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CIVIL WAR 眠れる街

昔は心に響く映画を観ると、
数日か、長いと数ヶ月、
胸が苦しくて辛かった。
最も重症をおった映画は、アラビアのロレンスだ。
後年、その辛さ切なさを友人に説明したら、
「それは恋だね」と言われた。

映画との恋は辛い。
両想いになる事が決してない。
降り積もる時だけが癒しになる。

年を経た近年は、どんな物を観ても、数時間後にはケロっとしている人間になった。
胸が苦しくならなくなって本当に有り難いが、
感受性の退化とも言える。
いや、進化か?

さて、
昨日、誘われるままに映画を観た。
自分からは観に行かなかったであろう映画だが、
やはり時には人の興味に乗ってみるものだ。

近頃、イマーシブという事がよく言われるが、
主人公たちと共に戦場を駆け抜ける思いをした。
何度、椅子の上で飛び上がったか。
後半はずっと涙目だった。

様々に忘れがたいシーンがあったが、
いま心に残るのは、
古き良きアメリカで時が止まったかのような街だった。

自分の国で内戦が起きているのを知ってはいるが、見ないふりをして、
今ある平和の中でまどろんでいる。

これ日本でもあり、自分でもあると思った。

エンドロールが流れる前は、
叫ぶか泣き出しそうだったが、
館内の灯りがつく頃には、
笑顔で会話できるようになり、
10分後には冷麺を食べていた。

この図太さをキープしたまま、
ひとごとではない自分になりたい。

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