40万部の部数を誇る地元紙 VS 人口5万人の自治体の無所属議員
約40万部の部数を誇り、新潟県内のメディア業界では圧倒的な影響力を誇る地方紙「新潟日報」の記者たちと、これまで何度もバトルを繰り広げてきた南魚沼市議会議員の黒岩揺光です。
今回は、遂に、新潟日報社が、組織として、会社として、人口5万人の自治体の議会で唯一の無所属議員であり、前回の市長選でトリプルスコアで敗れた私に対し、全面対決を挑んできた、という話です。
昨年7月17日、新潟日報は一面コラムで誤報を出し、それについて、私は議会報告で、新潟日報が誤報を出したことを市民に報告しました。
すると、昨年10月27日、新潟日報社の蛭子克己・読者応答部長が私に差出人名なしの抗議文を送ってきました。
勝手に切り抜いた記事を議会報告やブログで掲載することは著作権侵害に当たり、削除しない場合は、法的措置を検討する、というのです。
新聞社が誤報記事を出した場合、読者がそれを市民に伝える方法は、その記事を切り抜いたうえで、誤報だと指摘する以外、ありえません。
誤報じゃないのに、私が誤報だと指摘したのなら、新潟日報社は私を名誉棄損で訴えるべきです。
記事を勝手にブログに掲載することは著作権侵害に当たるかもしれませんが、「引用」の場合は、著作権侵害にはならないとあります。
よって、新潟日報社の抗議文は無視していました。
すると、今年3月19日、こちらの通知文が送られてきました。
「一新総合法律事務所」の朝妻太郎弁護士、薄田真司弁護士、鈴木孝規弁護士、が新潟日報社代理人となり、ブログに掲載されている新潟日報社の記事を削除しない場合は、法的措置をとるとのことです。
通知文には、私が「新潟日報の新聞記事を切り抜き、そのままインターネット上に掲載しているものであって、公正な慣行に合致するものでもなければ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われたものでもありません」とあります。
しかし、残念ながら、なぜ、「引用の目的上正当な範囲内で行われたものでもありません」と言い切れるのかについての説明がありません。
前のブログでも書きましたが、新聞社が「誤報」を出した場合、読者がそれを誤報だと市民に伝えられる方法は、その記事をそのままブログに掲載する以外できません。
もし、それが著作権侵害に当たるというのなら、読者は新聞社の記事を誤報だと指摘することができなくなります。
新聞社の記事について批評ができなくなります。
新潟日報社は、これまでも林茂男・南魚沼市長を擁護する偏向報道を何度もしてきましたが、今年1月6日の朝刊は、これまでで一番の偏向報道でした。
林市長の大きな顔写真が掲載され、「北里大学健康科学部 南魚沼市に4月開設」とあり、「地域医療の担い手育成」と大きな見出しで報じられています。
予防医学の先駆的存在である北里柴三郎博士を学祖とし、ノーベル平和賞受賞者を輩出してきた学校法人「北里研究所」が設置母体となる「北里大学保健衛生専門学院」が南魚沼市にあるのですが、これが「学院」から「大学」になります。
4年制の大学設置はこの地域で初めてのことで、この記事には「地元の期待は大きい」とあります。
しかし、私の前のブログで記しましたが、実際は、北里大保健衛生専門学院の名前を「北里大健康科学部」と変えるだけで、同じ建物を使い、これまで四つあった学科を二つに減らし、募集する学生数は半減するのです。成果でも何でもなく、規模の縮小です。
にも関わらず、「大学設置」ということで、対談記事では、まるで林市長の手柄の様になってしまっています。
20代の若者の自殺率が高い自治体が、なぜ、「若者をサポートする意識が強い」のか?
