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僕の彼女は風俗嬢#蛇足編⑨

こちらは以下の続きです。
僕の彼女は風俗嬢#蛇足編⑧|K|note



僕は紗耶香ちゃんからこんな提案を受けていた。

30歳になる節目の年だから精一杯祝わせてほしいと。

ということで誕生日当日とはいかないが、少し遅れてディズ〇ーランドでデートする予定だった。

しかし、僕の体調があまり良くないこと、多忙であること諸々を考慮してその日は家でゆっくり過ごす形をとることにした。

また、先日のイベントで1位を獲れなかったので敗者復活的なオーディションに参加する必要があった。

1位に比べてプライズは劣るが、3桁万円以上のギフトをいただいているからには蹴るわけにはいかない。

オンライン形式だったので予め紗耶香ちゃんには1時間ほど時間を貰うお願いをしていた。

そして何時に来るか確認を取り、返事を待ったまま朝方眠りについた。

当日は僕の予想だが、元々ディズニーに行く予定だったし昼頃には来てくれるのかと思っていた。

しかし一向に連絡は来ない。

16時ごろにようやく連絡が来た。

今から準備して出るとのこと。

速く起きて損した。

ひとまず夜のオーディションの為に気持ちと喉の調子を整える。

歌の練習をしているとインターホンの音が分からなくなるのでとりあえず原曲を聞き込んでいた。

しかし一向にインターホンはならない。

僕の家と紗耶香ちゃんの家は電車のタイミングにもよるがざっくり1時間ほどかかるが結局来たのは19時頃だった。

来てすぐにすごく謝られた。

今日は何でもすると言っていた。

別に怒ってはいないが少し悲しかった。

まぁオーディションさえ終われば明日の昼頃までずっと一緒に居られると思って飲み込んだ。

少しだけイチャついたが、すぐに歌の準備をする必要があったのでエスカレートする前に自制し、メンタルを切り替えた。

他の有資格者が歌っている間は心臓が飛び出そうなほどドキドキしていた。

上手い人は居るがそこまで心に刺さるような歌声は居ない印象だった。

僕の番。

何とか歌い切った。

想定以上とはいかないが後悔が無い程度には出来たと思う。

緊張から解放された僕は紗耶香ちゃんの元へ駆け寄った。

優しく抱きしめてくれた。

幸せだった。

僕は前の週にゴルフとライブでボロボロになった体をマッサージしてほしいと頼んだ。

快く引き受けてくれた。

心地よいマッサージと緊張の糸が緩んだのと色々相まって僕は少しの間眠ってしまった。

恐らく15分ほどで紗耶香ちゃんに起こされた。

今から帰ると言う。

僕は面食らった。

起きてすぐだったし、せめて朝まで一緒に居られると思っていたので気が動転していた。

夜中に家を出ていく紗耶香ちゃんを見送ることもせずに狸寝入りをした。

どんな顔をすればいいか分からなかったし何て声を掛けたらいいかも不明だったから。

ショックだった。

別にエ〇チが出来なかったからとかじゃない。

こっちの都合もあるが、元々ディズニーで特別な誕生日を盛大に祝おうみたいな話をしてくれていたのに蓋を開けてみたら小一時間会えただけ。

なんかショックだった。

理由は仕事で出勤前に準備しなきゃいけないことがあるからとのこと。

予め言ってくれればよかったのに。

遅れてくるし早く帰っちゃうし途中一緒に居られないしでその日はとてつもなく落胆した。

あとから謝罪のLINEが来たが僕は珍しくへそを曲げたままだった。

冷静になればしょうがないことなんだと自分に言い聞かせることも出来たんだろうが。

何かすべて嫌になってきた。

丁度美人なネットの活動者から猛アタックを受けているところだしそっちに移ってしまおうかなんて考えがよぎったりした。

でもやっぱり紗耶香ちゃんが好きだ。

彼女を失うなんて考えられない。

僕は後日LINEで長文メッセージを送った。

今の気持ちと反省。そして揺さぶりをかけた。

返事はまだない。

恋愛で唯一好きなのはこの駆け引きだ。

どちらに転ぶかは分からないがしばらく返事は無さそうだなぁ…。



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