【H6診療報酬改定 ベースアップ評価料】SpinOff❶ コンサルファームのアンケート
ベースアップ評価料の算定に伴う賃金改善計画に関して、多くの病院がお悩みの事だと思います。この状況下で、複数の大手経営コンサルティングがここぞとばかり、ベースアップ評価料の取り組み状況に関するWebアンケートを実施しています。
確かに、ビジネスチャンスであり、こういうところは、やつらは見逃しません。流石!
狙いは、明らかで、「賃金改善計画で苦労しているだろうから、この機に病院にアプローチして、自社の人事制度改革コンサルのスキームを売り込もう!」です。狙いは悪くないのですが、問題は、この施策を理解せずに、妙なアンケートを流布してるところにあります。
ここから先はコンサルさまは、是非熟読して学んでください。手段を目的としてしまうと、本来のゴールからまったく異なる処へ行ってしまいます。
とある有名大手経営コンサルティングのアンケート型営業メールです。
賃金改善の開始時期の選択肢に「12月までに整備してから遡及して支給」があります。住民税や年末調整を考えるとこういった手もあるとは思いますが、わざわざ選択肢に上げるのは、なにかリードしたい狙いがあるのでしょうね。しかし、これは、支給のテクニックであり、開始時期ではありません。開始時を選ぶなら、「4月から」の選択肢があってしかるべきですが、ありません。
また、令和6年度と令和7年度とで支給額に差をつけるかの問いがあり、「一部令和7年度に繰り越し」という表現を使っています。厚労省の施策では、繰り越しと言うのはベースアップ評価料収益を原資としてR7年度に繰り越し可能とはなっていますが、ここでは支給額の扱いを尋ねていますから、”繰り越し”の誤用に思えます。ベースアップ率の目標に関しても、R6年度はR5年度の+2.5%、R7年度は+2%と捉えているように思えます。(正解はR6年度はR5年度の+2.5%、R7年度は+4.5%です。)
総賃金と基本賃金等も区別が曖昧な状態の表現になっています。
これらから推測するに、ある程度は厚労省の施策には詳しくても、現場の診療報酬改定時対応の運用経験(疑義解釈と提出書類ひな形と記載見本を読み込み、自院の数字を使って試行錯誤する)がないため、わかっているようでまったくわかっていないようです。前提がおかしいので、ラディカルのようでラディカルでは、ありません。
これでは、情報収集して集計しても、医療機関にとって役に立つ情報になりません。医療機関のことは気にしていないのでしょう。
狙いについては、Webアンケートの動線上に、人事制度改革コンサルの相談へ誘導するバナーや広告が多数配置されているので明らかです。
素晴らしいスキルも、このような方法でアピールされると素直に受け止めにくいんですよね。
人事制度と言うのは、運用を踏まえた設計が肝要であるのに、その運用を全くわかってないコンサルが人事制度のフレームだけ持ち込んできても役に立ちそうに思えません。