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成長とは死への飛翔である 灰羽連盟考察 7000字

はじめに
今回より、私が思ったことをつらつらと書き記していきたいと思います。管見の限りではありますが、できるだけ詳細にアニメの考察をしていけたらという所存です。

本論
灰羽連盟は、自分の中では間違いなく最高傑作です。視聴者は生まれたての灰羽、ラッカの視点から、現世とは異なった様相のグリの街を舞台に繰り広げられる日常を垣間見ます。
本作はSerial Experiments Lainでも有名な安倍吉俊さんが原作及びデザインを担当されており、lainの世界とは違い、ノスタルジーな雰囲気を纏った作品です。

郷愁を感じさせる色合いに、児童文学のような可愛らしいキャラクターに惹かれて、この作品を見始めました。ところがどうでしょう、ラッカが空から降ってきた描写の後に、繭から少女の状態で生まれてきます。その後、悲痛な叫びをあげながら背中から羽が生えてきます。

このシーンを見た瞬間に、確実に度肝を抜かれましたね。ああ、このアニメは牧歌的な話に始終焦点を当てるだけでなく、昏い影もあるんだなと。
灰羽連盟は、黄昏がテーマとなっていることは明白です。黄昏と誰そ彼、つまり相手に対して素性を問う言葉とのダブルミーニングです。元の世界での出自や生い立ちが判然とせず、灰羽達が旅立った後の生活も描かれていません。日差しと月明かりが交わる、夕方のシーンが多いのは、そういった意図があるものと思われます。また、旅立つ時は決まって明け方です。この時間帯はかたわれどきと呼ばれ、誰そ彼どきと概ね同じ意味で使われます。君の名はでも登場していた表現なので、こちらの方が馴染み深いかもしれませんね。

また、CLANNADやAngel Beats!を手掛けた麻枝准さんは、雑誌のインタビューにて本作に影響を受けたとおっしゃっていたそうです。

本作は、ブルーアーカイブにも多くの類似点が存在します。翼があること、光輪が付いていること、そしてキャラの性格です。

まず、ネムとホシノには共通点が存在します。両者共に、作中では最年長キャラであり、いつも眠そうにしています。ホシノの眠気の原因は明確に語られるが、ネムに関しては深掘りが少ないです。
そして、どちらもやるべきことはちゃんとやるという点です。ホシノはたまに日常の業務をほっぽり出していることはありますが、後輩の危機等重要な局面では全身全霊で事の対処に当たります。

ネムに関しては、一見ホシノと似ているように思われますが、日常のタスクも完璧にこなします。ネムがうとうとしている時は、やる事を終えた後なので皆も特に口出ししません。頼れるお姉さんとして、仕事先からの評価も高いです。

ラッカと空崎ヒナちゃんの声優は、ともに広橋涼さんです。そのため、彼女のファンは特にラッカに注目して作品を見ると楽しめるでしょう。
ヒナは表に感情を出すのが苦手であり、それとは対照的にラッカは喜怒哀楽に富んでいます。とりわけ、ラッカの光輪は直前にドーナツを焼かれたせいで、静電気体質になってしまったという事実を知った時のラッカのあわてふためきっぷりは愛らしいです。


ここから先はネタバレ注意です
罪つき
罪は他者が存在することで存在し、それと同時に、他者によって赦されることで罪から解き放たれます。自己の殻に閉じこもっている状態では、自身の咎と向き合っていないため罪つきの状態となっていたのでしょう。禊の役割を果たすものが、ラッカにとっては鳥、レキにとってはラッカでした。

本作は、ブルーアーカイブにも多くの類似点が存在します。翼があること、光輪が付いていること、そしてキャラの性格です。

まず、ネムとホシノには共通点が存在します。両者共に、作中では最年長キャラであり、いつも眠そうにしています。ホシノの眠気の原因は明確に語られるが、ネムに関しては深掘りが少ないです。
そして、どちらもやるべきことはちゃんとやるという点です。ホシノはたまに日常の業務をほっぽり出していることはありますが、後輩の危機等重要な局面では全身全霊で事の対処に当たります。

