
教頭選考対策8〜みんな知るべき。養護教諭は忙しい‼︎
現場もよくわかってない?
養護教諭の業務全般
保健室の先生のイメージはケガ、急病対応、検診等の業務のイメージがあります。
実は学級担任より法律に定められた業務が非常に多く、ミスのない仕事が求められるため、個人的には一般的なイメージの10倍程度、大変だと思います。(お疲れ様です。)
学級担任の法的帳簿は出席簿、指導要録くらいですが、養護教諭の業務はほとんどが法令に基づきます。医師などの外部機関との連絡調整も多く、検診日や検診時間の設定など校内調整も大変です。要求の多い検診担当の医師の方がいたり、スケジュール作成が遅延気味、頻繁に日程や時間を変更する教務主任が学校を動かしていると仕事が混乱するケースが多々あります。
しかも毎年6月30日まで終わらせなければいけないもの、3週間以内に保護者に知らせなければいけないものがありどちらも法律に明記されています。
法的なものだけに絞れば学担のほうがはるかに自由です。
養護教諭の業務は、教頭選考対策においてケーススタディの良例です。現場にたくさんの学びがあります。文で覚えたことが現場において学べます。
以下、まとめてみましたが、まだ完全ではありません。感染症対策など、後日、追加します。
1. 養護教諭とは
養護教諭は、児童生徒の健康管理や保健指導を担い、学校保健の推進を図る専門職です。校長の指導の下で保健室を管理し、健康診断の実施・感染症対応・保健指導・救急処置などを行います。また、学校全体の健康環境を整え、教職員や保護者とも連携します。
養護教諭の業務は、児童生徒のケガ、病気など緊急時の対応のみならず、日常の健康管理を一手に担うため、取り扱うデータも多く、慎重な対応が求められるのが特徴です。
さらに、医師や保健機関との連絡調整、校内での日程調整も業務に含まれ、学校外との連携が不可欠です。特に、作成すべき法定帳簿も多く、小・中・高と引き継ぎされる重要な記録も含まれるため、時期によっては、さらに多忙となります。
学校保健安全法施行規則第5条では、毎学年6月30日までに定期の健康診断を実施することが定められています。この時期は他の業務とも重なり、養護教諭にとって特に繁忙期となります。健康診断の結果は21日以内に保護者へ通知する必要があり(学校保健安全法施行規則第9条)、その後のフォローアップや必要な措置の実施も求められます。
2. 養護教諭の職務と法的根拠
(1) 養護教諭の役割
• 児童生徒の健康管理(健康診断・感染症対応・救急処置)
• 保健指導・健康教育(生活習慣病予防・メンタルヘルス支援)
• 学校保健計画の策定・環境衛生管理
• 医療機関・保護者・関係機関との連携
• 教職員の健康管理・相談対応
• 学校保健委員会の運営
(2) 法的根拠
• 学校教育法(第37条)
「養護教諭は、児童生徒の健康管理及び保健に関する指導に従事する。」
• 学校保健安全法(第4条)
「学校においては、児童生徒等の健康の保持増進を図るため、健康診断を行うとともに、健康相談、保健指導その他の健康の管理に必要な措置を講じなければならない。」
• 学校保健安全法施行規則(第9条)
「学校においては、健康診断個人票を作成し、当該児童生徒等が当該学校に在学する間、これを保存しなければならない。」
• 労働安全衛生法(第66条)
「事業者は、労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない。」(教職員の健康管理も含む)
3. 養護教諭の主な業務と法定帳簿
(1) 児童生徒の健康管理
業務内容
• 健康診断の計画・実施・結果管理
• 感染症対策(保健所・医療機関との連携)
• 怪我・急病時の応急処置
作成すべき法定帳簿と法的根拠
• 健康診断個人票(学校保健安全法施行規則第9条)
「健康診断個人票を作成し、当該児童生徒等が在学する間、保存する。」
• 感染症罹患者管理簿(学校保健安全法第19条)
「校長は、感染症にかかった児童生徒等の出席停止に関する記録を作成し、保存しなければならない。」
(2) 保健指導・健康教育
業務内容
• 生活習慣病予防教育(肥満・視力低下・虫歯予防など)
• メンタルヘルス支援(ストレス・不登校対応)
• 性教育・薬物乱用防止教育
作成すべき法定帳簿と法的根拠
• 保健指導記録簿(学校保健安全法施行規則第16条)
「学校においては、保健指導の記録を作成し、適切に管理しなければならない。」
• 健康相談記録(学校保健安全法第9条)
「健康相談の結果を記録し、必要に応じて関係者に伝達する。」
(3) 学校保健計画・環境衛生管理
業務内容
• 学校保健計画の策定・実施
• 学校環境衛生基準の維持管理(換気・照度・水質・清掃)
• 防災・安全教育の実施
作成すべき法定帳簿と法的根拠
• 学校保健計画(学校保健安全法第4条)
「学校は、児童生徒の健康保持増進を図るため、学校保健計画を策定する。」
• 学校環境衛生管理記録(学校保健安全法施行規則第22条)
「学校は、学校環境衛生の状況を記録し、定期的に点検を行う。」
(4) 学校保健委員会の運営
業務内容
• 児童生徒の健康課題に関する協議
• 健康教育・環境衛生の改善策検討
• 教職員・保護者・地域医療機関との連携
法的根拠
• 学校保健安全法(第6条)
「学校においては、学校保健委員会を設置し、健康の保持増進に関する事項について協議する。」
(5) 教職員の健康管理
業務内容
• 教職員の定期健康診断の調整記録
• メンタルヘルス相談・産業医との連携
• 長時間労働・過労防止の啓発
作成すべき法定帳簿と法的根拠
• 教職員健康診断記録(労働安全衛生法第66条)
「事業者は、労働者の健康診断結果を記録し、適切に管理しなければならない。」
4. 確認問題と解答
【穴埋め問題】
①学校保健安全法第6条では、養護教諭は「学校における( )をつかさどる」と定められている。
②健康診断の結果は、( )に基づき記録・保存しなければならない。
【論述問題】
③養護教諭の業務において、医療機関や保健所との連携が必要な理由と、その法的根拠について述べよ。(300字以内)
【解答】
【穴埋め問題】
① (児童生徒の養護)
②(学校保健安全法施行規則 第9条)
【論述問題】
③解答例
養護教諭は、児童生徒の健康管理を行う際、校内で対応できないケースについて医療機関や保健所と連携する必要がある。例えば、定期健康診断の結果に基づく精密検査の依頼や、感染症発生時の対応などが挙げられる。特に、学校保健安全法第19条では、「感染症の予防及びまん延の防止に努めなければならない」と規定されており、学校単独では適切な対応が困難な場合に外部機関と連携することが求められる。
必須問題
①学校保健安全法施行規則第5条では、定期の健康診断は毎学年( )までに実施することと定められている。
②健康診断の結果は、( )日以内に保者へ通知しなければならない。
必須問題解答
①6月30日 ②21
5. まとめ
養護教諭は、児童生徒のみならず教職員の健康管理にも関与し、学校全体の健康戦略を支える専門職です。学校保健委員会の運営も含め、医療機関・保護者・教育委員会と連携しながら、健康管理と環境衛生の維持に貢献している点がポイントとなります。