対談記事では、新潟日報社の社員がコーディネーターを務めているのですが、とても気になるコメントが記事に掲載されていました。
林市長が中高生を海外へ派遣する事業を展開していることをあげ、「若者を育て、サポートしようとする意識が特に強いと感じました」と林市長を持ち上げるコメントを、新潟日報社の社員がしているのです。政治的中立を保つべき新聞社が、市長の任期が切れる10か月前の対談記事で、市長を応援するようなコメントをしてはいけません。
新潟日報さん。
もし、南魚沼市が「若者を育て、サポートしようとする意識が強い」なら、なぜ、市内の20代男性の自殺率が全国平均の倍近くなのでしょうか?
↑のグラフを見てもらえばわかりますが、20代男性の自殺率は全国平均の倍以上となっています。
さらに、南魚沼市は過去10年で161人が自殺し、全国トップクラスの自殺率となっており、その中でも20代男性は特に高い自殺率となっております。
↑のグラフが示すように、10代と20代を合わせて20人がなくなっており、半年ごとに若い人が自ら命を絶っている計算になります。
なぜ、このような偏向的な記事が掲載されたのでしょうか?林市長は2期目の任期が残り1年未満となっています。
一体、どうやってこの対談記事が企画されたのでしょうか?
市に情報公開請求をして、この対談記事が企画された経緯を調べてみました。そして、開示された資料を見て、愕然としました。
私は、てっきり、北里大が広告料を支払って、北里大が市へ対談企画を持ち掛けたのかと思っていましたが、全く違いました。
昨年11月、新潟日報社東京支社業務部が林市長宛に対談に参加してもらうよう要請していたのです。
私が新潟日報の記事を「誤報」と断じた議会報告が出たのが昨年8月。そして、私が市長選に出馬表明したのが昨年9月。既にブログで記しましたが、9月議会で、私が市長選に出馬表明した時の翌日の新潟日報の記事では、「林市長、出馬明言せず」となり、私が出馬表明したことは見出しでは取り上げてもらえませんでした。
昨年11月に対談についての要請文が市へ送られたということは、この対談自体が立案されたのは、恐らく、私が新潟日報の記事を誤報と断じた時か、または私が市長選に出馬を表明した時ではないでしょうか?
そもそも、なぜ、これが大ニュースなのか?
そもそも、北里大保健衛生専門学院(以下、北里学院)を「北里大健康科学部」と名前を変えて、学生数が半減することが、なぜこれほど大きなニュースになるのでしょうか?
北里学院と南魚沼市とのやり取りについては、これまでも何度か記事にしてきました。
簡単に時系列で振り返ります。
令和4年1月、すでにブログで記しましたが、南魚沼市が議会総務文教委員会でが市から北里学院へ「(補助金等の)何かしらの支援をできないか検討中」と報告しました。その時に示された北里学院の収支計画書は「取り扱い注意」と書かれ、その人件費の部分が数か月後、下方修正されました。
令和4年4月19日、北里学院が議会総務文教委員会で、学校を市へ「事業譲渡したい」と進言しました。北里学院が市から撤退する可能性も明確に言及されました。
しかし、令和5年1月に事態が一転。北里学院が「大学化」を発表し、新潟日報に大きく記事が掲載されました。
令和4年4月の時点では、北里大は市に学校を譲渡したいと言っていたのに、突然、9か月後に、「大学化」を発表し、撤退しないこととなりました。
一体、この9か月間の間に、何が起こったのでしょう?
私が情報公開で入手した、こちらの文書にヒントが隠されているかもしれません。
市がふるさと納税制度を使って、毎年、国際大に数千万円の補助金を出していることはこれまで何度かブログで取り上げてきましたが、令和4年10月、同制度を使って北里学院も支援することが決定されていたのです。
市のホームページでも北里大の応援コースが追加されました。
北里大のホームページにも紹介されました。
南魚沼市のふるさと納税、寄付の使いみちに本学院が追加されました。 | 新潟の医療専門学校なら北里大学保健衛生専門学院 (niigata-kitasato-u.ac.jp)
これについては、議会には全く報告はありませんでした。
令和6年4月4日、電話で担当部署のU&Iときめき課に確認すると、この北里大応援コースには令和5年度、約1億円の寄付が入っており、恐らく、その内の4~5割が北里大へ補助金としてわたるということです。国際大同様、補助金の使い方は北里大さんにお任せするということです。
水道料金と自殺率が全国でトップクラスの自治体が、学費400万円の大学院大学や、ノーベル平和賞を輩出した研究所の関連機関に、なぜ毎年数千万円の補助金を出さなくてはいけないのでしょう?