ネムに関しては、一見ホシノと似ているように思われますが、日常のタスクも完璧にこなします。ネムがうとうとしている時は、やる事を終えた後なので皆も特に口出ししません。頼れるお姉さんとして、仕事先からの評価も高いです。

ラッカと空崎ヒナちゃんの声優は、ともに広橋涼さんです。そのため、彼女のファンは特にラッカに注目して作品を見ると楽しめるでしょう。
ヒナは表に感情を出すのが苦手であり、それとは対照的にラッカは喜怒哀楽に富んでいます。とりわけ、ラッカの光輪は直前にドーナツを焼かれたせいで、静電気体質になってしまったという事実を知った時のラッカのあわてふためきっぷりは愛らしいです。

グリの街は、灰羽と人間が共存し暮らしています。灰羽はその見た目からもわかるように、おそらく夭逝してしまった子供達の転生した姿でしょう。それに対して人間は、皆一様に赤ん坊として生まれてきており、天寿を全うした者の転生先と考えることが妥当です。非業の死を遂げた灰羽たちには、早いうちに現世に再度転生させ、奔流に戻すため、各人が持つ業と向き合うリミットを設けているのでしょう。彼女達の持つ灰色の羽は雛の象徴であり、黒い羽は成鳥の特徴です。自身が飛び立つことのできるようになるその刻限までに、精神的に成熟することができるかが、巣立つことができるか、話師やトーガとなるかの差です。

話師やトーガは冒頭から終わりまで、灰羽達や人間と積極的に関わろうとはしませんでした。彼女達はイレギュラーな存在ゆえ、深入りすることを避けていたのでしょう。また、彼女達とは述べましたが、両者には男性が多いように見受けられます。これは旅立つことを躊躇い、頑なにあの世界に留まることを選ぶ者は、男性が多いことを示しているのかもしれません。

そんな話師ですが、ラッカとレキに対しては相当介入してきます。レキは元々自分の名前や生前の最期に向き合うことから逃げ、いつしか灰羽達の中でも最年長になっていました

さて、そして本作を語る上で欠かすことのできない、灰羽達の名前の由来について考察していきます。

ラッカ
ラッカは作中でも触れられたように、絡果という言葉が真名であり、絆が絡みあい実を結ぶものという意味が込められていました。
ラッカはあの世界に来た直後ですが、自身の咎と向き合い、克服したことで旅立ちのときは現在オールドホームで暮らしている灰羽達の中で、最も早い旅立ちを迎えると予想されます。夢の中でも咎の存在に気づいていた描写があり、あまり焦点は当たらなかったものの、年齢よりも成熟した考えを持っていると推察できます。
クウが旅立ったときは少女のように泣いていましたが、それは他者を案じることのできる強さを秘めており、その姿からは想像ができない精神性を表現していたのだと思われます。

ネム
ネムに関しては真名は定かではありませんが、願夢なのではないかと思います。旅立つことができなかったレキを思いやり、あえてレキの旅立ちを見届けるまであの世界に留まっていました。おそらく、彼女のあの世界に留まることができるリミットはレキよりも長いと推測されます。レキとはほぼ同年代であり、オールドホームでは頼れるお姉さんとして生活していました。
レキの旅立ちを見送り、話師の語り口調から察するに、次の旅立ちはネムなのではないかと思われます。

ヒカリ
そして、ヒカリの真名は悲刈、又は灯借なのではないかと考えます。私見としては、ヒカリの名前は非常に好きです。常に笑顔を見せ、他者を励ますその姿はまるで眩い光のようです。だからこそ、悲しみという負の感情を刈り取り、笑顔の炎を灯す彼女らしさが表れています。

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