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家出したミシンのネジ

いや、正確に言うと、
ミシンの底部に入り込んで取り出せなくなったのだから
家出ではなく、籠城だ。

もしくは、
ネジは自ら落ちたのではないから、
どこかの隙間で救出を待っているかもしれない。

切ない。

ミシンの分解に着手する。

機械を包むパネルのネジを外していく。

しかし、ある程度までいっても
まだ底部が見通せない。

これ以上ネジを外し分解を進めると
2次被害が起こるかもしれない。

早くも
押え止めネジの救出を諦める。

敗北感。
ここで諦めないのが己の限界を超える道なんだろうなとは思うものの
生来の面倒くさがりが勝つ。

しかしながら、
初めて目にする機械の内部と対峙して

こんなに隙間があるのなら
ネジ一本隠れたままでも
問題なく作動しそうだと思う。

問題ありなのは、
ネジが無ければ押えが取り付けられないという点だ。

試しに、パネル等を元通りにして
押えなしで縫ってみた。
ミシンは動いたが
縫い目はガタガタになった。

またしてもシームリッパーで
糸をほどきながら
いよいよ、お客様相談室への電話を決断する。

相談先の名称は
ハッピージャパン。

気分は全くハッピーではないが、
対応に出た女性に
ネジの購入についてたずねる。

すると、しばらく待たされてから
係の女性は料金について話し出した。

ネジ一本 265円
送料 800円
代引き手数料込みで計1502円

私の中で何かが引っかかる。

試しに
取り扱い店舗についてたずねると、
ミシンを購買した店か、
トーカイで取り寄せになります
…とのこと。

トーカイという初めて聞く手芸店を知る。
初めての場所が好物な私は
すでに行く気になり
礼を言って電話を切った。

ミシンの購入店も、そしてトーカイも、
京王線沿線にあった。

近いうちに、ネジ発注の旅に出ると思う。

電車代及び休憩した場合のお茶代が1502円を上回ることは確実だが。

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