【「番組進行表」って何者…?②】放送部 映像制作BasicTips #12
みなさん、こんにちは!なかちゃん です!
前回から放送部の大会に提出する「番組進行表」の解説を行っております。
前回(#11)は1種類目の「表紙(様式2−1)」を解説しました。
今回は2種類目の「CUEシート」を取り扱います!
では、早速参りましょう!
1.「CUEシート」の用語
「CUEシート」自体の解説に入る前に、あらかじめ知っておいてほしいことがあります。
「CUEシート」には、規定で定められている『記入しなければならない項目』がいくつかあります。その項目には、いくつかの用語があります。そこでまずは、この用語の意味を理解してもらおうと思います。
主に覚えておいてほしい用語は3つです。
1つ目は「テストパターン」です。
映像作品の最初と最後に5秒間ずつ表示させなければならない静止画のことを指します。この静止画データは、全国大会の要項や番組進行表が掲載されているページからダウンロードすることができます。毎大会、新しいものになっていますので、他の書類などと同様に確認しておいてください。
なお、このテストパターンを表示させている時間は作品時間に含みません。後ほど説明しますが、CUEシートでもテストパターンの時間はカウントしません。
2つ目・3つ目は「クレジットタイトル」「クレジットコール」です。
番組作品の最後には、制作校の名前を明示しなければなりません。
テレビ作品の場合は『制作:〇〇高等学校 放送部』のように、制作校名をテロップで表示すること(クレジットタイトル)、ラジオ作品の場合は「制作は、〇〇高等学校 放送部でした」といったように、制作校名をアナウンスすること(クレジットコール)が必要です。
ちなみに、クレジットタイトル・コールともに、秒数や表記・表現に細かな規定はありませんが、クレジットコールに関しては、BGMなどコール以外の音を入れてはいけない事になっていますので注意が必要です。
では、以上3つを理解してもらった上で、ここからCUEシートの解説に入りたいと思います!
2.「CUEシート(様式2−2)」解説
ここから取り扱う「CUEシート」は「様式2−2」とも呼ばれます。
作品内のどこで・どのように・どんな著作物が使用されているのかを把握するために必要な書類です。
この「CUEシート」ですが、記載にたくさんのポイントがありますので、細かく見ていきたいと思います。
まずは、作品の形式によって必ず記載しなければならない項目から解説します。
ア.作品の始め
これはテレビ部門のみになりますが、テレビ部門では、作品の最初にテストパターンを5秒間入れなければなりません。
そのため、CUEシートにも「テストパターン」の記述が必要です。
一番最初の行に「テストパターン」と記載すればOKです。
なお、作品時間にテストパターンを流す時間は含まれませんので、時間の欄は空欄にして、本編の最初(CUEシートでは次の行)を「0分00秒」として記入します。
イ.作品の終わり
作品の終わりについては、テレビ部門とラジオ部門で記載方法が異なります。
まずテレビ部門の場合ですが、作品の終わりでクレジットタイトルを入れ、その後、テストパターンを5秒間入れなければなりません。
そのため、CUEシートにも「クレジットタイトル」と「テストパターン」両方の記述が必要です。
「クレジットタイトル」は、表示したテロップの内容とともに記載し、「テストパターン」は最後の行に記載すればOKです。
なお、テストパターンの時間の欄は、流し始めの時間のみ記載します。
何度も書いているように、冒頭のテストパターン5秒間は、作品時間に含まれていません。従って、ここに記載されている時間が作品時間と一致することになります。
一致しなければ、時間のカウントがずれているか、冒頭のテストパターンを含めて作品時間を計測している可能性があるので、確認してくださいね。
続いてラジオ部門の場合ですが、作品の終わりにクレジットコールを入れなければなりません。また、ラジオ作品は作品内に番組が終了したことを示す明確な合図がありません。
そのためCUEシートには「クレジットコール」と、作品の終了時間を明記するための「番組終了」、この2つの記述が必要です。
「クレジットコール」は、アナウンスした内容とともに記載し、最後の行に「番組終了」と作品の終了時間を記載すればOKです。
なお、番組終了の時間の欄には、作品時間と同じタイムが記入されるはずです。
このタイムが作品時間と一致しなければ、時間のカウントがどこかでずれている可能性があるので、もう一度確認してみてくださいね。
ここまでは、作品の形式によって必ず記載しなければならない項目について解説しました。
ここからは、CUEシートに記入する項目ごとに解説します。
ウ.セリフ・ナレーションなど
まずは、セリフやナレーションなどを記載するときのポイントです。
CUEシートにセリフやナレーションなどを記載する時は、必ずしも全文を記入する必要はなく、最初と最後の一文程度を抜き出して記載します。
略す場合は「…」や「(中略)」などで省略していることを示します。
なお、作品内でCUEシートに記載が必要な著作物などを一切使用していない場合でも、番組の流れが把握できるように、セリフなどを記入して、CUEシートを提出する必要がありますのでご注意を!
エ.音声レベル
続いて、CUEシートの左端にある「音声レベル」欄のポイントです。
ここでは、権利処理が必要なものの音声について「どのような音量で使用されているのか」を線を記入する形で記載します。
当然ながら、楽曲の著作物だけでなく、映像素材なども含めた音声を使用する著作物すべてで記入が必要になる項目です!
では、ここからは基本的な記入のルールをおさえましょう!
