八丁湯
夏も終わろうとしている頃、奥鬼怒にある『八丁湯』へ行ってきた。
奥鬼怒温泉郷は関東平野の北端部に位置する。鬼怒川源流の谷合いにある。一般車通行止めの奥鬼怒スーパー林道の先に、日光澤温泉・八丁湯・加仁湯・手白沢温泉の四湯がある。
八丁湯の発見は江戸時代の天保年間とされ、最も古い湯とされるが、湯治場としては、嘉永年間(1852年)に日光澤温泉がまず開かれ、その後、日光澤から「八丁」の距離があることで八丁湯と名付けられたという説がある。
しっかりとした宿が建てられて温泉郷が形成されていったのは昭和初期である(現・日光澤温泉1927年の創業、八丁湯1929年、加仁湯1934年、手白澤温泉1935年)。奥鬼怒スーパー林道が1988年に開通するまでは交通アクセスも徒歩に限られ、容易に訪れることのできない秘境であった。
鬼怒川温泉駅からバス、女夫渕から奥鬼怒スーパー林道をブロンプトンで というのが普通の行き方だが、今回はウルトラ・チャレンジングなアプローチに変えてみた。奥鬼怒スーパー林道で群馬側(大清水)から自走だ。
[走行データ]
距離 24.1 km
最大標高差 591 m
平均斜度 全体-0.3% 上り5.4% 下り6.2%
獲得標高 上り648 m 下り709 m
ルート図:
JR上越線の沼田駅からバスで大清水へ。大清水は標高1180メートル、尾瀬へ入るための登山口の一つだ。
大清水登山口。ここを左へ行くと「三平峠」を越えて尾瀬沼に通じる登山道だ。右へ行くと奥鬼怒へ通じる山越えの林道である。
『奥鬼怒スーパー林道』をいく。群馬県の尾瀬エリアから栃木県の奥鬼怒エリアに通じている。
林道脇を滝が流れる。美しい。
素晴らしい天気だ。
紅葉も始まりつつある。
そのうち、勾配がかなり急になってきた。道も荒れている。押して行こう。
路面は相変わらず石だらけで漕ぎにくいが、少し勾配がおさまった。乗っていこう。峠(トンネル)が近づいてきている。
漸く峠へ辿り着いた。大清水(標高1180メートル)からずいぶんと登ってきた。ガーミンでは標高1618メートルと表示されている。奥鬼怒トンネルは長さ1309メートル、照明がないがしっかりとした作りのトンネルで、安心だ。向こう側の出口も見えている。ライトをつけて通り抜けよう。
石ころだらけの路面とは打って変わって、舗装道なので非常にスムーズに進める。林道に入って以降で最もスピードを出せているかもしれない。非常によし!トンネル途中に県境を示すプレートがあった。
トンネルの反対側に出た。
途中、林道が半分ほど崩落していたり、倒木が道をふさいでいたりしたが、ブロンプトンで越えられないような致命的な障害は無く、時間はかかったが林道を降りて行くことができた。奥鬼怒の谷が見えてきた。
見覚えのある橋で鬼怒川を渡る。橋から加仁湯が見える。
加仁湯の前を通って、沢(鬼怒川)の方へ降りて、橋をくぐって、再び鬼怒川を渡れば。
八丁の湯だ!
(続く)