日記 02
好きな人がいて、とにかく好きで、好きで好きで、その人のことばかり考えていたら何も立ち行かなくなってしまうのに考えるのをやめられなくて、でもやっぱしそれじゃ立ち行かないから考えるのはやめた。その人は俺のことなんかちっとも気にしてないだろう。生活の端の端に追いやられた、ないよりはマシな人形と同じ程度に思われていれば良い方。そのことを思うと時たま身体がまるごとなくなってしまう。だからやめた。やめた、やめた、やめました。
(自分を子供だと思っている大人ほど悲惨な人はいないらしい。それを、否定できなくなったのは悲しい)
停留所の張りつめた、正直な、悲しみ。断線は小さな世界の終わりだった。冬の、ささくれだった肺のなかの、あの、トウメイの痛み。少し遅れてもかまわねーって、ふらふらっとダラっと歩んでいたら、知らない場所の知らない人ごみの中でちょっと発狂したくなってたんスか?
(俺の俺だけのクソガキに、ちゃんと席を用意してあげるだけのことがこんなに難しいなんて)
1、3、5。1、3、5。眠れないことは苦しいけれど、目を閉じてもあなたが見えないけれど、優しくない温度に何度でもぶつかって、そのたびにあなたを想ってしまう弱さに負けることをあいしてしまった。
俺の身体は窮屈な夜行バス。いまは、フロリダに悲しい死体を運んでいる。空想は真夜中に溶けて、マイアミの小便のシミ。良い奴も悪い奴も、鉄。
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