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揺れる心
朗読劇 20分台本
⚠ 読みが早くならないように注意 ⚠
プロローグ
サク
一通のLINEから始まった。それは唐突だった。
カオリ 『付き合って!』
サク
出会ってまもなく、直接会ったことも無いまま
僕たちは付き合いだした。
愛情を知らない僕に対して、カオリは直感型で決めたら気持ちを曲げない性格だった。結果、僕はカオリに自分が【 愛情が分からないけどいい?好きが分からないけど。】と伝え、「それでも良い」と言ってくれたカオリにだんだん心を許すようになった。
カオリ
この出会いがキッカケで、サクの心が巡るお話
サク
~君に出会わなければ【笑顔】など知らなかった~
カオリ【笑って良いんだよ】
サク M
僕は素直に笑うことが出来なかった、いや…笑うことが怖かったんだ…
カオリ 「なんでいつも作り笑顔なの?」
サク 「作ってなんかないよ?僕はね、笑い方を忘れてしまったんだよ。だから、楽しくない訳じゃないんだ…」
カオリ 「何かあったの?私で良かったら聞くよ?言いたくないなら聞かないけど、笑えないなんて悲しいじゃん!」
サク 「違うんだ…あのね。昔ちょっとあってね、泣くのを我慢して笑顔を作ってたら、涙を流しながら笑ってたんだ。
その時に【気持ち悪いから笑わないで】って言われてから僕は笑うのが怖くなったんだ。笑ってはダメなんだ…」
カオリ 「なんだよそいつ!ふざけんなよ!気持ち悪いなんて言いやがって!そいつ頭オカしいんじゃないの?今ここに居たら文句言ってやる!あーもう!イライラする!」
「大丈夫だよ?サク、私が笑わせてあげるから、もっと笑顔を見せて?可愛い笑顔私に見せて?一緒に笑お?」
サク M
カオリがこんなに感情を露わ(あらわ)にしたのは初めてだった。驚きと同時に胸を締め付ける気持ちが、僕の閉ざした心を開いてくれた。「僕はこの人の事を好きになっても良いのかな?笑っても良いのかな?」不安と喜びが交差する中、
カオリは優しく
カオリ 「笑っていいんだよ」
サク M そう言ってくれた。嬉しかった…
サク M あれからどれくらい笑いあっただろう…
カオリ…僕はちゃんと笑えてるかな?
カオリ 「サク!もし会えるのであれば一緒に行きたい場所あるんだ!」
サク 「え?」
カオリ 「水族館!まぁすぐには無理だけどさ、いつか一緒に行きたいなーって思って…それと!ガチャガチャしたい! 私好きなんだよね!」
サク 「ガチャガチャ?ガチャポンのこと?」
カオリ 「そう!」
サク M 照れくさそうにしながら話してる仕草はとても可愛かった。意外と子供っぽい所あるんだな…って思ったのも束の間
カオリ 「私がそっち行けたら良いんだけどね、家の事とかあって無理なんだ…だからもし会いに来てくれるなら、お母さんに言って外でれるようにするから!」
サク M 普段出さない想いをサラッっと言う所も素敵なんだよな、僕には到底無理だと思った。その一瞬、カオリの所に行きたい!と思ってしまったんだ。
会いたい、カオリの空気を感じたい。これが好きって事なのかな…そう思いたい。僕にはまだ難しかった。だけど
サク 「カオリ、会いたい。僕がカオリに会いに行く!」
カオリ 「え?!ほんとに?私もすごく会いたい!ありがとう!」
サク M 多分僕が【好き】を知った瞬間だったのだろう。
サク
~君に出会わなければ【愛】も知らないままに~
サク M
僕はカオリと会う約束をした。毎日カオリの声を聞いてると笑顔になれた。言葉通り笑顔を貰っていた。
冬の匂いがする季節、色付く景色を楽しめる季節
会える日が待ち遠しい、それも今日で終わり。
明日は会える、やっとカオリに会えるんだ!
