HITOSHI NAGASAYA & 合田ノブヨ|メルヴェイユのはざま《1》|冬の羊歯
丹念に織り込まれた「細部」というものがある。
そうした美しい「細部」はしばしば人を驚かせ、感嘆させる。
合田ノブヨさんの作品には、そんな細部がそこかしこにある。
羊歯を手にして霜の模様を描くような仕草をする少女。
窓霜の模様が羊歯を連想させることを、少女を媒介にしてまるで冬の奇跡のような作品にしている。
羊歯も窓霜も、どちらも「細部」がある存在だ。
そして手前の羊歯から白く霞む窓外まで、冬の白く溶け込む光景がしっかりした暗色の窓=フレームによって囲まれる。
ここでは窓は絵画的額縁ともなっている。
筆者は20世紀初頭の欧米の絵はがきを集めてきたのだが、宛名面のほうにカリグラフィのように美しく書かれた宛名や文章があったりする。
「押し花帖 / ブリーチド・ファーン」にも、作者自身が書いた胡桃インクによる美しいカリグラフィが添えられている。
いたるところに織り込まれたこうした細部へのこだわりこそが、美の驚異となることを作者はよく知っているのである。
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作家名|合田ノブヨ
作品名|押し花帖 / ブリーチド・ファーン
コラージュに着彩・押し葉・胡桃インクによるカリグラフィー
作品サイズ|36.4cm×25.7cm
額込みサイズ|40cm×29.3cm
制作年|2022年(新作)
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