発酵の高級スパークリングワイン等で注目される。
(5)ニュー・サウス・ウェールズ州
最も歴史ある産地。ハンターバレーが最も有名。辛口の白ワインや長期熟成の赤ワインが造られており、輸出もされている。但し、ハンターバレーの赤はダメというのが通の評価である。(オーストラリア滞在歴10年以上のワイン通の先輩がそう言って居た。私も超おいしいと思えるのにはあたったことがない。並み。)
(6)クィーンズランド州
ワイン生産には暑すぎるし湿度が高すぎる。一か所だけまともなワイナリー(Sirromet Winery)がある。おいしいという人もいる。
4.ビクトリア州のワイン名産地
(1)モーニントン半島
モーニントン半島はメルボルンから車で一時間程度のところにある。高品質のワインをつくるワイナリーが多数ある。生産者の多くは家族経営のブティックワイナリーだ。同地ワインの多くは手作りの少量生産である。海外で入手するのはなかなか難しいだろう。メルボルンを訪れて、車でワイナリー巡りをするのがおすすめだ。
(2)ヤラバレー
メルボルン北東部に広がるヤラバレーはオーストラリアの中でもその歴史と高品質で有名なワイナリーが数多く存在するワインの一大産地である。シャルドネ、ピノノワールで定評があり、また、メルボルンから小一時間で行ける近さゆえに海外観光客が訪れる人気観光地ともなっている。
(3)ヒースコート
メルボルンから北へ車で約1時間半のところにあるHeathcote(ヒースコート)は、今オーストラリアで最も注目されている赤ワイン産地である。ヒースコートは聞いたことが無くても、ジャスパーヒルなら耳にされたことがあるかもしれない。シラーズ種(Shiraz)・カベルネソーヴィニヨン種・ピノノワール種に加えて、最近は良いネッビオーロ種が栽培されている。