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フェミニズム・書評・映画・ドラマ・生活について書いています。

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最近の記事

【書評】些細な地獄の連続の果て「持続可能な魂の利用」

この小説は、「おじさん」から少女たちが見えなくなった世界を描いているように取り上げられることが多いけれど、そこが物語のスタートではない。 少女たちが見えなくなる前の世界でどんなことが起こっていたかを子細に描き、それがやがて革命に結びついて、進化した少女たちにたどり着く様子が語られている。 どうして少女が見えなくなったかの論理的な説明はないものの、少女たちが見えなくなる前の世界がどんなに女性にとって些細な地獄の連続だったかを読んでいけば、「なぜ少女たちは見えなくなったのか」は

    • 【生活】今日は無事に帰れるかな

      友達と別れて、または用事を終えて、混んでいる電車を降りて最寄り駅に向かう電車に乗り換えたときからそれは始まる。 私と同じように誰もが用事を終えて帰っているだけのはずなのに、その中に妙に視線を送ってくる奴がいる。 向かいに座っていたり、近くに立っていたり、もちろん顔なんて覚えていないが毎回違う奴らだ。こんなのはひとりじゃない。 ワンピースにカーディガンという、奴らに好かれそうな清楚な格好をしていることを悔いてわざと顔を歪ませたり思い切り睨みつけたりして相手に目を逸らさせること

      • ヴィルジニー・デパントの衝撃【映画】「ベーゼ・モア」【書評】「バカなやつらは皆殺し」

        ヴィルジニー・デパントの映画「ベーゼ・モア」を観たのは単にその時スカパーでやっていたからだったが、映画が終わった後、もう観る前の「騙されていた自分」には戻れなくなっていた。 「ベーゼ・モア」は監督も務めたヴィルジニ―・デパントの小説『バカな奴らは皆殺し』が原作で、「テルマ&ルイーズ」をものすごく過激にしたようなフランス映画だ。 映画を見た後にすぐ原作も読み、それからずっとヴィルジニー・デパントの次の作品を待っていたのだが、20年近く経って突然にフェミニズムの文脈でこの名前に

        • 【書評】『赤白つるばみ裏』あなたの声には価値がある

          楠本まきさんの漫画は昔から大好きで、作品が出るたびに買って読んでいた。 だから『赤白つるばみ』の「ジェンダーバイアス」についてのひとコマ(「ジェンダーバイアスのかかった漫画は滅びればいい」というセリフ)が話題になった時は、こんなことを一読者が言うのはおこがましいけれどとても誇らしかった。今までの作品からも、はっきりと「フェミニズム」という言葉で表現をしていたわけではなくても、平等や自由な世界観はちゃんと伝わっていた。好きな人がやっぱりちゃんとフェミニストだったことに安心してし

        • 【書評】些細な地獄の連続の果て「持続可能な魂の利用」

        • 【生活】今日は無事に帰れるかな

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