「 落 ち な い 話 」関 馨

「 落 ち な い 話 」関 馨

最近の記事

池袋モンパルナス

落語の稽古で千早に行く。 せっかちなので開始1時間前に会場に着いて、 2階のロビーで一人座って待つ。 ここにはいつも絵画や陶芸の同好会の作品が飾られている。 が、この時はただならぬ気配を感じて、振り返ってよくよく絵を見ると。 同好会ではなくて、 絵描きの絵だった。 六枚六様の絵が飾られていたが、 それぞれ素晴らしい。 その昔、池袋近くのアトリエ村にいた作家たちの絵らしい。 何が同好会の絵と違うのだろう。 まず質量の違いを感じる。 ペラペラでない。 複製画なのに

    • 腰肩ゆくすえ

      こしかた、行く末。 これから未来へ進むにあたって。 腰が弱点である。 重い物を上げ下ろししたり、 荷物を下げて出歩くと、テキメン、 腰痛に悩まされる。 香道具を運ぶ必要があるので、 いっときキャリーバッグにしたが、 これには肩をやられた。 今はずっと片足が痺れている状態だ。 神経痛らしい。 このまま老化が進めば、 近い将来動けなくなると思い、 抜本的な改革に乗り出す。 ひとつは、荷物がある時はタクシーを利用する事。 裕福ではないが、腰には代えられない。 この夏から

      • 豆板が好き

        最寄りのスーパー、LIFEに「飛騨娘」という菓子があった。 しばらくリピートしていたが、ある日シェルフから消えた。 LIFEは商品の入れ替えが多い。 無くなってみると恋しい。 飛騨娘に会いたいと心の隅で願い続けた。 ふと、お菓子のまちおかにならあるのでは?…と、思った。 あの店は年寄りくさい品揃えも豊富だ。 で、 飛騨娘はいなかったが、 同じ方向性の菓子が二つあった。 一つは飛騨娘より小さい。 飛騨娘ですら、ちょっと小さいな、 もう少し大きいと嬉しいなと思っていたので

        • 本日のおかず

          卵を仕入れたので、卵焼き。 不思議な形。特に意味はない。 塩胡椒で味つけしたが 薄味なので、玄米に負ける。 食べてる途中でつまらなくなり 卵焼きの切れ端にケチャップをつけてみる。 途端に卵の味が全くしなくなる。 ケチャップの存在だけが味覚を支配する。 主役を完全に食ってしまう脇役のようだ。 恐ろしい子。 配役をマヨネーズに変えたら両立した。 さすが同族。 でも、このまろやかな酸味とクリーミーなコクに常習性を感じる。 主役を引き立てつつ、いつの間にか、立場を逆転

          ある日のおかず

          左から、塩昆布、味噌、梅干し。 定番の納豆と卵を切らしてしまったから、仕方がない。 主食の玄米だけが頼りだ。 この後スーパーに行って買い物。 夜は小豆かぼちゃを作って食べた。 丁寧に作ったら、 かなり美味しかった。

          全く匂わない匂わせ写真

          「匂わせ」の背景は、 ・道ならぬ関係の人と ・日陰の逢瀬を ・隠したいけどチラ見せしたい …そんな感じか。 写真でやるなら、 ・何気ないブツ撮りの背景に相手の一部を入れ込む ・自撮りではない自分の写真(バックは夜景)に「思いたって一人旅〜」というコメントを添えて記事にする …そんなところか。 しかし、世の中には、 匂わせを偽装する輩もいる。 一種の見栄かもしれない。

          全く匂わない匂わせ写真

          伊達ローレン

          仙台に帰郷した時に面白いグッズを見つけた。 伊達政宗のシルエットがワンポイントで入ったTシャツ、トートバッグ、キャップ、などなど。 宮城県出身の人なら一目で分かる、 兜をつけた馬上の政宗マーク。 でも他県の人には分からないんだね。 Tシャツを家族にお土産で渡したら、 仕事に携えて行き、 船上で初着用したらしく、 「着心地がいい」とLINEが届いた。 着心地… 素材はごく普通のTシャツだったが… 家族に確認すると、 やはり「ラルフ・ローレン」と勘違いしていた。 ブラ

          独り言キャッチャー

          昨日電車で座っていたら、 また独り言をつぶやく人が隣に座った。 先日に引き続いて連続3人目である。 これはさすがに打率が高すぎないか? なにか、独り言を言う人を引き寄せるフェロモンでも出しているのだろうか、私は。 今度の語り部は女性だ。 やはりマスクをしている。 リュックの他に大小4つぐらい手提げを下げていて、荷物をまとめる事なく、 そのまま座席に座った。 そして聞こえてきたのは、 明るい調子の、関西弁だった。 高低差のある滑らかな口調。 チラリと確認すると、うっすら笑