この記事は広告記事なのか、一般記事なのか?
そもそも、この1月6日の記事なのですが、広告記事なのか、一般記事なのか判別がつきません。
紙面の下部分は間違いなく北里大が広告料を支払って、広告を作ったのだと理解できますが、対談部分はどうなのでしょう? 北里大が広告料を支払ったのでしょうか?それとも、新潟日報社が一般記事として、対談を企画したのでしょうか?
令和6年4月4日、この対談を企画した新潟日報社東京支社業務部の担当者に電話をしてみました。
私: 1月6日の対談記事なのですが、これは北里大が広告料を支払ったのですか、それとも、新潟日報の一般記事なのですか?
担当者: それはどういった経緯ですか?
私: ちょっと対談記事の内容が中立的ではないと思えまして。
担当者: 確認してから折り返してもよろしいですか?
一度電話が切られました。担当記者が広告料が支払われているかどうかを知らないはずがありません。
数分後、担当者から電話があり、私の名前をもう一度確認したいと言ってきました。そして、また電話が切られました。
数分後、また担当者から電話があり、対談記事の部分について、「北里大が広告料を支払った」とのことでした。
つまり、令和4年10月に南魚沼市がふるさと納税の北里大応援コースを作り、それが1億円ほど溜まり、4~5000万円の補助金が市から北里大へ行くことが大体決まり、令和5年11月、北里大が新潟日報社に全面広告を出すことを立案し、新潟日報社が林市長に参加を促し、令和6年1月に、北里大がスポンサーとなり、新潟日報社が林茂男市長を持ち上げる記事を掲載した、ということになります。そして、この記事を掲載した新潟日報社は大手法律事務所の弁護士3人を使い、林市長に前回市長選でトリプルスコアで敗れた私に対し、無断で誤報記事をブログでアップされたことについて法的措置をとる可能性について言及しているのです。
忘れてはならないこと
最後に忘れてはならないことを書きます。
北里大保健衛生専門学院は、予防医学の先駆的存在である北里柴三郎氏を学祖とする「北里研究所」が設置母体です。同学院は40年前から、南魚沼市で「保健師」を養成してきており、保健師の役割の一つは自殺対策です。北里大のホームページには、「地域に暮らす人々と協働し、人々が住み慣れた場所でその人らしく生きることを支援する能力」を養うとありますが、開学して40年になりますが、なぜ、この地域の自殺率はこれほど高いのでしょう?
南魚沼市の自殺率の高さこそが、北里大と市の連携がこれまで十分でなかったことの証左ではないでしょうか?
是非、北里大と市が共同でこの地域を研究の対象とし、教育機関と自治体が協力して自殺率を下げることができた先進的事例を作り上げてください。
自殺率と水道料金が高い自治体が、ノーベル平和賞受賞者を出した研究機関の関連団体が自由に使える補助金を出すのは「けしからん」と言う人がいるかもしれませんが、この団体と市が共同でやる「自殺対策プロジェクト」に税金を出すことに文句を言う人はあまりいないと思います。
新潟日報社さんは、誤報記事を出したことについて訂正謝罪をすべきです。それができないなら、私を名誉棄損で訴えるべきです。そして、林茂男市長への偏向報道をやめ、北里大と市が共同でこの地域を活性化できるよう促してほしいですね。少なくとも、40万部の部数を誇りながら、林市長に前回トリプルスコアで負けたような名もなき人間(私)に対し、大きな法律事務所の弁護士3人を使って、これほどの時間と労力を使うことは得策ではないと思いますよ。