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KAYOKO TAKAYANAGI|少女の聖域vol.4|櫁蜂 & HIROKO|月光セレナーデ
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白くけぶるように空にかかる月の、儚くも心に残る存在感。
反射した光は散乱し、地表に届くのはそのわずかな断片だけ。
太陽の強い光の中でも失われない白き月の姿に仮託される、内に秘めた少女性。
5月の森を抜けた先に在るのは、少女だけに許された菫色の聖域。
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ブライス。グレープフルーツのような大きな頭を細く小さい華奢な体が支えているその姿は、誰でもどこかで見たことがあるだろう。ファッションドールとして様々な服を着こなすばかりでなく、メイクなどの造形をカスタムして楽しむこともできる愛らしいドールだ。
1972年にアメリカで生まれたこのブライスは、当時は子供向けのおもちゃとして1年足らずでその販売を終えている。
月日が経ち、2000年にファッションビルのCFに登場したブライスは、瞬く間に少女たちの心を掴んだ。そして新たに日本で復刻版として生まれたネオブライスは、その後オリジナルのファッションドールとして展開され、幅広い年代を魅了する存在となった。
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ドールカスタム作家として絶大な人気を誇る櫁蜂が、今回ブライスに託したのは、真昼の月の白き面影。
仄かに光を帯びた肌は、淡く染まった杏色の頬に微笑みを乗せる。しっかりと結ばれた唇は、水気をたっぷりと含んで潤む。サラサラのプラチナブロンドの髪は、まるで滴り落ちる月光のようだ。4色の中でも特別な菫色の瞳はけぶるまつ毛に彩られ、抑えきれない好奇心をその内に隠してこちらを見つめている。
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光があたる明るい表面でなく、その裏の決して見ることのできない裏側にこそ、少女の王国は在るのだと言う。
それはきっと頭でっかちで(文字通りの意味でも)、4色のアイでくるくると表情が変わり、お洒落が大好きなブライスに相応しい場所なのだ。
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時代を超えて少女たちに受け継がれる聖域を衣装/意匠として纏ったその姿は、菫色の小部屋の終幕を飾るに相応しい。
時を経たアンティークのようなレースを散りばめたドレスとヘッドドレス。縫い付けられたリボンに少女の矜持を見る。
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HIROKOの手から生み出されるドールの衣装はどれも、その一針一針に少女性が込められているのが愛おしい。繊細と一言で言ってしまうにはあまりにも緻密なその美意識は、HIROKOにしか表現できない彼女だけの世界だ。ドレスのヨークに施されたピンタックの美しさたるや。
内なる少女を抱く人たちは、HIROKOがブライスに託したこの衣装を、きっと月の裏側の王国に着て出かけるに違いない。
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眩しい陽の光の中で、それでもかき消されることのない真昼の白い月の姿。
その白は冷たくはない。青色と黄色が合わさることで生まれた白は、澄んだ希望と暖かい記憶を内包した色なのだ。
少女の聖域で真昼の月はいつも微睡んでいる。
次に聖域の扉が開くときも、その姿はきっと変わらない。
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櫁蜂|ドールカスタム作家 →Instagram
2002年からドール作家として活動を開始。展覧会やイベント、アーティストとのコラボや雑誌に多くの作品を提供・出品。プーリップドールメイクサンプルやクリエイターズレーベルシリーズのプロデュースを多数おこなう。
Twitter|@mitsubachi_z
HIROKO|人形服作家・ぬいぐるみ作家 →Instagram
ブランド名は「Daisy-D」
Twitter|@hiroko_daisy
高柳カヨ子|精神科医・元法医学教室助手・少女批評家 →note
東京上野で生まれ育ち、東京理科大学理工学部応用生物科学科・信州大学医学部医学科卒業。法医学教室でDNA鑑定を専門とした後、精神科の臨床に進む。Bunkamuraギャラリー「新世紀少女宣言」キュレーション/『夜想ーゴス特集』インタビュー/『夜想ー少女特集』評論/『S-Fマガジンー伊藤計劃特集』アーバンギャルド論/パラボリカ・ビス「アーバンギャルド10周年記念展」キュレーション/gallery hydrangea 「『少女観音』〜12人のアーティストが描く篠たまきの幽玄世界」キュレーション。
あらゆる時代と時間を超えた少女たちに捧げる少女論「少女主義宣言」をnoteにて連載中。霧とリボン運営の会員制社交クラブ《菫色連盟》にてトークサロン「少女の聖域」を主宰、「少女性」をテーマに展覧会《少女の聖域》を定期開催している。
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作家名|櫁蜂 & HIROKO
作品名|薄霞の白き光の
ベースドール(Nostalgic Pop)をカスタム・フルペイントメイク(エアブラシ・パステル・アクリルガッシュ・パール・グロス)/綿ローン・ムラ糸綿ローン・トーションレース・リバーレース・シルクチュールレース等
サイズ|28cm
制作年|2023年(新作)
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