          街に漂う香り

          香りのある花は数あれど、 街を染め上げるほどの香りとなると… 今の季節なら金木犀だ。 窓を開けても、街を歩いても、 あの香りがする。 春なら沈丁花。 初夏はクチナシ。 秋は金木犀。 晩冬なら梅。 季節を染め上げる香りの木を、 自分の庭に植えられたらどんなに素晴らしいだろう。 夢のまた夢だが、 想像するだけで楽しい。

          洋酒入門

          昨日の話に続くが、 小学生の頃に購入した小さな図鑑に、 「洋酒入門」という本があった。 小学生だから酒は飲めなかったし、買えなかった。 香水もそうだが、どうやら私は、 嗅覚とか視覚とか官能に訴えるアイテムで、数多くの種類があり、かつ其々に名前が付けられている…そういうものに 惹かれるようだ。   つまり「言葉」も重要な要素なんだ という事が、いまさら分かった。 数日前も日本橋三越の特設コーナーに陳列されていたインクに興奮した。 いろんなメーカーのインクが一堂に集めら

          いつかきた道

          栴檀は双葉より芳し。 三つ子の魂、百まで。 この二つの諺は、 私の頭の中のカテゴリーでは、 同じ引出しに入っている。 大人になって、ある才能を発揮して仕事をしている人が、 子供の頃からその分野に興味を持っていた、または秀でていた、という事はよく聞く。 私の家族の料理人も、 小学生の時に、ホットケーキをどうしたら美味く作れるか、近所の主婦に取材して回り、焼いて弟に食べさせていたらしい。 私にはそういう「栴檀」や「三つ子の魂」はなかったのだろうか。 それが、どうやら、

          無能の鷹1,2巻

          ドラマ化されるコミックが、 無料で読める時は読む。 いままで数々の漫画をタダで読んできたが、 無料で読める範囲は限られているので、 私の頭の中には尻切れトンボの漫画が渦を巻いている。 記憶がゴチャゴチャになり、 実写と漫画の区別もなくなる。 「降り積もれ静かな死よ」をドラマでみた時は、 このドラマ見たことある!新番組なのに?!…と、興奮したものだ。 漫画で途中まで読んだ事をすっかり 忘れている。 さて、無能の鷹を読んだ。 2巻までの間に、声を出して3回笑った。 菜々緒主

          のりびとウォッチャー

          おくりびと、に似ているが、 のりびと、である。 電車などに乗り合わせた人達のことを勝手にそう名付けた。 近年はみなスマホを見ているので、 目が合う事なく、とても観察しやすい。 雰囲気、服装、動作などで違和感を感じたり、逆に、お洒落だなぁと思った人物に目が行く。 先日もそんな理由でお向かいの座席の旅行者を観察していたら、 思わぬ伏兵が至近距離から出現した。 隣席の独り言だ。 短く小さな叫び。 言葉は聞き取れなかった。 チラリと確認すると、 若者で、イヤホンをつけて楽し

          のりびとウォッチャー

          #を付けたくない話

          警告: 尾籠な話なので、食事中の方、潔癖症の方は読まないでください。 本文: 昨日、個室で大きい方の出力をしていたら、 意外なモノが出てきた。 尻から、小枝。 どうしてこういう事態になったのか、 前日の食事から考察してみたい。 以下「体の中の人たち」の声: 食道「はーい、いつもの納豆ご飯です。通しまーす」 胃「まったく、変わり映えしねーなぁ。いっつも同じモン食いやがって…こちとら仕事に刺激がなくて困ったもんだよ。 …って、おいおい!食いもんじゃねぇもんが混じってん

          お誕生日おめでとう

          子供の頃は、 友達を招いてのお誕生会が羨ましかった。 私は1月3日生まれだから。 学校は冬休み中だ。 家庭でのお祝いも、 お正月行事の一環としての存在感しかなかったように思う。 だからといって、お誕生会を いまさら大人買いしようとは思わない。 たった一人でも、 「おめでとう」と言ってくれる人がいれば、それだけで満足だ。 満足だが、 ケーキと酒があれば、もっといい。 プレゼントはいらないと言いつつ、 もらえたら最高に嬉しい。 そして、 社交辞令でなく「おめでとう」

          10円ハゲ疑惑

          昨日は気持のよい日だった。 空を雲が流れ、窓から窓へ風が吹き渡り、陽光が輝いていた。 日常に潜む恐怖は、こんな日に顔を出す。 頭の一箇所が微妙に痛い。 かすかな鈍痛。 指でさぐってみると、妙になめらかな、スゥェードのような手触りの部分が。 忘れもしない、30代に円形脱毛症になった時と同じタッチだ。 頭の後ろ側なので、自分では見れない。 家族が航海から帰ってくるまで待つしかない。 鏡を駆使して自ら確認しようなどとは思わない。 指でさぐるのもやめた。 触らぬ髪にたたりなし