僕の彼女は風俗嬢#7
こちらは以下の続きです。
僕の彼女は風俗嬢#6|K|note
デートの最後、次に会う日を決めた。
その日までしばらく間が空くので少し寂しい気もしたが、なんだかこれまでとは違う安心感もあった。
毎日のやり取りは続き、未だに返事を毎回心待ちにしている自分がいる。
他愛のない会話と付き合い立てのカップルみたいなLINEの内容は数か月後に見た時とても恥ずかしくなりそうだ。
次会う約束の前に電話で話す日を作った。
紗耶香ちゃんの声にはヒーリング効果がある。
ある意味癒しのプロだから当たり前なのかもしれない。
寝落ち通話とまではいかなかったが一度夜中に話した時はとても心地よかった。
一緒に暮らせたらどんなに幸せかと考えてしまう。
妄想が先走りがちな僕は同棲して猫を飼う日常や犬とおしゃれな街のドッグカフェに行くようなデートを思い浮かべている。
その中でもやっぱりウェディングドレスを着飾った紗耶香ちゃんが見たくてしょうがない。
ここ最近は結婚資金をちゃんと貯めないとなって心底思う。
好きな音楽は僕と近からず遠からずといったところだった。
系統は一緒だがアーティストは違うみたいな。
次家に来る時に紗耶香ちゃんの好きな曲を弾き語り出来たらいいなって思ったので練習することにした。
幸せな日々の反面、仕事面では辛酸を舐めていた。
通常の仕事量は爆発的に増え、原材料の値上げへの対策や市場分析。
出張に顧客の現場視察など面倒なものはなぜか一気に降りかかる。
紗耶香ちゃんとの毎日が無かったら折れてるかもしれないと切実に思った。
そして会いたい気持ちは強まるばかりだ。
電話する予定だった日、紗耶香ちゃんはお出かけしていた。
お姉さんと一緒に展示会へ行くとのことだった。
だから珍しく午前中から活動していたという。
生活リズム的にかなり眠かったと思う。
そんな中僕のことを夜中の12時過ぎまで待ってくれていた。
彼女は未だに電話をかけるのが緊張すると言う。
まぁ電話はまだ2回目だし分からなくもない。
普通に会って話すのと電話で話すのとではお互いの顔が見えない分反応に不安を抱きやすい。
でも僕に対してそんな心配は無用だ。
電話中はずっとにやけていたから。
LINEの延長で好きなアーティストの話やお互いの遅刻エピソードなどを話した。
些細な内容だがそれが心地よく一瞬で時が流れていく。
深夜3時頃になって紗耶香ちゃんの様子がおかしくなってきた。
活動限界だろう…。
僕は次の日休みで無限だったが、寝ることにした。
幸せなひと時が終わると同時に会いたい気持ちに胸を締め付けられた。
翌日はボイトレの予定があった。
紗耶香ちゃんに会いたすぎてレッスン後お店を利用しようかとも思った。
しかしそこは踏みとどまり、丁度見たい映画が始まったので観に行くことにした。
映画自体はとても満足できる内容でご機嫌な僕はさやかちゃんのお店を確認する。
受付終了だった。
今日は我慢しようと家路についた。
翌日。
この日はなんだか起きた時から性欲に支配されていた。
何故か分からないが紗耶香ちゃんを抱きたくてしょうがない衝動に駆られていた。
なかなか収まらず寝て忘れようと思った。
しかし二度寝のあとも気持ちは変わっていなかった。
NETFLIXで古い映画を見たりウーバーで暴食したりと気を紛らす。
歌を歌って気分転換するも変わらず、もう一度寝た。
やっぱり変わらなかった。
この日も早々に完売している紗耶香ちゃん。
迷惑なのは分かっているけど会いたすぎて苦しんでいる旨を伝えた。
紗耶香ちゃんは意外にも喜んでくれた。
もし逆の立場だったら僕は突き放してしまう気がする。
やりたくもない仕事でしんどい時に会いたいだ??って。
でも紗耶香ちゃんは仕事そっちのけで会いに行けない自分が悔しいとまで言ってくれた。
正直その言葉だけで十分だ。
それとこうゆう時に紗耶香ちゃんが他の男の相手をしているって現実は意外と受け入れられた。
もっとしんどいものかと覚悟していたが、案外平気で自分の図太さが少し嫌になった。
僕は次のデートの後、朝まで一緒に過ごそうと提案した。
こうゆうのってその場で言った方が雰囲気的にもグッとくるだろうなって思ったけど、お泊りセットであったり準備するものもあるかなって考えてあえて先出しすることにした。
紗耶香ちゃんは二つ返事でOKをくれた。
嬉しいと言ってくれた。
僕はそれが嬉しかった。
それからというもの家を必死に掃除した。
ドラッグストアで足りないものを購入した。
ついでに絶対要らない香水とか普段買わない目薬とか、初めて買ったオロナインとかよく分からない出費が増えた。
そんな諸々の中に除毛クリームがあった。
僕は上半身の毛は目立たないが下半身だけやや濃い目だ。
いつもマッサージしてもらう時とかちょっと気にしてた。
どの程度綺麗になるか分からないがやってみようと意気込んでいた。
家に帰り、実際に使ってみると痒いところに手が届かないといった感じだった。
全体を見れば毛はなくなってパッと見スベスベではある。
でも注視すれば根元から死んでると言った感じではなく、チクチクとした毛がむしろ気持ち悪い。
何の話をしているのか分からなくなってきたが、とにかく紗耶香ちゃんから良く見られたくて色々買ってきた。
気になったものを値段も見ずにひたすらカゴヘ投入したためちょっとだけストレス解消になった。
でも激落ちくんを買いに行くのが当初の目的だったのに忘れてしまった・・・。
翌日も掃除に明け暮れた。
少し楽しくなってきている自分がいた。
なんだかんだで綺麗な空間は気持ちが良いもので。
お風呂場の黒ずみやトイレ周りなどピッカピカにした。
リビングもどうせなら雑巾がけまでしたいところだが時間も時間なので寝ることにした。
明日は紗耶香ちゃんに会える。
明日この部屋に紗耶香ちゃんが来る。
明日このベッドで紗耶香ちゃんと・・・。
そう考えるとワクワクして眠れなかった。
ただ、この日紗耶香ちゃんからの連絡は一通も来なかった。