文章だけでは分かりづらい部分が多いかと思いますので、次の画像を参照しながら理解してもらえればと思います。
画像を見ていただければわかるように、音声レベルを表す線は右から伸ばします。
主な記入のポイントとしては「音の大きさ」「音の始まり方と終わり方」「音の始まりと終わりの時間」の3つです。
まず「音の大きさ」ですが、音量的に「楽曲が優勢の場合」と「セリフが優勢の場合」の2パターンに分かれます。
「楽曲が優勢の場合」とは、楽曲が単体で流れているような場合で、この時は線を「放送」の位置で引きます。
「セリフが優勢の場合」とは、セリフの後ろで楽曲が流れているような場合で、この時は線を「BG」の位置で引きます。
続いて「音の始まり方と終わり方」ですが、こちらも「カットイン・カットアウト」と「フェードイン・フェードアウト」の2パターンに分かれます。
「カットイン・アウト」とは、音が急に始まったり終わったりする手法で、この時は線を直線で記入します。
「フェードイン・アウト」とは、音が徐々に音量を上げて始まったり、徐々に音量を下げて終わったりする手法で、この時は線を斜線で記入します。
最後に「音の始まりと終わりの時間」ですが、ここで言う「音の終わり」とは「音が完全に終わったとき」を指しています。
つまり、フェードアウトを使って、あるタイミングから音量が徐々に小さくなっていくような演出を使用している場合でも、「音の終わり」は完全に音量が0になった瞬間を指しますので、注意してくださいね。
具体的な時間の記入方法としては、音が始まったことを示す線を記入した行に記入されたタイムが「音の始まりの時間」、音が終わったことを示す線を記入した行に記入されたタイムが「音の終わりの時間」となります。
さあ、ここまでで大まかな説明はおしまいです。この「音声レベル」ですが、絶妙に記入の仕方がざっくりとしているのでなかなか難しいポイントかもしれません。
あとは慣れるしかないと思うので、次は練習で「音声レベルの解読」と「音声レベルの記入」をやってみましょう!
この項目は大丈夫そうという人は流し見して、先の項目に飛んでもらっても構いません。
オ.音声レベルを解読してみる
まずは、あらかじめ音声レベルの欄が記入された状態のCUEシートをお見せします。A・B・C・D それぞれの線がどういう意味で引かれているのかを考えてみてください。
いかがでしょうか?
では、それぞれの線が示している内容を、文章で書き出してみます。
ここまでの解説には出てきませんでしたが、Dのように単発の効果音など「始まりの時間」がほとんど「終わりの時間」と同じになるような音については、「流したタイミングの時間」のみを記入する方法もあります。この場合は1行で記入して問題ありません。
それでは続いて「音声レベルの記入練習」もしてみましょう!
カ.音声レベルを記入してみる
続いて、音声レベルと一部の時間欄が空欄になっているCUEシートと、楽曲の使用内容を文章でお見せします。
楽曲の使用内容を基にして、音声レベルの欄に線を記入して、必要な時間欄に正しいタイムを記入してみてください。
いかがでしょう?
実は、楽曲の使用内容ですがちょっと意地悪な書き方をしたのですが、うまく書けましたかね?
では、記入例と解説をお見せします。
意地悪ポイントは2つ。
まず、どちらの曲も「あるタイミングから5秒かけてフェードアウトした」とあるので、そのタイミングから5秒後のタイムを「楽曲の終わりの時間」として記入しなければなりませんでした。
そしてもう一つは、これらを正しく記入しようとすると音声レベルの線が交差してしまうようにできていました。
時系列を正しく記入するがために、音声レベルの線が交差してしまっても特に問題はありません。
線を交差させまいと、時系列をめちゃくちゃにして書いたりしないように、くれぐれも注意してくださいね。
ということで、音声レベルについてはここまでにしたいと思います!
キ.著作物などの記載
最後に著作物などをCUEシートに記載する際のポイントを解説します。
作品内で著作物などを使用する場合は、CUEシートに使用箇所と著作物などの内容を記載します。
具体的に記載する項目としては「時間」「権利処理番号」「分類」「著作物などの内容」があります。
このうち「権利処理番号」と「分類」については次回のコラムで解説をしますので、ここでは扱いません。
「時間」についてですが、楽曲のように「開始時間」と「終了時間」を記載するものではない、写真や新聞、出版物などは「映像に出る最初の時間」のみを記載します。
「内容」については、楽曲の題名や作品名などを記入します。著作権フリーBGMのCDを使用した場合は、アルバムのタイトルもあわせて記載しておきます。
なお、題名が付いていないものについては、内容がわかるような題名を自身で付ける必要があります。
著作物などの記載は、CUEシートを作る理由でもある重要な部分です。特に注意して記載してくださいね。
ということで「CUEシート」の解説はここまでです!
非常に長文になってしまいました…すいません…
次回は3種類目「権利処理一覧表(様式2−3)」を取り扱いたいと思います!
文章ばかりな上、長文で読みにくかったかもしれませんが、ここまで読んでくれてありがとうございました!
次回もぜひ読んでみてくださいね!
ご質問、ご感想、取り扱ってほしい内容などありましたら、記事のコメントやオンライン放送室のTwitter、個人のTwitter(@haldara709)にお寄せいただければ!(過去の記事についてでも大丈夫ですよ)質問には頑張ってお返しします…!
では、またお会いしましょう〜!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?