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花火といえばパノラマ島
昨夜、テレビで多摩川の花火大会を観た。
ローカルのテレビ局だと思うが、
NHKの花火中継より、ずっと良かった。
何が良いって、ただただ花火を映しているだけなのが、いい。
音声も、会場で拾った音だけ。
遠くに聞こえるアナウンスと、
時々ピンポイントで近くに聞こえる観客の声。
「すごい〜」「やばい〜」。
語彙が貧しいと思った矢先、
見事なスターマインが上がり、
思わず「すっげー」と呟く私。
さて、花火といえば忘れられないのが、江戸川乱歩のパノラマ島奇譚だ。
この小説、私はまず漫画で出会った。
高階良子さんという作家の作品で、
小学生の頃に読んだ記憶がある。
いきなり核心に行くが、
犯人は美しい物が好き過ぎる変態で、
美男美女をさらっては殺め、自分の美の楽園「パノラマ島」にコレクションしている、とんでもない奴だ。
が、読んでいる時は、その世界にウットリとさせられたものだ。
あの狂おしく切ない感覚はエロスだ。
いたいけな小学生に、そんなものを感じさせるとは、すごいぜ、乱歩&良子。
クライマックスで、その犯人は、
パノラマ島で打ち上げる花火と共に夜空に散るのだ。
夜空から降り注ぐ鮮血に濡れる、
主人公の美少女。
実際そんな目に遭ったら阿鼻叫喚だが、読んでいる時はやはりウットリしていた。
人間を花火にして打ち上げるためには、何尺玉が必要かとか、そういう事はどうでもいい。
私に、やばい世界への扉を開かせたのが、ここらへんの出会いかもしれない。