
HITOSHI NAGASAYA & 合田ノブヨ|メルヴェイユのはざま《1》|冬の羊歯


丹念に織り込まれた「細部」というものがある。
そうした美しい「細部」はしばしば人を驚かせ、感嘆させる。
合田ノブヨさんの作品には、そんな細部がそこかしこにある。


羊歯を手にして霜の模様を描くような仕草をする少女。
窓霜の模様が羊歯を連想させることを、少女を媒介にしてまるで冬の奇跡のような作品にしている。
羊歯も窓霜も、どちらも「細部」がある存在だ。

そして手前の羊歯から白く霞む窓外まで、冬の白く溶け込む光景がしっかりした暗色の窓=フレームによって囲まれる。
ここでは窓は絵画的額縁ともなっている。

筆者は20世紀初頭の欧米の絵はがきを集めてきたのだが、宛名面のほうにカリグラフィのように美しく書かれた宛名や文章があったりする。
「押し花帖 / ブリーチド・ファーン」にも、作者自身が書いた胡桃インクによる美しいカリグラフィが添えられている。

いたるところに織り込まれたこうした細部へのこだわりこそが、美の驚異となることを作者はよく知っているのである。

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合田ノブヨ|コラージュ作家 →Twitter
高校在学中、TVドラマの仕事で訪れたロンドンで、ヴィクトリア時代のクロモスに魅了されコラージュを制作。1992年作品を発表。以降ギャラリーや新宿伊勢丹等デパートでの展覧会、本の装画や雑誌、新聞の挿画等の仕事をしている。15年間活動を休止していたが、2017年より再開。画集は3冊出版されている。
長澤 均|グラフィックデザイナー・ファッション史家 →HP
装幀、CDジャケット、展覧会などのグラフィック・デザインのかたわらモードを中心に文化史にまつわる著作を多数執筆。『美女ジャケの誘惑』、『20世紀初頭のロマンティック・ファッション』、『流行服~洒落者たちの栄光と没落の700年』、『ポルノ・ムービーの映像美学』、『BIBA スウィンギン・ロンドン1965~1974』他。オンライン古書店モンド・モダーンを運営し、モード雑誌は1910年代からの『Gazette du bon ton』の完本を11冊、1920年代から70年代までの『Vogue』、『Harper's Bazaar』は150冊あまりコレクションしている。
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作家名|合田ノブヨ
作品名|押し花帖 / ブリーチド・ファーン
コラージュに着彩・押し葉・胡桃インクによるカリグラフィー
作品サイズ|36.4cm×25.7cm
額込みサイズ|40cm×29.3cm
制作年|2022年(新作)


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