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排卵日の不思議

2023年6月に結婚してからというもの、避妊を続けていた。

なぜなら、私たちは約8ヶ月後の2024年2月に結婚式を挙げる予定で式場を押さえ、準備を進めていたからだ。

私はお金のことが大好きなので、式場が発行した契約書の「キャンセル料」の項目を漏れなく読んで

「万が一結婚式の直前に妊娠してキャンセル料を支払うことにでもなったら大変だ。手付金の20万円は返ってこないらしい」

「キャンセルにならなかったとしても、悪阻などで料理が食べられなかったら大変だ。3万円の料理がムダになる」

などとお金のことばかりを心配し、「子作りは結婚式の後にしよう」と夫に提言していたのだ。

結婚式は2月頭であるから、1月から避妊することをやめた。
仮に1月の周期で受精・着床したとしても、結婚式の時点ではまだ悪阻などの症状は出ないはずだと計算したのだ。

月経管理アプリで排卵日を予測し、「妊娠可能性:高」となっている時にタイミングを取ってみたものの、妊娠はしなかった。
一般的に排卵は月経開始日の14日後だと言われているから、タイミングは合っているはずだ。

インターネットで調べてみると、

「アプリの排卵日と実際の排卵日がズレていることはよくあります。
 排卵検査薬を使うと良いですよ」

という経験者からのコメントが散見された。

なるほど確かに、無料の月経管理アプリよりも有料の棒にオシッコをひっかけてホルモンの値か何かを測定した方が確実だ。

私はさっそく楽天市場で「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」と、「ドゥーテスト 排卵検査薬」を注文した。

ソフィのおりものシートは、次回生理予定日の19日前からパンツに装着して過ごし、シートに2本線が現れたら2日以内にタイミングを取ると良いよ、というなんとも便利な商品だ。どうやら排卵日前に分泌される成分に反応しているらしい。

2023年11月に発売されてからというもの、SNS上でたちまち話題になって一時は買い占めや転売が発生していたくらい画期的な商品なのだ。

転売ヤーというのは本当にどこにでも現れる。普段はどうせオリモノになんて全く興味が無いクセに、こういった画期的な商品にはするどい臭覚で群がってくるから不気味である。

しかしソフィはさすが、転売ヤーの臭覚をも見越してか量産体制を取っていたので、難なく定価で購入することができた。ソフィに勤めている人は頭が良いに違いない。1箱5枚入り550円で、8箱まとめて購入した。

さらに「ドゥーテスト 排卵検査薬」は、薬局などでよく見かける「ドゥーテスト 妊娠検査薬」の排卵バージョンだ。コレは正直画期的なのかどうかは分からぬが、「ドゥーテスト」という名前は有名だし、「排卵検査薬」と検索したら上の方に出てきたので購入した。
1箱12本入り2,569円で、2箱セットを注文した。
こちらは次回生理予定日の17日前から使用する商品なので、ムダなく使えば1箱12本で3周期は持つ計算だ。

ところで、排卵についてインターネットで検索していく中で初めて知ったのだが、排卵から月経開始までの日数はどの女性も大体14日前後だと決まっているらしい。

理由は分からないが、とにかくほとんどの人が大体14日なのだというから本当に不思議だ。

つまり月経には28日周期とか、36日周期とか、人それぞれ長い短いがあるが、それは月経開始から排卵までの日数が長いか短いかの違いである、ということである。

模範的な28日周期を歩む者は

1日目:月経開始
⇨14日後:排卵
⇨さらに14日後の28日目ごろ:月経開始

というスケジュールであり、36日周期の者は

1日目:月経開始
⇨22日後:排卵
⇨さらに14日後の36日目ごろ:月経開始

ということらしい。

したがって、ソフィのおりものシートは「排卵があるであろう日の4日前から」、ドゥーテスト排卵検査薬は「排卵があるであろう日の3日前から」使用するように設定されている。

そして月経管理アプリで自分の月経周期を見てみると、「32日周期」と表示されているではないか。
つまり「月経開始日の14日後が排卵日だからタイミングを取ろう」という安直な認識が全く見当違いだったというワケである。

安定した32日周期である私の場合だと、実際の排卵日は月経開始日18日後であると予測されるから、思っていた日付と4日もズレている。
卵子の寿命は24時間、精子の寿命は3日間〜5日間と言われているから、しぶとい精子が4日間以上生き残っていない限り妊娠が成立しないのは当然だ。

こうして妊娠もせず、無事に結婚式を終えた頃、注文していた「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」と「ドゥーテスト 排卵検査薬」が到着した。コレさえあれば排卵日がより正確に予測できるはずなのだから、使うのが非常に楽しみである。有料のアイテムは心強い。

結果的には、商品を使用した結果「アレレ?おかしいな」と思うような出来事が起きたため、次回以降はそのことを書いておきたいと思う。

ここからは余談だが、結婚式には500万ぐらいかかった気がする。

冒頭にも申し上げたとおり私はお金のことが大好きなので、正直見積もりの時点で「高っ!!」と思った。最終段階の請求書を見て「さらに高っ!!」と思った。

ご祝儀があるから実際の手出しは200万円くらいだが、それでも十分高い。車が買えるくらいの大金が、たった2時間半の宴会に使われるのだ。正常な頭で考えたらとんでもないことである。

しかし私は結果的にはやってよかったなと思った。
私の人生に高校、短大、社会人と別々のタイミングで関わってきた人たちが50名ほど一堂に集結する場など、結婚式を開かない限り絶対に無いだろう。
あるとしたら私の葬式くらいだ。

私が個人的に各友人に声を掛けて一箇所に50名くらい集める胆力があれば良いのだが、胆力が無いから仕方ない。
逆に言えば「オレの人生に関わってきた人たちを集めてオレを囲む会」などというものを個人的に居酒屋で開催できる胆力がある者は、その行動力には200万円くらいの価値があるということだ。

参列者の顔を見ていると、それぞれの時代での思い出が蘇ってしみじみとした。ああ、私は人々に支えられてココまで生きてきたんだなァ、という謙虚な気持ちが湧いてくるものだ。
夫の友人たちに会うのは初めてだったので失礼ながらまじまじと見てみると、夫と似たような感じの人ばかりだったので、「あぁ、似たような者同士で仲良くしてきたんだなァ」と思った。

人生は「なんか良いな」と思う景色を集める旅だと思う。

私が死んだら、三途の川だか地獄の門だかを通る前にスクリーンが降りてきて、エンドロールが流れ始めるのだ。

私の人生に登場した全ての人物の名前がスタッフロールのように流れていく。当然、マッチングアプリで1回会っただけの男たちの名前も流れるだろう。「誰だっけ?」となる名前も大量に出てきそうだ。

そして背景は、長い人生の中で見た「なんか良いな」と感じた景色たちだ。
人生は、このエンドロールに使えるような「なんか良いな」を集める旅なのだ。
それで言えば、結婚式の日は間違いなく採用されるだろう。
仮に離婚することになったとしても、友人たちの顔メインで採用されるような気がする。

たいていの人間は、死ぬ時200万以上のお金を遺して死ぬのだ。
死ぬ直前になって200万払っても若かりし頃の仲間達を集めて宴会することは不可能なのだから、この結婚式の思い出には金額以上の価値があるというわけだ。

そう自分に言い聞かせて、超高額な宴会を正当化したのであった。

この記事でかかった金額:9,277円


・ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート
 1箱5枚入り550円×8箱 4,400円

・ドゥーテスト 排卵検査薬
 1箱12本入り2,438円×2箱 4,877円

累計:9,277円
【病院】0円
【病院以外】9,277円


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