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昭和な現場に挑むNetflix :日経新聞より

スタッフの長時間労働に依存した、いわゆる「やりがい搾取」からの脱却を目指すNetflixの取り組みについての記事。

低賃金のため若手スタッフは複数の撮影現場を掛け持ちし、長時間労働を強いられるのが日本の撮影現場。労働組合の力が強いアメリカはそのようなことはないのだそう。日本では、出版社や玩具メーカーなど様々な企業で組成する「XX製作委員会」が制作会社に発注して制作してもらうため、制作会社が作品の作成を請負う形態が一般的。請け負えるはずがないものを請負契約で、というのはどこぞの業界と似ているな、と。

Netflixは労働時間の短縮に取り組むとともに、ハラスメント研修を行ったり、専用のケータリング会社を設立することまで実施しているとか。かなりの投資を伴うように思えるけど、人材難の時代で優秀な人材を集め、優れた作品を制作するためには必要な投資と考えているのかも知れない。

世界的に「労働搾取」により成り立つサービスをサプライチェーンから外す動きが広がっているのも、Nexflixの取り組みにつながっているようで、他の制作現場も追随しないと、「日本のアニメは素晴らしい」という評価を受けながら、市場で受け入れられないことになってしまう。

ただ、Nexflixも慈善事業でこれをやっているわけではない。現場のスタッフはある意味「大人の扱い」をされることにもなるわけで、いい意味でも緊張感を持って、限られた時間で最大限のアウトプットを行うことが求められるのだろう。長時間労働=低生産性の日本が変わるヒントがありそう。

Netflixについては、最近読んだ「プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本」でも言及されていて、プロジェクトの文化を守るために「たとえ技術的に優秀でも、組織に有害なコミュニケーションをとる人物は採用しない・排除する」ことを示している。


自身の専門領域について過剰な自信をもつことで独善的なコミュニケーションを行う人物は、英語圏では「ブリリアント・ジャーク(Brilliant Jerk:優秀だけれど嫌なやつ)」とよばれ問題視されるようになっています。  本人がもっている能力とコミュニケーションのあり方によって、図3-1に示す通りの4つのタイプに分けることができます。この中で「ブリリアント・ジャーク」は組織への悪影響が大きいため、欧米ではそうした人物を採用しない、あるいは排除の対象とする方針をもっている組織もあるほどです。
たとえば、Netflix社ではそうした考え方を採用ページで公表しています。

橋本 将功『プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本』 p.162


IT業界にいると、技術的に相対的に詳しかったり、特定領域の知識に相対的に秀でていたりすると、性格に難があっても「あの人がいないと回らない」などと特別扱いされ、周囲のメンバーに皺寄せがいくことがままある。それでは中長期的にメンバーが離脱したり、不健全な文化が蔓延してしまうリスクがあるので、腫れ物扱いせずに毅然とした対応が必要だと改めて思う今日このごろ。

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あめふらし
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