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英国見聞録。素敵な朝食~イングリッシュ・ブレックファースト~

みなさま、こんにちは。
私達にとって英国という存在は本当に飽きが来ない様々な魅力が詰まった国で、これまでのブログでも映画の中の食器・服飾・インテリアなど数々のテーマを取り上げさせていただきました。そして他の国ほど語られる事は多くないかも知れませんが、英国の「グルメ」についてもその想いは変わりません。その英国グルメの代表格と個人的に思っているのが、英国式朝食「イングリッシュ・ブレックファースト」です。


夫婦で過去,度々渡英しておりますが、ホテルやB&B(英国の小規模な宿泊施設)での朝食は毎度の大きな楽しみでした。内容としては卵・ベーコン・ソーセージ・ハム・焼きトマト・マッシュルーム・ベイクドビーンズ(白インゲン豆のトマトソース煮)あたりが基本線。それらがワンプレートに盛られており、そこにトーストと紅茶もしくはコーヒーが付いてきます。フル・ブレックファースト等とも呼ばれる通り大変ボリューミーで、一日のスタミナを養うにはもってこい。私達も二人して毎度美味しくいただきました。


場所によって卵が目玉焼きだったりスクランブルエッグだったり、ソーセージなどは日本にないブラッドソーセージ(血液を材料として加えたもの)等が添えられている場合もあるなど、意外とバラエティーに富んでいるものです。コンチネンタルと呼ばれる、イギリス以外の国の解釈が加えられたものだと英国式には出てこないチーズやフルーツジュース等があったり、また以前ロンドンサザーク地区のバーモンジーマーケットに行った際には会場すぐそばのホテルで朝食を取ったのですが、フルーツの盛り合わせが選べたりビュッフェ形式になっているなどその場所その施設ならではの特色があったりします。英国旅行の際に、自分好みのイングリッシュ・ブレックファーストを求めて宿を探すのもまた一興かと思います。


それにしても、何故英国ではこのようなボリューミーな朝食が生まれたのでしょうか?

18世紀以前に英国での朝食に関する記述は少ないとのことで、朝食を取るという習慣は無かったのかも知れません。1760年代の産業革命の時代に、朝食の習慣が労働者階級の間で生まれ広がったようです。一般に知られる「フル・ブレックファスト」が成立したのは19世紀のヴィクトリア朝時代。ヴィクトリア女王が遅めの夕食を摂ることを好んだために、上流階級も女王の習慣に合わせて本来昼食だったディナーの時間を夕方にずらし、朝8時から9時の間にボリュームのある朝食を摂るようになったそうです。ボリュームのある朝食は農村部の人々にとっても都合がよく、農民は作業の前にカロリーを蓄えるために多量の食事を摂り、カロリーに富み消化の良いポリッジやベーコン、ハムを朝食としていました。新しい形式の朝食は、ボリュームのある昼食を摂ることが難しい都市部の上・中流階級からも歓迎されたようです。


またヴィクトリア朝期の英国社会では家族間の関係の強化が求められており、朝食が1日の中で一番重要な食事に位置付けられました。かつて中産階級の家庭では夫と妻は別々に朝食を摂るのが普通でしたが、この時期に家族全員がそろって朝食を摂る習慣が生まれ、朝食の量と質も向上したとの事です。

こうしてイングリッシュ・ブレックファーストの歴史を辿っていくと今の私達の普段の朝食とは大違いですが、実はその仕組みは大変合理的で、また家族の絆を高める大事な時間でもあったであろう事が垣間見ることが出来るのではないでしょうか。ボリュームある朝食を家族で会話をしながら時間をかけて味わう・・・様式美だけではない、英国の古き良き伝統がこんなところにもあったんですね!


文化的背景などを知ると、さらに色々な事を調べて知りたくなりますね。古き良き伝統・・・Brocante307ではヴィンテージ食器を通して、みなさまに素敵な・潤いをもたらす何かをこれからも発信していきたいと思います。


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#英国見聞録

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