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僕の彼女は風俗嬢#Last

僕の彼女は風俗嬢#8|K|note


どこのお店にしようかとても悩んでいる。

というのもこれまでのデートはなぜか毎回似たようなお店になってしまっているからだ。

そろそろ違ったタイプのお店にしたいところだが、チェーン店ではなくおしゃれな雰囲気で探すとどうしてもピザがあるようなお店に行きついてしまう…。

前日まで何も決まらなかった。

もし夜紗耶香ちゃんに余裕があれば電話で相談しようと思った。

次のLINEが帰ってきた時にでもその打診をしようと決めた。


しかし、LINEは返ってこなかった。

一旦諦めて寝ることにする。

翌日に支障をきたしたくないし。

少しの不安を抱えつつ眠りについた。


朝。

紗耶香ちゃんからの返信はなかった。

普段から連絡がルーズだとこうゆう時に非常事態なのかどうかが分かりにくい。

もしかしたら体調をまた崩してしまい、2週連続ドタキャンは出来ないと思って言えずにいるのかもって考えた。

紗耶香ちゃんに限って他の男といるから返信できないとかはないはず・・・。

念のため朝一で連絡を入れた。

もしかして体調があまり良くないんじゃないかって。

それから仕事中気になって仕方がない。

何かの通知が来るたびに紗耶香ちゃんかと思って携帯に目をやってしまう。

送ってから5時間ほど経つが既読もまだつかない。

また流れてしまうのかという残念な気持ちと体調を崩しがちなのかもという心配な気持ちが合わさって僕も一層暗かったと思う。

もし僕への気持ちが冷めているとかであれば正直早めに言ってほしい。

僕ももうすぐ30歳。

この頃美容にお金をかけて気を付けてはいるが劣化は始まっている。

あまり時間はない。

こういった関係になる前に諦めるのと今とでは違う。

正直僕はこの1か月間全力で紗耶香ちゃんを落としに行っていた。

もちろん本気で好きだったからだ。

落とすみたいな言い方をすると遊びっぽく聞こえるが正真正銘本気だった。

これでダメならシンプルに自分の魅力が足りなかっただけだと諦められる。

そのくらい後悔が残らないよう出し尽くした。

呼んでくれている読者には悪いが僕が不安定な状態なのをよりリアルに感じてもらう為、葛藤をここに書き連ねる。

ネガティブな話はウンザリだという方は飛ばしてくれ。

そもそも僕は紗耶香ちゃんとこんな関係まで来れると思っていなかった。

一人のセラピストと一人の客。

それ以外の何者でもなかった。

セラピストに恋をするところまでは沢山の人が辿るシナリオだと思っている。

現に色んなサイトで体験談や失敗談を見るし、僕も気をつけなきゃと思っていた。

でもここまで来れた。

後は紗耶香ちゃんが仕事を全うして一緒になるだけだった。

僕はそれでも安心せずにアプローチを続けた。

お互いの体調不良だったりで足踏みはしたがやれるだけのことはやってきたつもりだ。

合わないと思ったのなら無理せず言ってほしいのに。

心のどこかにいつもあった。

僕はただの会社員。

音楽をしていて少しだけ普通と違うだけ。

相手は人気店のナンバーワン。

待機中になっていることがほぼ無い売れっ子。

稼ぎだって恐らく僕の3倍くらいだと思う。

僕は性格もルックスも大してよくない。

きっとこうやって繋がれたのは他ならぬ紗耶香ちゃんの優しさだ。

好きと言ってくれた彼女の言葉を否定したり信じないというわけではないが、どうしても自信が持てない。

紗耶香ちゃんに対して今後一生劣等感を抱き続けるのかと思うと少し不安が残る。

それでも一緒に居たいと思った。

だからここまで来たんだ。

お昼過ぎ。

まだ連絡はない。

既読もつかない。

通知が来た。

出前館だった。

仕事はかなり忙しい。

でも身が入らない。

1時間が長く感じつつ一瞬にも感じた。




スマホとのにらめっこは唐突に終わりを告げた。




紗耶香ちゃんだ。

元気だった。

店の連絡をしようとしていたが決めきれずに返信しないままこんな時間になってしまったと…。

こうゆう時は毎回紗耶香ちゃんらしさに救われる。

もういい加減この紗耶香ちゃん節に慣れろよと思うがネガティブマシーンの僕はどうしてもダメな方向に考えてしまう。

いやぁ、良かった。ひとまず安心した。


この日紗耶香ちゃんが見つけてくれたお店はとても美味しくて雰囲気も良かった。

色々と談笑し、楽しい時間を過ごした。

帰りはタクシーを拾って一緒に家へと向かった。

紗耶香ちゃんから先日の展示会で買ってきたというお土産をもらった。

初めてのプレゼントだった。

最近はまってる美容の話をしたり、ついつい手を出してしまう定期購入商品の怪しさについて語ったり、他愛もない時間を過ごす。

話してる中で徐々に二人の距離が近づいていく。

紗耶香ちゃんが急にかしこまった。

僕は告白された。

嬉しかった。

めちゃくちゃ嬉しかった。

この日の前半は不安のどん底に居たけど最高の一日に昇華した。

それからはひたすらに求めあった。

好きで好きで堪らなかった相手が彼女になった。

こんなに幸せでいいのだろうかと不安になった。

初めてすっぴんを見た。

普段より可愛さが増してたように見えた。

そしてシンプルに美しかった。

二人の関係は色々順番が前後していたが遂に初エ〇チをした。

それなのに僕の息子は奮わなかった…。

この日唯一の反省点だ。

大豆イソフラボンの副作用?とか思ったけどシンプルに疲れてたのかも。

最終的に手でしてもらった。

それを口で受け止めてくれた。

申し訳なさと嬉しさが入り混じった不思議な感覚だった。

気付いたら深夜4時。

流石に寝ないと。

紗耶香ちゃんとくっついて寝た。

たぶんものの2分とかで寝落ちた。

朝起きると隣に紗耶香ちゃんは居なかった。

速めに起きてメイクやら準備をしてたみたい。

満点の笑顔で迎えてくれた。

この瞬間が一番幸せだったかもしれない。

僕はとにかく朝に弱いので寝ぼけていたが一瞬で世界に色がついたような感覚だった。

僕はこの人を守るためならなんだって出来るって思えた。

朝の数分間。

これほど幸せな朝はこれまで経験したことなかった。

晴れて紗耶香ちゃんは僕の彼女になった。

当初仕事を辞めてからということだったが待ちきれなかったという。

僕の彼女は風俗嬢。

タイトル通りの結末となったところでこのお話は幕引きとさせていただきます。

楽しんでもらえたでしょうか?

ただの会社員でもこんな結末が待っているのです。

これはもちろん僕の運と紗耶香ちゃんの性格が良かっただけの話なので真似したって同じようにはいきません。

でももしかしたらって希望や可能性は誰にだってあります。

僕がこの物語の続きを書くとしたらプロポーズ編でしょうか。

もし少しでも楽しんでいただけた人がいるならその時を待っていていただけると幸いです。

またお会いできる時まで。


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