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教頭選考対策7〜わかりにくい校務・職務・服務の違いを明確化する
教頭・校長を目指す上で、「校務」「職務」「服務」の違いを正しく理解し、それぞれの根拠法令を把握しておくことは重要です。本記事では、それぞれの定義、法的根拠、具体例を示します。
1. 校務(こうむ)
✅ 学校を運営するための業務全般
【定義】
• 「学校教育法」や「教育公務員特例法」に基づき、学校運営のために行われる業務のこと。
• 教員が共同で担う業務も含まれる。
【根拠法令】
📌 学校教育法第37条(教頭の職務)
第三十七条 教頭は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
📌 教育公務員特例法第9条(校長及び教員の職務)
第九条 校長及び教員は、教育基本法その他の法令の定めるところにより、児童、生徒及び学生の教育をつかさどる。
【具体例】
• 教育活動の企画・運営(授業計画、行事運営、学年会議)
• 生徒指導・進路指導(問題行動対応、保護者面談)
• 学校運営の管理業務(校内組織の運営、時間割編成)
• 予算・施設管理(教科書購入、備品管理、修繕手配)
2. 職務(しょくむ)
✅ 特定の職位(役職)に割り当てられた業務
【定義】
• 各教職員が果たすべき具体的な職責・業務のこと。
• 学校教育法、教育公務員特例法、地方公務員法などに基づき規定される。
【根拠法令】
📌 学校教育法第37条(教頭の職務)
第三十七条 教頭は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
📌 教育公務員特例法第9条(校長及び教員の職務)
第九条 校長及び教員は、教育基本法その他の法令の定めるところにより、児童、生徒及び学生の教育をつかさどる。
【具体例】(職位ごとの職務)
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3. 服務(ふくむ)
✅ 公務員としての職務上の義務・行動規範
【定義】
• 地方公務員法(第30条~第35条) に基づき、公立学校の教職員に求められる義務や規律のこと。
• 服務義務違反は懲戒処分の対象となる。
【根拠法令】
📌 地方公務員法第30条(服務の宣誓)
第三十条 すべての職員は、その官職のすべての職務を誠実に遂行し、かつ、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することを、厳粛に誓わなければならない。
📌 地方公務員法第32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及びこれらに基づく上司の職務上の命令に従わなければならない。
📌 地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
📌 地方公務員法第34条(守秘義務)
第三十四条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
📌 地方公務員法第35条(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行に専念しなければならない。
【具体例】(教職員の服務義務)
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◎まとめ
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校務・職務・服務に関する確認問題
【問題1】正誤問題
次の文章が正しければ〇、誤っていれば×を選びなさい。
1. 校務とは、学校教育法に基づき、教員が担当する授業のみを指す。( )
2. 教頭の職務は「校務をつかさどる」ことであり、その根拠法令は学校教育法第37条である。( )
3. 校長は学校の最高責任者であり、人事管理や財務管理などの職務を担う。( )
4. 服務とは、学校の教育活動の企画や運営を行うことである。( )
5. 地方公務員法第34条により、公立学校の教職員には守秘義務が課される。( )
【問題2】(選択問題)
次の各問いについて、最も適切なものを選びなさい。
6. 教員の「職務」に関する記述として適切なのはどれか。
① すべての教員が共通して行う業務を指す
② 学校運営に関わる業務全般を指す
③ 各職位ごとに割り当てられた業務を指す
④ 教員の服務義務の一つとして定められている
7. 次のうち、「校務」の一例として最も適切なものはどれか。
① 教員が個別に担当する授業
② 学校運営のための時間割編成や行事運営
③ 公務員としての義務に関する法令の遵守
④ 職員会議での決定事項の実施
8. 地方公務員法において、公立学校の教職員に定められている服務義務に含まれないものはどれか。
① 守秘義務
② 職務専念義務
③ 政治的行為の制限
④ 教員免許の更新義務
【問題3】(記述問題)
次の問いに答えなさい。
9. 校務・職務・服務の違いを簡潔に説明しなさい。
10. 教員の服務義務のうち、「信用失墜行為の禁止」とは何か、具体的な例を挙げて説明しなさい。
【解答・解説】(※確認用)
問題1
1. ×(校務は、授業以外の業務も含む学校運営全般を指す)
2. 〇(教頭は「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」と明記されている)
3. 〇(校長の職務には教育方針の決定、人事管理、財務管理などが含まれる)
4. ×(服務は、公務員としての義務や行動規範を指す)
5. 〇(地方公務員法第34条により、教職員は守秘義務を負う)
問題2
6. ③(職務は各職位ごとに割り当てられた業務のこと)
7. ②(校務には時間割編成や行事運営などの学校運営に関する業務が含まれる)
8. ④(教員免許の更新義務は、服務義務ではなく、別の制度に基づく)
問題3
9. 校務は学校運営全般の業務、職務は各職位に割り当てられた業務、服務は公務員としての義務や行動規範のこと。
10. 「信用失墜行為の禁止」とは、教職員がその職の信用を損なう行為をしてはならないという義務である。具体例として、SNSで不適切な発言をする、公私混同して学校の備品を私用に使うなどがある。
以上、「校務」「職務」「服務」の違いについてまとめました。ケーススタディで日々の業務をカテゴライズするだけで、理解が深まると考えられます。