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改札で待つ君はどこか恥ずかしそうにうつむいて、こちらを見ようとしなかった。緊張が2人を締め付けて、顔が会った瞬間、自然と笑顔が零れた。
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カオリ 「やっと会えたね、何だか恥ずかしい…」
サク 「何照れてるの?ビデオ通話でも見てるじゃん、ほら手かして?車はどこかな?さぁ行こうか!」
カオリ 「…うん、でもやっぱり恥ずかしいよ…顔見れない」
カオリ M
ネットで調べて渓谷(けいこく)に行ってみたいとお願いされていた、道もあまり詳しくない中、サクがナビをして私が運転。車内では手を繋ぎ言葉を交わさなくても幸せな時間が過ぎていく。
渓谷では手を繋ぎ、水に落ちそうになったり、球体のトイレがあったり、色々とあったが私はそれどころじゃなかった。
緊張のあまり、サクの顔が見れない……
このまま時間が止まってしまえばいいのに。
サク M
ゲームセンターではクレーンゲーム、僕は大きなヌイグルミを取ってあげた。凄く喜んでくれて、小さなキャラクターのヌイグルミも欲しいと言ったので取ってあげた。
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カオリは買い物がしたいと言い、何が欲しいのか聞いてみたら…
カオリ 「パジャマが欲しい!」
サク
と言った。
そんな所も可愛い……好きなアニメのガチャガチャがあり、2人で当たるか解らないけどやってみたら、全てコンプリートしてしまい、嬉しすぎて笑いながら抱きつくカオリを見て
僕も嬉しくなった。
いつの間にか太陽は沈みかけていた。
サク M
辺りは暗くなり車のヘッドライトに目を背ける
2人でホテルに入り昼間のことを思い出し笑顔の絶えない時間が心地よかった。
カオリ 「サク、ガチャガチャすごいね!1回でコンプリートするし、大きいヌイグルミとるし本当にびっくりした!」
サク 「そんな事無いよ!たまたま運が良かっただけだし、喜んでもらえて良かった!」
カオリ 「疲れたから温泉でも入ろうかな、サクも疲れてるでしょ?マッサージしてあげる!」
サク 「え?良いの?ありがとう!」
カオリ M やっぱ男の人って背中大きいな…いつもお疲れ様!結構凝ってるな…でもヤリがいがある!
サク M めちゃくちゃ気持ちいい…上手いなマッサージ
。眠たくなってくる…
カオリ 「はい!終わり!お風呂入って疲れた身体をほぐしてこよー!」
サク M 明るく元気なカオリは、どんなときも笑顔をくれた。はぁ…やっぱりカオリが好きだ、恋愛における「すき」ってこういう事なのかな?愛してるって何なんだろ、、
まだ分からない。温泉に浸かりながら考えた。
部屋に戻り時刻は23時00分
疲れ果てた僕はカオリとベットに横になる。
サク 好きな人の隣にいたい
カオリ 笑顔を作りたい
サク 抱きしめたい
サク これを【愛】と呼ぶのだろうか、、、
その夜、僕はカオリと1つになった。
サク
~君がいなければ【寂しさ】なんて知らなかった。
サク M
そして朝を迎えた。楽しい時間は早いものだ、もうサヨナラをしないといけないなんて…
カオリは泣きそうな気持ちを我慢していた、「また来るから」そう言って電話をかけた。
繋がっていたい、離れたくない気持ちを我慢して。
【寂しい】ただ寂しかった。
カオリ M 行かないで、離れないで、電話越しで伝えた。
泣きじゃくる私をよそ目に、刻一刻と電車の時間が迫ってくる。【またね】と電話を切るその瞬間まで、私は電話を切らなかった。いや、切る事が出来なかった。
サク M これが最後になるとは2人とも知る由もなく。
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とある事がキッカケで僕はカオリを傷つけてしまった。
話してもつまらない、声を聞いても何も思わない
そう、思わせてしまった。
笑顔を奪ってしまった。僕自身の自業自得で。
謝っても謝りきれない。また普通に話したい。
そう思っても何も響かない。
ただ鬱陶しいと思われるだけ。
このまま終わってしまうのかな。
きっと何も思われていない。
それは解ってる。もう話すことも出来ないのかな……
ワガママな僕を許してください。
ただ今は、サヨナラと言われることが怖かった。
怯えながら、震えながら毎日連絡を待つ事が辛かった
もう戻れないと解っていても
少しの可能性に縋る(すがる)しかなかった。
僕はまた、笑えなくなるのかな。
カオリ ~【矛盾する心】~
サク M 突然、カオリからの電話
カオリ 「何となく連絡してみた」
サク 「元気にしてた?」
サク M 僕は自分のした事を何度も謝った。面白い話も今の僕には出来なかった……いや2人の気持ちがすれ違い、他愛のない話もつまらなくなってしまっているのだ。
カオリ M 何を話されても響かない、つまらない、無駄な時間、私はきっとサクの事を何とも思っていないんだ。
サク M 笑って話したいのに涙が止まらない。許して欲しい、あの時のことを…… 僕は笑えてるかな?それとも迷惑をかけているかな…?話したいと思ってはダメかな…?
カオリ M もう話したくない、私から話すことは無い。
サク M 本当にこれで終わりなのかな……僕意外と話す時は笑えてますか?
離れるのが怖くて何も話せない、嫌がってるのが解るから
謝ることしか出来ないんだ。
カオリ M 連絡しなければよかった。本当につまらない。
サク M 何も出来なくてゴメンね、時間を無駄にしてごめんね。僕はただ、カオリとの時間が欲しかっただけなんだ。
今はもう、サヨナラを待つしか無いのかな。
今はもう、最後を待つしかないのかな。
また、カオリを抱きしめたい。
弱い僕は、傍に居ることさえ許されなくなったのかな。
僕は、なんの為に生きてるんだろうか。
身体が震えて抑えることしか出来なかった。
僕が嫉妬しなければ、思い出さなければ、
カオリと笑えていたのかな、、
愛してはいけないのかな、、、
迷惑かけてしまってごめんなさい。
【ごめんなさい】